卵子凍結の話⑤治療(採卵)

今回は1回目の採卵の手術当日について書いていきたいと思います。

ついに採卵当日

採卵の前、めちゃくちゃに緊張していました。

直前に高熱が出るわ、下半身は腫れて気持ち悪いわ、
手術が怖いわ、仕事は佳境だわ。
で、いろんな感情が渦巻いていたことを覚えています。

緊張と不安でほとんど眠れずに当日の朝を迎え、
朝7時すぎにクリニックへ。
仕事はこの日休みをとりました。

血圧を測ったあと着替えを済ませ、個室ベッドに横になって順番を待ちます。
「体が辛過ぎて早く終わって欲しいけど、怖いから呼ばれたくない」
そわそわして落ち着かず、ベッド脇の「経験者ノート」を手に取ります。
パラパラとめくっているうちに、「みんな不安なんだ」と少し力が抜けていきました。

激痛に次ぐ激痛

名前を呼ばれたのは1時間後くらいでした。
薄暗い手術室に通され、スポットライトに照らされた手術台に登ります。

まず膣内を消毒。
あまりの痛みに呆然としているうちに麻酔。
続いて超音波で確認しながら採卵に突入。

下腹部を針でぐりぐりえぐられているような、なんとも言えない激痛・・・。

手術台横のモニターには、卵胞の一つ一つに細い吸引針を刺している様子が映し出されます。
先生は小さい卵まで取ろうと頑張ってくださり、
「えいっ、えいっ」
と力を入れて卵巣の奥に針を刺すたびに、
「もういいよ!取らなくて!」と心の中で悲鳴をあげます。

最後の方は放心状態で脱力していました。
「こんなに痛いならもう二度とやりたくない」
というのが手術台の上での正直な心の叫びでした。

採卵は15分くらいで終了。
手術の間ずっと付き添いの看護師さんが手を握ってくださっていて、
まるで命綱のように感じました。
本当にありがたかった。

私の場合は卵胞の数が多かったため、
安静時間を長めの1時間半ほどとっていただきました。

いつまでも下腹部に鈍痛が残り、気持ち悪い。
看護師さん曰く、「たくさん針を刺したらよくあること」だそう。
ベッドに横になりながら「よくがんばったね」と子宮と卵巣をお腹の上から撫でてあげました。

多くても・・・

私の初めての採卵の結果は次のとおりです。

卵胞に針を刺した数:40回
うち採れた卵子:20個(つまり卵胞の半分は空だった)

採れた卵子のうち、成熟卵子4個、未成熟16個でした。
採卵日当日に凍結できそうな状態のいい卵子は6個。

診察室で結果を告げられます。
「たくさんあったのに、これだけ・・・?」
と驚く私に、
「大事なのは量より質なんですよ」
と先生。

凍結の目標数は20個と決めていました。
たくさんの卵胞に「1回で済むかも?」と淡い期待を抱いていましたが、
やはり年相応か、というのが本音です。

8個を凍結

家に帰り、ベッドで休みながらもらった卵子のエコー写真をまじまじと眺めました。
一番大きな卵子はとてもきれいな円形で神々しさすら感じました。

将来、私の赤ちゃんになるかもしれない。
今はツルツルの球体が、分裂し、やがて人間になる。
その神秘性に心を奪われたことを覚えています。

数に関してはこれは不可抗力なので仕方がない。
不思議とショックとはあまり感じませんでした。

その後の培養で未成熟卵が成熟に至り、
1回目は結果として計8個が凍結に至りました。

培養士さんたちの努力に頭が下がる思いです。

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