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いまのこと(制限と選択)

note書こう、書こうと思っていたら、いつの間にか3月になっていました。今回はケープタウンで暮らしていて気づいたことをつらつらと(いつもつらつらですが汗)書いていきます。

歴史の傷跡がいまだにある国

去年の2月に初めてケープタウンというかアフリカに来て、結構衝撃的に気づいたことがある。いまはもうこちらの暮らしに慣れてしまって馴染んでしまったから気にならなくなってしまったけど、とても大きな気づきを自分の中で風化させないためにもきちんと記しておこうと思う。


「南アフリカのケープタウンに行くんです」と前職の同僚たちに話したときに、「喜望峰があるところだね」の次くらいに、「アパルトヘイトってまだあるんだっけ?」という会話を何回もした記憶がある。
アパルトヘイトについて知識がとても薄く自分の言葉でうまく説明できないので、webからの引用を貼る。

アパルトヘイトとは、南アフリカが1948年から1990年代初めまで実施した、法によって定められた人種隔離と差別の制度である。

国際連合広報センター


法によって人種差別がされていたということ。いまはもうこの政策はなくなっているが、こちらに住んでいるといたる場面で傷跡のようなものを垣間見る。


1.スーパーでの光景
よく大きなシッピングモールに行くのだが、最初に訪れたときに気づいたことがある。
そこには、woolworthというこちらでは平均よりも少しお高めのスーパーがあり、そのとなりにはPick and Payという日用品&食品が売っていてリカーショップも併設されている大型の庶民的なスーパーがある。(ケープタウンではワイン以外のお酒(たぶん)はリカーショップでしか購入できない。)
woolworthはアメリカでいうところのwhole foodsのようなオーガニック志向のスーパーに近いと思う。そこで働く店舗従業員はすべて黒人。一方でお客は9割近く白人というふうになっている。どこのwoolworthに行ってもだいたいそんなかんじである。
一方でPick and Payに行くと、従業員は黒人、お客は黒人のほうが多いというような光景になる。リカーショップに入るとお客は9割くらい黒人で、比較的若い人が出入りしているということもあり、治安的に少し怖い印象を受ける。

また、SPARというこちらも庶民的なスーパーが街中によくあるのだが、従業員はすべて黒人である。お客はその地域によるかもしれないが、私がよく行く店舗はわりと白人層が多く住んでいるエリアのようなので、白人が多い。


2.カフェやレストランでの光景
街中にある飲食店でも光景はほぼ同じである。従業員は黒人、お客は白人。一方で、少しお高めなレストランに行くと、マネージャー的な従業員は白人、ウエイターなどその他従業員は黒人というような光景になる。ちなみにケープタウンでのチップは10~15%。ガソリンスタンドの従業員も黒人としか会ったことがない。



3.ヨガスタジオでの光景
2つスタジオに行っているのだが、1つのスタジオはインストラクターは全員白人で受付も白人の方。清掃だけをするスタッフは黒人というようなかんじである。お客は99%白人。
もう1つのスタジオはオーナーが個人でやっている小さめのスタジオなのだが、6名くらいいるインストラクターのうち1名だけ黒人の方である。2回くらいクラスを受けたことがあるが、彼女が持つパッションと癒しがとても好き。


4.繁華街での光景
いわゆるCBD(Central business district)は、黒人しかいない気がする。気がする、というのは、このエリアは治安が大変よろしくないので降り立ったことがないためである。飲食店も多く立ち並ぶのだが、入ったことがない。日本人が行くと目立つので犯罪に遭う確率が高くなるため、今後も降り立つことはないだろう。。


5.ビジネス街での光景
日中帯にビジネス街に行くと、黒人6:白人4くらいだろうか。



6.ホームレス
街中、特に大きな交差点で物乞いしているホームレスは、去年は黒人しか見なかったのだが、年末くらいから白人も何人か見るようになった。でもやっぱりホームレスが多いエリアに行くと、だいたい黒人である。


7.住居
多分これが一番分かりやすいのだが、海が見える山の上に建つ住宅は高級住宅街となっており、白人が多く住む。家の周りには侵入できないように電線が張り巡らされており、セキュリティ対策がされている。高級車が並ぶエリアもある。たまに黒人の警備の方がいる。そのエリアに置かれているごみ収集を黒人の方がやっている。
一方で、郊外にはトタン屋根の今にも壊れそうな家が立ち並んでいるエリアもある。黒人が住むエリアである。空港に向かう道から見える。日本人が想像するアフリカは、たぶんこっちだろう。


ざっと書いたが、まとめると、私が普段ケープタウンで生活していて、おそらく高所得ではない人たちは黒人、お客としてお金を現地に落としていっている人たちは白人ということ。(たまに例外もあるが、だいたいこういう傾向だと思う。)
白人の方たちは何を仕事にしていてどう働いているのかとても気になる。知り合いの白人の方は、こちらでイラストレーターの仕事を自営業でされている。きっとこういう自営業とか、何かのオーナーとか、投資家とか、そういうお仕事をしている白人がほとんどなのだろうと想像している。


夫から聞いた話では、南アフリカの公務員は黒人しか採用していないよう。また、日系企業が現地に子会社や事務所を作るときには業種によるがwork permissionが決まっており、黒人を何人採用しなければならないなどの決まりがあるそうだ。
逆に言うと、白人は採用してもらえる仕事が少ないから、就職する場合は南アフリカから出て他国へ出稼ぎに行ってしまう傾向もあるらしい。

制限と選択

日本で生まれ、統一的に・均一的に教育されて育った身からすると、肌の色によって差別されていた傷がいまでも残っているのを目の当たりにしたときかなりの衝撃を受けた。歴史の教科書に書かれていたことがいまだに残っていることにびっくりした。
どういう気持ちでこの地で生きているんだろうと気になった。

一方で、もし自分が黒人側の人間として生まれてきたら、自分の力ではどうしようもできない制限の中でどう生きていくのか少し想像してみた。
めちゃくちゃ勉強して頑張って大学までどうにか進学してアフリカから出ていくのかもしれないなとも思うし、逆に選択肢があまりない中で一生懸命生きていくのもありだなとも思った。

私は選択肢がわりとありすぎたり、器用に何かをできてしまったりして、今までたくさん迷ったり悩んだり、自分のことが分からなくなったりしてきたから、もしかしたら選択肢が限られていたほうが良い意味であきらめがついて、遠回りせずに自分のやりたいことを限られた範囲の中から見つけるというプロセスを踏んでいるかもしれない。そのほうがある意味、迷いなく生きていけるのかなとも思った。



ケープタウンに来てから、「自分は何をしたいのか。何ができるのか。」を改めて考えさせられているなとずっと思っていて。
そうさせられる出来事が目の前に現れる。

次回はその出来事のうちの一つについて書こうと思う。

「1杯400円のチャイラテの価値」


つづく。

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