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僕が弾き語りなんて始めた訳
夕方お勤め帰りに路上で座りギター弾き語りしてる人をみた。普段なら何も感じなく素通りしてるのに。素敵だと思った。
仕事帰りに何度か彼をみかけ、その度にみていた。壁に背をつけ歌っている。僕はいつも『壁』をみていた。
毎日起きて仕事して帰ってきて眠る。退屈で窮屈で、きっと1年後も5年後も10年後も同じ日の繰り返しなんだろう。見えない『壁』をみていた。
『壁』に背を向けた彼には何がみえているのだろう。何かキラキラしているものがみえているのだろう。と勝手に思っていた。
どうしてもそこに座りたいと思い、ギターをはじめた。
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初めて座った。緊張した。何やってんだろ俺は。馬鹿みたい。って思った。
逆に非日常過ぎて興奮した。生きてるって感じがした。
通りを歩いてる人をみて、同じ日々の繰り返しの人生に本当は満足していないのに、満足している素振りをしてようにみえた。笑えた。そしてつらくなった。