俺が真冬になったらあの子はなんて言うんだろう。
VRCを初めて2年半ぐらい。推しのアバターの一人や二人できるものであろう。
そんな推しの一体、真冬ちゃん。
もちもちの頬、くりくりの瞳、絶妙なエプロンとジャージ、スパッツ、髪の毛、どこをどう切り取っても可愛いに溢れている。
私のいいね欄は真冬に溢れている。見せられないほどに。
フレンドが真冬ちゃんになると嬉しい。真冬が増えるので。
それぐらいに真冬が可愛い。
なるほど、言いたいことは分かる。
「お前は真冬にはならないのか」と。
真冬には6000円ぐらいでなれる。
私も一介の社会人だ、このぐらいすぐに払える。
しかしいつも私はこういう。
「解釈が違うんだよな」って。
VRCを始めたばかりの君たちは知らないかもしれない。
いくらおすすめアバターの記事やXのポストを見ても書いていないのだから仕方ないだろう。
アバターには「目に見えないパラメーター」がある。
「魂融合係数(ソウルフージョンコフィシェント)」_私はそう呼んでいる。
このパラメーター、非常に厄介だ。
まず「身にまとわないと分からない」のだ。
アバターを見る、なんと可愛いことか。
他者の改変を見る。なんと可愛いのだろうか。
一刻も早くこの子になりたい、そう思うだろう。
さぁ、アバターは買った。お好みの改変もした。アップロードだ。しかし、この時点でほとんどのプレイヤーはほんの少しの違和感を感じているのだ。
けどさ____せっかく買ったし______ね?
VRCに入って強まる違和感。この居心地のしっくりこない感じ、サイズ違いのゴム手袋で作業をしているようなほんの少しの狂い、他人の家のドアノブカバーに触れてしまったようなバツの悪さ。
他人のアバターの時はあれほどに可愛かったのに。
あぁ…なんか違うな…これ。
さらに厄介なのは、これ「なんか改変したら上がったり」する。
寝かせてたら上がったりするし、Unity上でにらめっこすると上がるときもある。
とても厄介な感覚だ、言語化が難しい。なんかちゃんと調べたらいい感じの研究とかになりそうだ。
なにが言いたいかと。つまり、この数値が真冬と私では低すぎるのだ。
いや、正確には低すぎるのではないのか、と危惧しているのだ。
私が使っても、真冬を真冬たらしめることができないのではないのか。真冬のようにかわいいアバターか自分の人格でよいのか。
それが怖いのだ。それだけが。
告白しよう。これは誰にも言ったことがない。
わたしは真冬を持っている。とっくの昔から。
けど、まだ私は真冬になれていない。
私が真冬になれる日は、まだ遠いのかもしれない。