いきものもけものももののうち vol.7

音楽との距離感が皆それぞれ異なる。
あたしは其れを主食並みの栄養源としているし、
其れを得て体が動き出すことである種健康のバロメーター的にも
思っていたりする。

好ましい音楽がある。
でも人は其れに対して「いいね!」で完結したり、
歌ってみたいなと思ったり、
覚えたいので借りてみたり、
欲しいので買ってみたり、
観てみたくてライヴ行ってみたり、
もっと近くで感じてみたくて遠出して何度も観たり、
果ては酒のアテにして語ってみたり、
其れを生み出す本体に興味が湧いてついて回ったり、
まあ、いろいろと対するかたちは異なっている。

最近、好ましい音楽もなければ映画もドラマも笑いもテレビも
本にもファッションにも何も感じないと云う人物と話して
藝術最強主義のあたしはめったら驚愕したわけだけれども、
まあ、然う云う人もおるわけだ。

好ましい音楽家たちが音楽だけで飯が食えない昨今、
どうしたら皆が音を買い、
どうしたら箱に足を運ぶのか、
自分で選べない系の人であれば
尊敬や惚れた人の影響などで動いたりする可能性はあるものの、
雷にでも撃たれなければ変わらない人には所詮無理なのだ。

音楽だけの話ではないけれど。

簡単に四次元の引き出しが開くようになった此の世で、
パーソナルに所有したいと思う恋と
バーチャルに接したいと思う愛を持つことは
恋愛能力が希薄な昨今にはとても難易度高いことなのかもしれん。

然し、まあ取り敢えず、
まあまあの数居るだろう
繰り返し目にすることで疑似恋愛する種の群ぐらいには
届いたらいいのに
と下唇をつきだし手を後ろに組んで缶を蹴るモーションの態で
願っていたりしてよう。

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