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黒い軽バンに乗って

古びた軽バンに、僕らの青春が詰まっていた。
ドアの軋む音が、忘れられない合図のように響く。
楽器や機材がぎゅうぎゅうに詰まって、先に始まるライブの緊張感で包まれている。
狭い車内がまるで僕らの宇宙だった。

夜の高速を飛ばして
窓の外には街の明かりが流れ星のように消えていく。
音もなく街が後ろに流れ去る。
仲間と笑い、眠りに落ちて、それでも音楽は止まらなかった。

エンジンの音がリズムを刻み、
タイヤとアスファルトがビートを刻み続ける限り、
僕らの夢は広がっていく。
小さな車で大きな世界を探しに行く、
軽バンは僕らの船だった。

疲れても、朝焼けが新しい日を連れてくる。
仲間の寝息と、ぼんやりとしたラジオの音、
フロントガラス越しに広がる曇った空が、遠い未来をまだ知らない僕らを包み込んでいた。

何もかもが簡単じゃなかったけれども、
音楽とともに走り続けた。
もう戻れない場所に、その時の自分は置いてきた。
それでも時々夢を見る。
あの軽バンでまた旅に出る。

ただ、音楽と一緒にどこまでも。

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