スーツを着たくない
昔は憧れていたけれど、いつしかあまり着たくないと思うようになった。
なんなら大学生でたくさん着たことが大きいのかもしれない。
大学1年生の頃に始めた塾講師のアルバイトは、スーツ着用が必須だった。大学2年生になると、百貨店のアルバイトでスーツを着た。
塾のアルバイトは、ワイシャツのみでも何とかなったけれど、百貨店ではジャケットまで着ていた記憶がある。
授業後にバイトを入れていた時は、大学にスーツで行くこともあり、友だちに「高校生かと思った」と言われたのは、少し悲しかった思い出としておぼえている。
大学2年生の時は、ドレスコードのあったクリスマスパーティや成人式でもスーツを着た。成人式の時はわざわざ新しいものを祖母に買ってもらった記憶がある。
前々から買ってくれると言っていて、僕はその時はスーツは将来いるものだと思っていたから、特に気にせず新しいものを買ってもらった。
それから、スーツを着たのは何回あるだろうか。就職活動はスーツだと思っていたけれど、ラフでいいとこも多かったし、オンラインが基本だから、着る時も上だけで良かった。
スボンはいつもの寝巻きのまま、シャツにネクタイをして、ジャケットを羽織るだけだった。
結局、就職先は服装の規定がないところになった。みんなラフな服装を着ている。スーツを着る機会はもうない。
でも、振り返ればスーツはあまり好きではなかった。座ることひとつにしても、シワを気にしなくちゃいけないし、ネクタイが息をしづらくさせる。
僕はシャツが好きでよく着るからシャツに抵抗はないけれど、ネクタイだけは好かなかった。シャツで1番上をしっかり閉めるだけでも首周りがきつい。
なのに、さらに上からネクタイで閉めるんだから、ちょっとつらい。父はいつもスーツを着ているけれど、ネクタイを毎日巻いていられるのはすごいなと思う。
それに、スニーカーで普段歩く僕からしたら、革靴は歩きにくいし、ズボンはシュッとした感じでなんだか窮屈に思う。これも普段僕が履くのが、ゆったりとしたワイドパンツだからだろう。
ただ、同じ制服的なカテゴリーなら、学ランはまだ嫌いじゃなかった。僕は中学生、高校生と学ランを着ていたけれど、上着はボタン型で、式典くらいしか首周りはキュッとしないし、ズボンもまだゆったりめで良かった。
だから、学ランがスーツになればいいのにとも思ったけれど、それはなんだか想像しただけでカオスだ。
みんながみんな学生に見えてしまう。それはそれで、かわいいものかもしれないけれど。
今のところスーツを着るのは卒業式くらいだ。以降はしばらく着る機会がない。ちょっと上から目線だけれど、たまになら、スーツはなんだかかっこいいし、いいなと思える。
スーツを好きと思えるくらいの距離感になる日は来るのだろうか。