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団体職員の採用試験を受ける
前回からの続き、もう20年以上も前のこと。大学を出てから建築設計事務所で建築の仕事をしながら悩む毎日。事務所へ入って4年が経つころ、都内の公共ホール勤務の団体職員の採用試験をふと知ったのです。
公共ホールは各地の自治体が建てた施設で、音楽コンサートなどを中心にしたイベントが開かれ、外郭団体が運営することが多い。高校の頃からイメージしていた建築やデザインとはまったく方向の違う仕事でしたが、音楽も大好きだったぼくは、その団体職員の採用試験を受けてみることにしました。何かを変えたかったこともあり、まずはこれだ!と思うしかなかった。
採用試験は日曜日で、仕事も無事に休めました。まったく手応えのない(意味がわからない)適性検査のような筆記試験が終わり、小論文があり、その後に面接でした。面接では「どうして建築をやめてしまうの?」「ここに入っても建築の仕事にまた戻るでしょ?」などと鋭い質問をされました。ぼくは一瞬考えて、当時から音楽が大好きだったので、自分はホールでこんなことができるのではないかとPRを頑張った記憶があります。
その後、採用試験の通知が郵便で届きました。おそるおそる開けてみると「補欠」の文字。ああ、合格ではないんだな…と思いましたが、僅かな望みだろうけど、繰上げ採用の可能性があると書かれていました。
団体職員の採用試験を受け、その結果が出て、ぼくはそこで吹っ切れた。次のことはどうなるかわからないけれど、もうリセットしよう。設計事務所を辞める決心をしました。もう新しい方向へ歩き出した方が良いな、と自分の中で考えが変わっていました。
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