新・幕末純情伝を観て
この感想は僕が2/5 14時からの公演ただ1回を観ての感想です。
舞台を観たその日に感じたことを主に、神戸大千秋楽を終えた今の感想が少し混じった感想になります。
僕は1回しか観に行けなかったので、「ゆっかーを久しぶりに見られる、ゆっかーだけを追いかけて見よう」というより、新幕末純情伝そのものを楽しもう、劇全体を味わいつくそうと決めて観劇に臨みました。
劇全体を振り返ると長くなるのでこの舞台の核であろう部分をまとめようと思います。
僕が一番印象的だった場面は沖田総司が新撰組の存続のために坂本龍馬を殺さなければならないと言われた一連の場面です。
肺病持ちの沖田総司は、勝海舟の下で男として育てられます。やがて大きくなり沖田総司は勝海舟の元を離れ土方歳三と出会い、土方歳三に『肺病は移らない、新撰組に来ないか』と言われ新撰組に加わります。そしてその後にキーマンである坂本龍馬に出会い、好意を持つようになります。
新撰組に加わった後、沖田総司は新撰組で幾多の人を命令を実行する形で殺し続けます。
しかし、上から言われたとおりに人を殺してきた沖田総司はついに勝海舟を筆頭とした幕府からの命令で、新撰組の存続のためには坂本龍馬を斬らなければならないと言われます。
そしてついに坂本龍馬のもとへ殺しに向かいます。そこには沖田総司と過ごしたため肺病が移ってしまった弱り切った坂本龍馬がいました。そんな弱り切った坂本龍馬に対して情を持ち、殺すのをためらうのですが、自らの存続がかかった新撰組の面々は『お前がいたせいで肺病が移って新撰組80人のうち30人が肺病で死んだんだ、お前なんか快く思ってない』と沖田を見捨てます。
そのあと、坂本龍馬と最後に愛を確かめ合い、坂本龍馬を殺し、沖田総司もだれからも必要とされない人間として新しい時代を見ることのないまま殺されて劇は幕を閉じます。
正直この劇が終わった瞬間は涙が止まりませんでした。
この劇でお互いに伝えあう気持ちは、どこまでが本音でどこまでが建前なのかが最後の最後まで分かりませんでした。特に最後のシーンの新撰組の面々が沖田総司に対して放った『お前なんかいて欲しくなかった』というセリフは本心で言ってるとは思えませんでした。この劇の冒頭に勝海舟ら幕府に対して新撰組が反乱を起こすシーンが描かれているのですが、そこで土方歳三が『俺には沖田総司の血が流れてる、忘れるもんか』と言い放っていたので、新撰組で新撰組のメンバーのために人を殺し続けた沖田総司を利用する道具としか考えてなければ筋が通ってる気はしますが、むしろそうではなく沖田総司は新撰組に無くてはならない存在で自分たちの存続のために沖田総司をやむなく切り捨てなければならなかった新撰組もまた苦しい思いだったのを理解しました。
沖田総司が時代背景、こうした多方面からの思惑に押しつぶされ、新撰組からもやむを得ない判断だったとはいえ見捨てられ、沖田総司が夢見ていた新しい時代は女性にとって今までとなんにも変わらない時代だったという結末は残酷で、見ていて苦しかったです。
この物語を通して、自分の身は自分でなんとかしなきゃいけなくて生きるのが窮屈に感じるときがあるのは今の時代とも通ずるところはあるのかな、そこで自分はどう自分らしく生きていけるのだろうかと思いました。
ここからは物語の本筋とは少し離れて思ったことをまとめようと思います。
劇中でかなり挟まれた、物語の本筋には必要ない下ネタは蛇足な気がして、僕は展開が盛り上がってきているところで下ネタを挟まれたので正直言って冷めたシーンもありました。
また、中学の歴史で習う程度の知識でもすごく楽しめたし舞台の元になった物語を読んでもう1回と言わず何回でも観に行きたいと思った素晴らしい作品でした。
席は舞台全体を見渡せて遠くもない本当に良席をいただけました。
まだまだ思うことはたくさんありますが、とりあえずは以上で終わろうかと思います。
長くて拙い文章を最後まで読んで下さりありがとうございました。
2023年2月19日
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