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若手のうちに絶対身に着けたい「ビジネス会食完全攻略マニュアル」

会食の本質は「店選び」ではない

「2週間後に会食のセッティングをお願い!
4人で、いい感じの店の予約と準備を任せた!
じゃ、あとはうまくやっといてね! よろしく!」


上司からの依頼。何度聞いても心臓の奥で嫌な汗が出るような、この瞬間。そう、会食はビジネスパーソンにとってできる限り避けたい「雑務」である。

単に店を選べばいいだけかと思ったら、大間違いだ。少し考えるだけでも気が重くなる調整とビジネスパーソンとしての機微が求められる。


上司がクライアントと会食をセッティングする背景の理解
-相手の役職やビジネス背景、会食で達成したい目的を踏まえてどのような価格帯/立地の店にすべきか
上司やクライアントの食の好みの理解
-肉料理希望と言われたがステーキ/焼肉/肉割烹/メインが肉のフレンチやイタリアン、どれを選ぶべきか
個室が必要か不要か
-オープン席の場合は席間隔はどのくらい空いた店にすべきか
二次会のロジ
-二次会があるかわからない上に人数が未確定の状態で店の予約をどうすべきか

「会社の金でうまい飯が食べられる。でも超面倒。いっそのこと自分で金払うから気を遣わせないでくれ」。

そう思う方も少なくないのではないか。実際、筆者は1年目の時にそのように考えていた。

ここで自己紹介をさせて欲しい。筆者yuuuはかつて「広告代理店電通のメディア担当」という日本でも特に会食機会の多い部署に所属をしていた。

人生で一番多かったときは、28回会食/月。土日も含めて会食三昧であった。

会食相手については、現場レイヤーは勿論のこと、上場企業の社長から役員まで幅広くご一緒させていただいた。以上の会食経験を通じ、筆者が得た確信がある。

それは、この雑務と思われる「ビジネス会食」こそが、若手ビジネスパーソンにとって千載一遇のチャンスだということだ。

若手のうちから顕著なビジネス成果を出すことは難しい。その一方で、与えられた会食機会を最大限に生かし、上司やクライアントから高い評価を得られれば、それだけで自身の存在価値を認めてもらえる可能性がある。

かくいう筆者も、会食を通じて人生が好転した1人である。

筆者の3年目までを知っている方は全員首がもげる程頷くと思うが、筆者はポンコツであった。ついたあだ名は「博報堂の回し者」。社内資料を間違って削除してしまったことから、競合代理店の社員と揶揄される程度には仕事ができなかった。

それでも、会食セットに創意工夫を凝らし、時にはクライアントを楽しませるべく体を張った。そのお陰で「yuuuはまだまだ仕事ができないが、見捨てず応援してやるか」というパーセプションを周囲から獲得できたと考えている。

また、会食を重ねて懇意になった大企業の局長から、退職後に少なくない金額で業務委託の仕事を頂くことができた。
会社の看板を失っても、仕事を一緒にしたいと思ってもらえるほど強固な繋がりを作れるのが会食の醍醐味である。

筆者は、若手こそ会食で得られる恩恵が大きいと考える。その一方で、実務に耐えうる本質的な会食ノウハウのまとった文献や本を見た記憶がない。ネット記事で落ちているような「ビールのラベルを上に向ける」、「グラスが空いたらすぐに注ぐ」といった表層的な会食マナーばかりに気を取られていると、会食の本質を見失ってしまうのだ。

少しでも若手ビジネスパーソンが会食を「面倒な雑務」から「クリエーティブな仕事」として前向きに捉える事ができるよう、「広告会社で体得した一子相伝の会食技法」を記したい。この会食メソッドを体得すれば、会食のみならず忘年会や新年会、社内飲みといった全ての飲み会・食事会に対応できるようになるだろう。

一見雑務のように見える会食も、貴方の工夫次第で「参加者全員が一生忘れることのない思い出」となる。

「全員の記憶に残る芸術作品を作ってやる」くらいの気概で会食をデザインしよう。

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「ビジネス会食」と「飲み会」の違い

結論を申し上げると、ビジネス会食とは「参加相手が自分や自社にとって大切な存在であることを、間接的に伝える場」だと解釈している。

つまり、「参加者が喜ぶために、どれだけ想像力を働かせて場を用意したか」が肝要だ。

具体に入る前に、まずは「飲み会」と「ビジネス会食」の違いを理解してもらいたい。一番の違いは、「飲み会の費用を支払うのは参加者、ビジネス会食の費用を支払うのは会社(経費)」である。
つまり、下記3点を理解しよう。

会社の経費を使う以上、
①達成すべきビジネス目的と戦略を考えるべき
②自分ではなく他者に喜んでもらうことを主目的にすべき
③「会食があった場合となかった場合」で差を生むべき

ここで絶忘れてはいけないポイントを伝えよう。

  • 目的を会食の場「だけ」で達成すべきではない

    • 例えば目的を「3か月後に開催される競合コンペで勝利する為の情報を聞き出す」と置いたとする。この場合、酒が進んだ後にここぞとばかり聞き出そうとするのは悪手だ。

    • その場合、どうなるか。「会食中の礼儀も知らない失礼な奴」と認定され、「重要な情報はコイツに伝えるべきでない」とガードを張られてしまう可能性さえある。

「当たり前でしょ」と思われたかもしれない。しかし、実際の会食ではこうした「酒の不味くなる言動」が散見されるのだ。

主たる原因は二つある。

  • 不適切な量のアルコール摂取

    • 結果、気が大きくなり、距離感を見誤るのは若手だけではなくベテラン社員でもありがちだ。

  • ビジネス目的の切迫性

    • 目的達成が切実であればあるほど、つい聞いてしまいたくなるものである。そこを忍耐強くグッと抑え込めるかが会食の成否を分ける。

yuuuも何度か失敗し、クライアント担当者から「行儀が悪いと上司から後でクレーム言われたぞ。場を考えろ」と会食後にフィードバックを貰い、猛省したことがある。

繰り返しとなるが、会食は目的達成に向けて陳情する場ではないのだ。

以下でビジネス会食を有意義にするためにとるべき各戦術について記載したい。

事前準備編

前提:店選びを絶対に寝かすな

会食の事前準備には相当な時間がかかる。会食セッティング依頼を受けた瞬間に準備に取り掛かるべきだ。開催期日が近づくほど、下記が生じやすい。

・適切な店の予約が取れない
・立地を伝えることができず相手のスケジュールを妨害してしまう
・手土産の購入が間に合わない

「会食の店を決めない」=「相手のスケジュールを妨害している」に等しい。

自分の何倍も時給の高い上司や大切なクライアント重役の時間泥棒をしないためにも、一息で以下の行動に移ろう。

①会食の目的理解

会社の経費で参加する以上は「会食をビジネス目的の達成に寄与する場」とするべきだ。若手にとっては上司から依頼を受ける場合が大抵かと思うので、まずは以下の確認をしたい。

【会食目的理解 チェックリスト】
・今回会食がセッティングされたきっかけ
・会食の目的と上司が会食を経て達成したいこと
・自社/クライアントの参加者の名前と肩書
・(自分が参加する場合)自分に期待されている役割

一方で、上記について上司が深く考えていない場合もある。その際はこちらから仮説を立てて提案することもアリだ。

②会食セッティングに向けた周辺情報の収集

会食の店選びの際に、最低限抑えておくべきポイントがある。上司やクライアント参加者を知っている社内の人間に、以下を確認しよう。

【情報収集チェックリスト】
<必須情報>

①参加者全員の苦手なもの・アレルギー
②会食・2次会の金額上限(飲み放題にすべきか)
③支払い対応や手法(支払いは自分で問題ないか、領収書の宛名、支払いがクライアントと折半になる可能性がないか、折半の場合領収書宛名を空欄にして金額傾斜無しでいいか)
④会食場所の想定エリア
⑤個室が必須か否か
⑥2次会の開催確度
⑦指定のビール銘柄(財閥系企業以外でも注意)
⑧手土産の準備要否と手土産予算

<確認できるとベター>
・クライアントの好みの食のジャンル
・クライアント参加者の家族構成(手土産のセレクトに関係)
・タクシーチケットの準備が必要か
・クライアント内に誕生日周辺の方がいないか

③会食場所探しにおける選定基準の作成・上司との合意

①②の情報を確認したのちに、上司に対して店選びの選定基準の確認・合意形成を強く勧めたい。後から別の考慮情報が出てきて白紙に戻るのを避けるためだ(yuuuの経験上それはよく生じる)。
以下にサンプルを記載する。

【会食選定基準のサンプル】
<会食目的>
4月ローンチのキャンペーンにおいて予算を増加して貰うために必要な情報の獲得
<参加者>
クライアント3名(〇〇マーケティング本部長…)自社3名(△△局長…)
<予算>
・会食
1人あたり8,000円未満×6人=48,000円(税込)以内
⇒予算超過ができないとのことでコース且つ飲み放題付きの店に絞る
・手土産
1人あたり3,000円×3人=9,000円(税込)想定
<会食エリア>
銀座周辺(東銀座・有楽町・新橋エリアは可の認識)
<個室要否>
個室無し可、ただし隣席との距離が近すぎる店(1m以内)はNG
<考慮すべき苦手なもの・アレルギー>
・〇〇課長が生ガキNG
・それ以外は特に無し(全員確認済)
<指定ビール銘柄>
・住友系の為アサヒビールが置かれている店に限定
<料理ジャンル方針>
中華を最優先に検討(〇〇本部長が中華好きと社内の△△さんに確認)
<確認希望事項>
・アサヒビールがあれば別銘柄を置いていても問題ないか、それともアサヒ縛りか
・二次会の支払いはクライアント/弊社どちらで持つ予定か
・クライアントが飲み放題以外のドリンクメニューを頼み、金額超過してしまいそうな場合の対応をどうすべきか
<備考>
〇〇課長は奥さんの出産タイミングが近いため、二次会には不参加の想定
・タクシーチケットは3枚準備
・〇〇本部長と〇〇さんは銀座にいきつけのスナックあり。念のためこちらでも二次会場所の目星はつけておくが、〇〇本部長の希望に従う形でよいか

また、参加者スケジュールに関連する内容(会食開始時間や想定エリア)は、上司と合意できたタイミングで参加者に共有をしたい。店が決まっていない場合でも、だ。

④会食店の提案⇒承認⇒予約⇒詳細の共有⇒下見

③で上司と選定基準の合意ができたら、実際に候補をリサーチの上、提案をしよう。店選びはデスクトップリサーチよりも、合意した選定基準を社内の人間に見せたうえでインプットを貰う方がうまくいく。
どの会社にも会食の猛者やグルメの人間はいるはずだ。社内のグルメ有識者を押さえておくと、いざという時に非常に頼りになる。

提案は1店舗に絞らず、本命を決めたうえで3店舗ほど上司に提案することを勧めたい。その際になぜ本命がいいのか評価基準を作っておくとベターだ。なお、店舗提案の際は原則クレジットカードを使える店にするのが鉄則である。

提案前に本命の店舗は予約空枠があるかを確認しておこう。上司から承認を取ったにもかかわらず店が埋まっている場合も往々にしてあるからだ。

上司から承認後、関係者に詳細メールを送ったうえで、可能であれば店舗の下見をしたい。

  • 店舗下見確認ポイント

    • 問題なく予約を取れているか

    • 他席との距離が近すぎないか(可能であれば半個室や距離の離れている席にできないか交渉)

    • 席配置をイメージできるか

    • 喫煙場所はどこにあるか

会食に面識のない同席者がいる場合は、事前の挨拶(対面が望ましい)を忘れないように。

⑤手土産の購入

店の予約が済んだら、同時並行で手土産の購入に移ろう。
ところでyuuuは、プレゼントと手土産は別物だと考えている。

プレゼント=対象者に喜んでもらうために渡すもの
手土産=対象者のご家族に喜んでもらうために渡すもの

会食はクライアント担当者の貴重な家族の時間を頂戴するわけだから、家族に喜んでもらえるものを渡すべき、というのが筆者の解釈である。

話は変わるが、かつて筆者がクライアントの祝電作業をしていた際、「祝電を会社宛てではなくクライアント担当者の自宅に送れるかどうかが広告会社として重要だ」という話があった。

「このプライバシーが重要視される時代に、自宅まで祝電を送る意義は何か」。筆者はそう考えていたのだが、上司はこのように言った。

「祝電は会社に送っても意味がないんだよ。本人じゃなくて家族に見て欲しいんだから。クライアント担当者も、自分が昇格したことを家族に言う機会はないだろ。だからこそ、広告会社が祝電を通じて「あなたの旦那はこれだけ自社で評価され、広告会社からも大切にされている存在だ」と伝えてあげるべきなんだ」。

目的論から考えて妥当な手段かどうかは議論があると思うが、それでも「相手を大切に思うとはどういうことか」が分かるエピソードだと思う。

話を戻すが、手土産とは想像力の集大成である。ご家族までスコープに含めた中でどのようなモノにすべきかを考え抜く。
単においしいお菓子や流行りのものを渡すだけでなく、ご家族と本人の関係性や、ご家族の状況まで想像力を巡らせたうえで、ベストと思える手土産を渡そう。値段に大きな差が出ない限り、個別で手土産をカスタマイズしても問題はない。

ここまで手土産はご家族を対象とすべきと述べたが、家庭状況について全ての方が円満とは限らない。情報収集の上で、会食参加ご本人に気に入ってもらえる手土産にした方がいい場合もあるので注意だ。判断に迷ったら上司の意見を聞こう。

これは会食問わずテクニカルな話だが、上司に情報を上げ、判断を仰いだ時点で責任主体は上司に移る。判断が付かない選択肢を一人で抱えてトラブルを起こすくらいなら、レコを決めた上で上司に相談し、積極的に巻き込もう。何かあった時に共犯となれる(そんなことをせずとも後輩のミスの全てに責任を負うのが上司として当然のあるべき姿だが)。

⑥相手に喜んでもらうためのプラスαの提案

以上で事前準備は完了だが、会食でクライアントを感動させるにもう一工夫することをお勧めしたい。②で獲得した周辺情報をもとに、相手の為に考え抜いたプレゼントを準備するのはどうだろうか。
筆者の場合は、獲得情報に紐づけて上司に資料を作成の上提案をしていた。こちらもサンプルを記載する。

<yuuuから会食を最高の場にする為の提案>
・〇〇マーケティング本部長が1か月前ワインエキスパートを取得
⇒(提案)取得お祝いに本部長と同じのヴィンテージワインをプレゼントするのはどうか。
・〇〇課長のお子さんが翌月に慶應幼稚舎を受験
⇒(提案)2週間後に福岡出張があるため、帰りに大宰府で受験お守りを買ってきてプレゼントするのはどうか。
・現場担当の〇〇さんが4月に部署異動
⇒(提案)今回の会食で異動お祝いを渡したい。マーケティングから営業に移られるとのことで、スーツを着る機会が増えることからスーツケア/シューケアグッズなどを候補としている。予算5,000円で用意しても問題ないか。また、〇〇さんは無類のゴルフ好きだったので、弊社で関わったメンバーの名前を入れたゴルフボールセットを寄せ書きの一環としてプレゼントしたい。予算7,000円で名入りのゴルフボールセットを発注し、社内でメッセージを書いてもらおうと思うがどうか

こういった他者に対する想像力と思いやりこそが、会食の価値最大化に繋がると確信している。

なお、会食に限らず他者へのプレゼントが思いつかない時は、単に自身の思考不足な場合が多い。

作業の片手間で考えるのではなく、意識して思考に割く固定時間を捻出しよう。その時間中、相手がどうすれば喜ぶのか思考を巡らせば、芯をとらえたプレゼントが思いつくはずだ。

⑦会食後の二次会対策

二次会準備は重要である一方、準備の難易度が1次会よりも高い。

  • 二次会選定の課題

    • 参加人数の目途が事前に立たない

    • 店への到着時間が読めない

    • 出たとこ勝負で会食後に電話をかけても予約があいていない

場面で予約が取れなかった結果、2次会誘導に手間をとり微妙な空気で解散となるのは避けたい。しかし、店に迷惑をかけるような依頼をするのはビジネスパーソンとして望ましくない。

結論から言うと、「自分が良き顧客になり、予約段階の情報が不確定でも許して貰える関係の店を作る」が最適解である。各主要会食エリアに1-2店舗ほどいきつけのスナックを作っておくことを強く推奨する。

⑧その他会食準備Tips

その他でyuuuが取り組んだことがあるのは以下である。参考になれば幸いである。

  • 担当クライアントの忘年会が某所で開催される情報を確認。自分含めて自社の人間は参加しないが、場が盛り上がるようにその会社の創立年度のワインと今年一年の御礼メッセージ・翌年の抱負をレストランに事前に渡し、当日振舞ってもらった(ワイン持ち込み料は自費)

  • 某消費財メーカーとの会食の際、事前にトイレタリー周りの商材を全部クライアント商材に変更いただいた(勿論店の快諾有り)。会食中に一切そのことは伝えていなかったが、後日クライアントから「ありがとうございます」言われ、仕事に繋がった

会食中編

会食中にビジネスの売り込みや困りごとの相談をしない

会食中にビジネス下心を出すのはご法度である。ビジネス課題は会食中に解決するのではなく、会食後のコミュニケーションで解決すべきだ。

ただし、クライアント側から話を持ち掛けられた場合は「今、皆さんとのこの楽しい場で私からお願いするのは不躾かなとも思ったんですが大丈夫ですか?」などと前置きし、了承を得れば話をしても良い。

仕事では話せないプライベートに踏み込め

会食は、仕事中には中々話せない参加者のプライベートな側面に触れることが可能である。とはいってもどうやってプライベートの話を切り出すのかわからない方は、下記の問い方がお勧めだ。

  • 〇〇さんってお仕事非常にお忙しそうですよね?

    • (回答)結構忙しくてねー

  • 〇〇さんって重要な案件たくさん抱えてらっしゃるかと思いますが、やっぱり土日も埋まってるんですか?

    • (回答)仕事は忙しいけど土日は休めているよ

  • 〇〇さんって本当に精力的に働かれるので無理されないでくださいね。ちなみに〇〇さんはその貴重な土日の休みに何されてるんですか?

    • (回答)趣味の話など…

ここで聞き出したいのは土日の使い方・趣味だ。相手の好きなことや趣味に共通点があると一気に話が進む場合が多い。趣味で盛り上がったら、クライアント重役とプライベートでも仲良くなれる可能性がある。そうなればしめたものである。

会食や周囲とのコミュニケーション円滑化を目的として新しい趣味を作るのも悪くはない。
グルメや旅行、サウナといった幅広い層が興味を持つネタを趣味としておくと、会食のネタに困ることはなくなるのでお勧めである。

yuuuはほぼ毎日外食を楽しみ、Twitterで #yuuuごはん として情報を発信しているが、会食の場でその知識が役立つ場面は極めて多い。

アルコール弱者は事前に店に相談を

会食において一番のノックアウトファクターとなりえるのはアルコールの飲みすぎである。楽しくて酒が進みすぎた結果、無粋なことを聞いてしまう程度で済めばまだいいが、時には暴言や暴力などの大トラブルが発生する可能性もゼロではない。

ところでyuuuはアルコールに弱い。広告会社メディア担当という魑魅魍魎の世界に身を投じながら、ビールを2杯も飲めばもうそれは限界なのである。

yuuuのようなアルコール弱者の生存戦略は、以下の2点である。
①アルコール濃度を薄めてもらう
②ジンジャーハイをジンジャエールに変えてもらう

そう、事前に店側と調整しておくのだ。今やアルコールを強要されることはゼロになったが、それでもグラスが空くとに良かれと思って注文してくださる方が大抵だ。そのような場合に備えて、予約段階、もしくは当日に店と相談しておくことをお勧めしたい。

食の細い人への配慮

会食中は最後の最後まで気遣いを忘れないように。コース会食において、食の細い方(特に女性)が料理を食べきれず、残してしまうパターンが多い。

シメの前あたりで参加者全員にお腹の具合を確認し、満腹の方がいらっしゃれば量を減らす依頼をするか、ないしは自分が食べましょうか?とプロポーザルするのが好ましい。

ネガティブな話題は、何を聞かれてものらりくらり

会食中に悩ましいのが、クライアントから話を振られる陰口やネガディブな話題である。「◯◯役員は社内政治ばかりしている」「取引先の◯◯社が全然イケてない」のような話題だ。

こういった話題に対しては「原則黙る、何を聞かれても肯定も否定もせず、のらりくらりとかわす」が最適解だ。場が悪いと判断したら手洗いで一時離席するのも手である。

少しでも同調してしまうと、後から悪口言われていた側の方との人間関係にヒビが入る可能性がある。細心の注意を払いたい。

このようなシチュエーションに遭遇した際、タイミングを見計らってポジティブな話や楽しい話題に切り替えるよう誘導できれば貴方も会食上級者だ。

飲み放題をつけていない場合に必須、料金コントロール

殆どの企業において会食には金額上限があるだろう。もしその上限を超えた場合に金銭負担するのは、自分では無く上司である。

往々にして、自由に金が使える独身若手より家庭を持つ上司の方が個人の裁量で使える金が少ない。自身のザル見積もりが、お小遣い3万円倶楽部の上司を息の根を止める可能性があることを心得よう。

飲み放題をつけていない場合、アルコールの注文数によって金額上限を平気でオーバーしてしまう。経験上、クライアントがワインリストをニコニコと見始めたら要注意である。

若干のオーバーは仕方ないにしろ、数万単位でのオーバーを避けるためには、適宜席を外してお店の方とコミュニケーションを取るべきだ。また、選定基準合意のタイミングで、上司と予め予算オーバーの可能性が出てきた時の対応を擦り合わせておくのも好ましい。

予算上限を伝え(予約時に伝えてもよい)、超えそうな気配があったらアラートを自分に出してもらえるように予め依頼しておくと安心だ。場合によってはアルコールの提供スピードを落として貰う、早めにアルコールのラストオーダーを取ってもらうのもお勧めである。勿論クライアントには絶対バレないように。

会食後編

スマートな支払いと手土産・プレゼントの準備

支払いについては宛名を事前に確認のうえ、領収書を貰うことが求められる。会食の多いパターンは下記3点である。

  • 自社が一次会、二次会全て出す

  • 自社が一次会、クライアントが二次会を出す

  • 自社・クライアントで領収書折半する

今回、どれに該当するのかを予め上司に確認しておくことがスマートな支払いには不可欠である。また、手土産については店に先につき、店の方に預けておくことが好ましい。置き場所がないからと言って決して手土産を床に置かないように。

また、プレゼントを準備した場合は、渡すタイミングにも配慮をしよう。せっかくプレゼントを渡し、相手が感極まっているタイミングで会計を求められたりしたら興ざめだ。必要に応じて店員の方に協力を仰ごう。

帰宅者へのタクシーの準備

会食終了後、帰られる方のタクシー準備を忘れてはいけない。
事前に店に頼んでおく/タクシー配車アプリで呼ぶ/タクシー乗り場で乗るの3パターンが大抵だが、相手がよほどの重役でない限りはタクシー乗り場で乗る、でいいと思う。その際、タクシー乗り場を事前に把握しておき、誘導できるよう下見の際に確認しておくことが好ましい。

二次会への誘導

Tipsでも記載したが、ここでゴタゴタしているとせっかくの会食の仕切りが台無しになる場合がある。特に雨の場合は要注意だ。
上司・クライアントの意向を伺いつつ、話がまとまらない場合のプランBを自分の中で用意しておこう。雨の日は、会計の前後あたりで意向を聞くことが望ましい。

もしプランBで用意していたお店を利用しなかった場合は、後日複数人連れて伺うことでリカバリーをしよう。そうした信頼関係のある店をいくつか作っておくと、会食で困ることが激減する。

御礼メール

会食終了後の翌日朝には、クライアントはもちろんのこと自社の参加者にも御礼メールを送ろう。筆者はクライアント各人での御礼+全員が入ったメールでの御礼メールを送る場合が多かった。

お勧めは会食終了後当日、記憶に残った話をスマホのメモ帳に記載をしておくことだ。翌日になると忘れている場合が多く、当たり障りのないメールしか送ることができなくなってしまう。当日中に明日の御礼メールで書きたい内容をまとめておこう。

最後に:会食はビジネスの打開策だ

会食後、達成感に浸る時間はない。再度、当初立てた目的を見返し、それを達成するために何をすべきか戦略を考えた上で行動しよう。

一つ言えることは、会食があった場合となかった場合で、ビジネス目的達成の難易度が大きく変わるということだ。

yuuuは今までノイローゼになりそうな交渉や胃がもげそうな困難を、会食後1-3日目で乗り越えてきた。

そのどれもが、会食がなかった場合には乗り越えられなかったと確信をしている。それだけ、顔を合わせて食事を共にし、楽しい時間を過ごすことは重要なのである。

会食において店選びは最重要ではない。会食の本質は、相手への想像力と思いやりだ。それを伝えようと思い、会食というテーマだけで約1万字の記事を書いた次第である。

当記事は、広告会社を卒業した私なりの「卒業論文」だ。ポンコツ極まりないyuuuを見捨てずに育ててくださった広告会社の方々に改めて感謝を申し上げたい。


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その他著者執筆note

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