ぼやき【実感】
最近ふと気を抜くと呆然とする。
そして、小さい頃やまだ10代の思春期を思い出す。
思いもよらぬ真実を告げられ、それを符号をする様に繋がる過去の疑問に「あぁ~」っと思いながら昔の親父の顔を思い出す。
親父は、怒ると怖い人だった。
親父が怒鳴れば家族全員が一瞬ビクつく。
兄貴は、そんな親父に最後まで楯突く事は、なかったが俺は、違った。
高校生の先の進路の話の時に専門学校行きたい俺は、親父と真っ向勝負した事がある。
その時も親父は、怒鳴ったが俺もこれだけは、譲る事は、出来ないと思い、怒鳴り返した。
親父は、そんな俺に少しだけ驚いた様子だったがガキの返しに呆れた声になったのを今思い出し、そんな自分に呆れた笑いが零れてしまった。
それを思い出す度にその顔がその声がもう二度と聞けないと思うと少しだけ寂しく悲しくなった。
そんな感覚を知る度に亡くなったと改めて実感する。
人の死は、2度あるという。
肉体の死と存在としての死。
もしかしたら、この実感が消える時、親父はもうひとつの死を迎えるのかもしれない。