WOWOWのテニス中継における功罪を考える
日本でテニスを見るにあたって様々なテレビや配信媒体がありますが、その中でも外せないのがWOWOWです。
松岡修造以降の日本男子テニス低迷期でも長くグランドスラム中継を続けてきた実績があり、いわばテニス中継における老舗的存在ともいえます。
しかし近年私がWOWOWのテニス中継において感じるのが
グランドスラム全体の試合をカバーできず物足りなさが否めない
という点です。
いくつか箇条書き形式で要点をまとめてみました。
①1回戦や2回戦での有力選手の試合を見ることができない
特に一番感じるのがこの点です。
WOWOWは基本的にグランドスラムでのセンターコートでの試合(男子2試合女子2試合という組み合わせが多い。テニス知らない人向けに簡単に例えるとフェデラーやナダル、ジョコビッチといった選手の試合です)や、錦織圭や大坂なおみら日本人選手の試合を中心に放送させ、他のコート(2番目3番目に大きいスタジアムコート)をオンデマンドで配信させるという形を現在はとっています。
しかし、今年の全豪では男子女子共に日本人選手の出場が増えました。男子では錦織こそ欠場しましたが、伊藤,内山,杉田,西岡の4人と、女子では日比野,大坂,土居の3人が出場と合計で7人もの選手が全豪に登場しています。
(日比野は2回戦進出という成績でしたが、勝利した1回戦の試合はオンデマンドでの配信もありませんでした…)
特に1回戦で日本人選手が2~3人登場することもあり、また一方でナダルやフェデラー、ジョコビッチといった大物選手もカバーしなければならないので単純にテレビの一つのチャンネルだけでは足りないのです。(WOWOWはテニス専門の放送局でもないので)
また男子のグランドスラムの試合は5セットで行われる為、非常に試合時間が長くなるケースもあり、テニスというスポーツは1つのコート上で試合を行うため、1番最初に行われる試合以外は試合開始時間がわからない(前の試合が終わらないと次の試合が始まらない)ので放送予定を立てにくいのです。
WOWOWオンデマンドでのグランドスラム配信は基本的に5つのコートまでしかカバー出来ておらず、テレビではセンターコート以外の試合を放送したら、センターコートでプレーするような選手を見られなくなるので今度はオンデマンドで見るしかないのです。
その為サブコート(コート番号が大きければ大きいだけサブ扱いになっていく)の試合までなかなかカバーできず、1回戦でこのコートに当て振られた選手の試合は日本の放送では見られず、負けてしまったり…といったことは多々発生するのは今現在まで起きていることです。
②ネット配信やスポーツ専門サービスとの違い
かつてスポナビライブというスポーツ専門の配信サービスがあったことをご存知でしょうか?
スポナビライブではかつてATPツアーの配信権を持っていて、多くのテニスの試合が配信されていました。
またネット配信媒体ということもあって、チャンネルの制限数などもない為、ATP500やATP1000といった大会のサブコートの試合を含めて全ての試合を配信していました。
また私は当時の情報をカバーしていないのでわからないのですが、2017年の全豪オープンの配信もありました。恐らくは1回戦2回戦も非常に多くの試合を配信出来ていたと思います。
つまり何が言いたいのかというと、
テレビというチャンネル制限のあるような媒体だと、試合数の多いテニス大会はもはや全部をカバー不可能ということ
ですね。
③果たして現在のWOWOWテニス中継はテニスの魅力を発信できているのか?そしてジオブロックという問題点
WOWOWが錦織登場前のテニス人気低迷時代を支えてくれたことは冒頭にも紹介しましたが、現在のテニス中継のサービスに物足りなさを感じますし、Twitterなどネット上の声では
「1回戦でラファの試合をオンデマンドだけで見ろっていうの?」
なんてことを見たことがあります(私はこの声に賛同しませんが)。
スポナビライブのような配信媒体がテニス中継を開始すれば、たくさんの試合を見ることができますし、またWOWOWのようなテレビチャンネルだと契約やアンテナチューナーの設置も必要ですし、契約の決済はクレジットカードが必要となるため、特に中学生高校生のような若い学生は契約するのに敷居が非常に高いという難点もあります。
またWOWOWのテニス中継で問題があるのがジオブロック(地域制限)がかけられることがあります。
(テニスTVではATP500の全ての大会が配信されていますが、楽天オープンに関しては日本からの視聴は不可能)
テニスのATPツアーを見るにあたっては"テニスTV"というテニス専門の配信サービスが存在します。
テニスTVではATPツアーの数多くの大会をカバーして配信していますが、日本からの契約の場合、ジオブロックによってジャパンオープン(楽天オープンという名で知られていますが)は視聴できません。
無論日本の大会なので日本のテレビチャンネルで見るのは当然といえば当然なのですが、先述した通り契約する上での敷居の高さもあるので、みんながみんなテレビを持ってそれで見られるというわけでもありません。
そして話題が戻りますが、「テレビ中継が故のチャンネル数の不足」という問題を抱えていますので、楽天オープンといえど全ての試合をテレビで見ることはできませんから。
スポナビライブのテニス中継で良かったのは、ATP500やATP1000の1回戦2回戦を無料開放していたことです。これもあってかGAORAなどとの住み分けも上手くいってたと思いますし(スポナビライブで1回戦2回戦を見て、GAORAで準々決勝を見るというような形)。
まとめ・総評
私も特に近年はWOWOWのテニス中継に物足りなさを感じたり、「別の方法でテニス中継はもっと充実させることができるのでは?」と思うことも多いです。
特に"功罪"とも言えるのが、長くやってきたからこそ時代の変化やニーズ(特に学生のテニスファンに向けたアプローチ)についていけてなかったり、ケアが足りないのではと思うところですね。
厳しいことを言いますが、WOWOWの現在のテニス中継やサービス内容ではもはや視聴者やファンを満足させらることはできていませんし、潜在的なファン獲得に向けてもネックになってる部分のほうが強いと思います。
近年国内国外でもテレビ業界の衰退が非常に多く叫ばれ、ネット配信媒体の躍進が叫ばれていますが、テニス中継というところでも問題点改善点が起きているという話でした。
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