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『フェイクスピア』野田地図

鑑賞記録ROCK YOU  Vol.4

NODA・MAP第24回公演
作・演出:野田秀樹
出演:
高橋一生
川平慈英 伊原剛志 前田敦子 村岡希美
白石加代子 野田秀樹 橋爪功 

新しいものがすぐ届くような都会ではないところで育ったので
色々を知るのが活字だった少女期、
夢の遊眠社を知ったのは図書館の本だったりした。
なのできっと仕組みを知ることに少し役立ったように思う。
テレビで放送された真夏の夜の夢を録画したビデオを何度も再生し、
セリフを起こそうとしたこともあった(笑。勿論挫折した)
初めて生の舞台で交差する世界を観た時、
残ったのは感情が轟々動く様だったりした。
あの時のことを、観終わったぼんやりと思い出していた。

表現としての暗闇のシーン以外は、
場面転換の為の暗転はなく
些か手品のようにカーテンが走ることで変化が起こった。
誰かが語る紙芝居のようでもあった。

薄くスケッチしたラフ画から、
どんどん輪郭が見えて
最後には鮮明な色の絵画になったような気もした。
重なって形が明確になるように
抜けた言葉が重なって本当が見えた。

野田地図の中でもストーリーは割とシンプルで
其の分ドンとストレートに強く胸を打った。
高橋一生の身体能力よ。
体・声・呼吸すべてをコントロールして成される表現、
溢れ出す感情の立体感。
飛行での長い躍動のあとの静。
息も切れず、肩も動かず、あの静の芝居。
其の中を感情だけが箱からどんどんあふれ出て辺りを充満していく圧巻。
スローモーション。

そして、
安定の村岡さんもだけれど、
前田敦子の声がとてもよかった。
後方からでもスーーーっと抜けて届く声。
まっすぐにブレずにはっきりと届く言葉。
時に刀のように、時にふんわりと空気を裂いて、
しっかりと届いた。
もっと評価されてもいい女優さん。
どれもとても重要な役柄だった。

私自身かなりぶりの観劇だったのと
此の日の客席の反応が大きく
用意された笑うところ以外でも揺れてたり
あのシーンでは鼻をすする音があちこちで聞こえた。
カーテンコールはまさかの6度続いた。
白石さんの体が心配になるくらい。
まさかの6度目はまさかだったのでひとり不在だったけど
野田さんが指で描いた円の時空で見えたような気がした(笑)

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