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鑑賞記Rock you vo.01

『スイッチ』(TVドラマ)

坂元作品である。
『夢売るふたり』『ジヌよさらば』のふたりである。
観るよねー、
ってことで観ました。
何故か寝る直前にTVerつけて仕舞って朝方までノンストップテンションで。

スイッチ。
何かが作動する起点となるもの。
切り替えて流れを変えたり、
入れ替わったりすること。

人間がニンゲンになるスイッチって誰にでもある。
其れは生まれた環境でも職業でも男でも女でも関係ない。
だから、
○○だからしあわせだ、とか
〇△だからそんなことはしない、とか
そんなカテゴライズなんてないし、
誰もが危うさを持って生きているのだ。

背中どんしたやつや
許せなかったひとには
止めてくれるひとが居なかった。
彼女には絶対に止めてくれる彼が居た。
其の違いなだけなのだろう。

其の昔、
と或るオフィスの休憩室で
もうどういう経緯で何の話だったかまるで忘れたが
ひとりの女子が
『刑務所ってすごく興味がある!だって絶対一生行かないところだから!』
って嬉々とした感情を物凄いテンションでぶつけられたことがあった。
あたしは何故か其の時物凄く不快に思ったのを覚えている。
何故、「一生」と云えるのか。
刑務所って悪いことしようと思って行くひとばかりぢゃないし、
寧ろ、何かの魔が差して起きて仕舞ったことだったり、
なんなら、
まるで何もしていないのに入ってるひとだって居るのかもしれない。
物凄く大事なひとを守ろうとして、
誤って誰かを傷つけることもあるかもしれない。
然う思ったからだ。
今思えば、彼女の言動もまあわからなくもないのだが、
あのテンションで話すはなしでは、なかったのだ。

ドラマでは、
気持ちの切り替わる瞬間がとても見事に描かれていた。
其れは怒りだけでなく、愛情だったり、アレ?って思うことだったり、
気持ちの向きや、人間の矢印がクルっと方向転換するような様が、
発する言葉や演者の表情でとても自然に、リアルに、描かれていて、
例えば
向けられない怒りをハケグチさんにぶつける2人と
受け止め跳ね返すハケグチさんのおっとりした無敵さを通した
矢印の小気味良いラリーのようなものも
謂わば感情のスイッチングなのだろう。

よくある切り取りとして、
設定だとか常識みたいなテンプレートを当てはめたトピックスでしか
話が詠めないひとが居るけれども、
坂元作品ではどの登場人物も必死に生きているだけなのだ。
其の境遇に置かれた登場人物たちが、
ただただ必死に生きている。
人間の滑稽さとか面白さとかって
一生懸命だから本気だから興味があったり人間味が面白かったり
するのだと思う。
(今回は明確なナレーションで、多くのひとが
かなり道に迷わないハイホー的なものがあったのだけれども)

其のスイッチを押して
広がった世界を観てどう思うか
千差万別だけれど、
無数の選択肢の中で
「常識」と云うへんてこなスイッチを持って仕舞った人間は
其れを押すか押さないかの二択以外にも
キーボードのように別の何かを生み出すボタンも あるんだなと
思えるドラマでした。

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