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自閉症のお子さんとの距離感と愛情の伝わり方

★はじめに

こんにちは。OKUです。

今回は、「自閉症児者とその家族の距離感」のお話をします。


自閉症の利用者さんやそのご家族(特にお母さん)と接していてよく思うことなんですが、幼少期からの両者の「距離感」とか「愛情の伝わり方」が、利用者さんが大人になってからの性格とか気質に大きな影響を与えていると感じます。


これは利用者さんの障害の重さはあまり関係なく、家族の距離の取り方によって共通するところがあります。きっと障害のあるなし以前に、親子という最も身近で本質的な人間関係の部分なのだと思います。


僕の肌感覚にはなるんですが、

こういう距離の取り方をしているお家は上手く愛情が伝わってるなあとか、逆に、こうしてきたから今も大変になってるんだろうなあと感じるところがあるので、その辺のお話をします。


役立つかどうかはわかりませんが、自閉症のお子さんを持つご家庭の今後の生活へのヒントが得られるかもしれないので、ぜひ最後まで読んでいただきたいです。



★距離感と愛情の伝わり方は比例しない

さっそく本題ですが、

次の2人の利用者さんのうち、どちらが愛情が上手く伝わってるか考えてみてください。

*「愛情が上手く伝わる」=「ご本人が愛情不足を感じない」とします。


Aさん(20代前半男性、重度知的障害、精神障害)

母子家庭で、平日はお母さんはパートに出られ、Aさんは生活介護と訪問を利用されています。たまにお母さんが土曜日が仕事の場合のみ、移動支援を利用しています。訪問でお家に伺うといつもテーブルの上におやつと飲み物が用意されていたり、ノートにはヘルパーに向けてご本人に対してこうしてあげて欲しいと細かい指示が書かれています。夜はいつも一緒に過ごし、土日はご本人が行きたいという場所へ買い物や遊びに連れていってあげています。いつもお母さんはバタバタして一杯いっぱいですが、その中でも我が子を全力で可愛がって、目に入れてもいたくないという感じです。


Bさん(20代後半男性、重度自閉症、自傷他害行為あり)

こちらも母子家庭で、お母さんは平日週に3回程度パートに出られていて、残りは家におられるか、半同居している恋人とショッピングやデートを楽しんでいます。Bさんは生活介護に通っています。夕方Bさんが帰宅してからは一緒に過ごしています。土日のうちどちらか一日はショートステイにご本人を泊まらせ、その前後どちらかに移動支援を入れて、1週間に丸1日Bさんと離れる日を設けています。お母さんが旅行に行くときは平気で連泊させます。その中でも一緒にいる間は、Bさんに精いっぱい愛情を注いで生活しています。


わかりにくい例かもしれませんが、愛情が上手く伝わってるのはBさんの方です。接触時間の長さとか距離感でから見ると、Aさんのお母さんの方が愛情を注いでいます。でも、うまく伝わってるのはBさんです。


どちらも実際関わった利用者さんなんですが、他の家庭でも結構共通しています。どちらかというと軽度の方のほうが大人になって大変になっているように思います。多分、手が掛からない分一緒に居る時のストレスや負担が少ないから、つい距離感が近くなって可愛い可愛いとなってしまいがちなんだと思います。


これは依存度の問題で、ご本人とお母さんが一緒にいる時間の長さや距離感が、ご本人にとって安心できる基準になります。


できる限り一緒にいてあげていつも精一杯してあげようと考えてると、その精一杯の状態が、ご本人にとって自分が当然受け取れる愛情の量だと認識します。


そうすると、その状態が崩れた時に、ご本人はとても不安定になります。障害があるからこそ、距離感が近くなってしまいがちなんですが、やはり他の人間関係と同じで、適切な距離というのが必要なんです。


特に、ご家族が利用者さんに依存してしまってる…だから利用者さんも…という共依存状態のご家庭がけっこう多いです。



★正しく愛情が伝わるには

Bさんで話を続けますが、彼の場合、ご家族と離れている状況に結構慣れて育っています。だからしばらく離れても不安になりません。


そして彼のお母さんは、自分の人生をしっかり満喫しています。重度な利用者さんですが(家の中の壁とかボッコボコ)、服薬などの大事な部分以外は丸投げで、テキトーにお願いします!というスタンスです。


行動援護で外に出ても、「暴れたらすぐ帰ってきてくれたらいいよ~」って感じ。ショートから連れて帰るときに、自傷で着ている服をビリビリに破り、どっかの部族かよ!状態で家に帰ると、「おっ、夏仕様やな。涼しそうやん^^」と優しく迎えてくれます。


そんなお母さんに育てられたBさんは、親子の距離は少し開いてても、いつも会えなくても、それでもしっかり愛情を受け取られています。ショート帰りには、(お母さんに会うのが楽しみ過ぎて)暴れながら機嫌がいいという謎のイベントも発生します。


そんな時は僕も普段の5割増しで優しくなってしまい、「あ~もう好きに叫んで暴れてくれぃ!」と気持ちが大きくなって、結果、駅員さんからきつめに叱られます…。


要するに、

ご家族の方々は、「自分の人生も大事にしてくださいね。」ということです。


もちろん重度の利用者さんのご家族にそんな余裕はないと思います。でも、その中でできることを探して欲しいと思います。ご本人が子供のうちにやっておいた方がいいです。


ご自身のことも労わって大切にしてあげて欲しいです。自分に余裕がなくなると、目の前の相手にも優しく接することが出来なくなって、みんながしんどくなっちゃうとおもうんです。


★最後に~家族はマジすごい

僕はご家族がどんな距離感で愛情を注ごうとも、一切否定はしません。


僕たち支援者は、(事実として)あくまで仕事の範囲内で利用者さんと関わっています。いくら好きで携わっているとはいえ、家に帰ってもずっとその利用者さんのことが頭にあるわけではありません。


しかしご家族の方は、毎晩のように夜中に何度も起こされたり、強度高度障害の対応に追われて他のことができなくなったり、そんな日常が当たり前のように毎日続きます。


一つのことを教えてやっと理解してもらえたと思っても、その場面のみでしか機能せず、ほぼ同じ場面ですら応用が利かずに1からの行程をそのたびに繰り返さないといけません。


自分たちがどんなに辛い中でもそれを続けていくというのは、大げさではなく、血の滲むような忍耐と努力が必要だと思います。きっと僕にはできない…だからいつも利用者のご家族には頭が上がりません。尊敬します。


そんなご家族に何か些細なことでもいいから、今後も僕なりに気づきを与えることができたら嬉しく思います。


最後まで読んでいただきありがとうございました^^

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