利用者さんとの適切な距離感が掴めない
こんにちはこんばんわ、OKUです。
今回は、「利用者との距離感」について、いただいた質問を取り上げてお話します。
就労支援や生活介護等で利用者さんとの距離間に悩む職員の方は多いのではないでしょうか?
親身になって接していたら変に距離が近くなって、利用者さんから友達(中には恋人や親子)みたいに思われてしまった等、僕も同じような経験をしてきたし、GHのパートさんから「ここで注意して利用者さんが傷ついたらどうしよう…」という相談されたことがあります。
こういう時はどうしたらいいのか。また、何が原因なのか、について考えたいと思います。
とりあえず、質問を紹介しますね。
“就労支援の仕事に就いて約1年半です。利用者さんとも信頼関係ができて来たのですが、ある利用者さんとの距離感で悩んでいます。
同性の方で、以前は同じ部署で働いてたけど、私が異動になって以前のように顔を合わせなくなったからか、後ろから抱きついてきたり、過剰な行動が目立つようになりました。
コロナもだし、依存的な関係になるのが怖いですが、どう接したらよいか分かりません。強くでは無いですが、やめましょうとは伝えています。
曖昧な対応がそうさせていると感じていますが、断る事で相手が傷ついてしまうのかも…と思うとなかなか行動にできません。断るにしてもどのような言葉がけをすれば良いのか悩んでいます。”と。
まず直接の問題点は、利用者さんがどのくらい理解力があるのか把握できていないことだと思います。これは言葉で理解してもらうよりも、体で理解してもらうことを目指さないといけません。
健常者は言葉を頭で理解して腑に落ちますが、彼らは言葉のニュアンスを汲み取ることが苦手なので、頭というよりは、体で、肌感覚で理解しているように感じます。
「ここは言うこと聞いておかないとマズイ場面だな」
「ここでわがままに振る舞うと自分を大事にしてもらえないな」
というのを肌で感じて、その場に適した行動を探しながら、間接的に理解していくイメージです。
じゃあ、支援者側はどうすればいいかということになりますが、僕だったら、ある行動に対するリアクションを一貫して同じにします。
・抱きついてきた→コロナが移るかもしれないからダメと突き放す
・よくものをくれる→全て断る
・仕事中につきまとってくる→特定の場面(昼食時)以外は相手にしない
要は同じ反応を徹底することです。そうすることで、相手は過剰な行動をとっても、同じ反応しか返ってこないんだと肌感覚で覚えます。
これはABA(応用行動分析)の応用でもあるんですが、もし質問者様のような問題をかかえているおられるという方は、あなたの反応が利用者さんの問題行動を誘発していたり、強化している可能性があります。
つまり、あなたの反応が彼らの行動の結果起こるメリットになっているわけです。
構ってほしくて問題行動を起こしているとすれば、構ってもらえたことが彼らが取った問題行動のメリットになっているわけです。
ただし、それよりもっと大事なことがあります。
(ここからが重要!)
それは、“一線を引いた信頼関係”が構築できているか否かです。
今回の質問における問題点は、表向きは利用者さんが傷つくのが怖い…というものですが、実は支援者自身が傷つくのが怖いという点にあります。だから、自分の心の中で一線を引いて、態度には出さないから利用者には伝わらない。
彼らは、本当に信頼関係ができている相手なら、仮に少々傷ついても、関係は絶対に壊れません。お母さんに怒鳴られても、後ろに愛情を感じたら離れないのと同じです。
だから、どんな言葉をかけるか、どう接するかというよりも、信頼関係ができているかというのが問題の根本だと理解しておいた方がよいのかな、と個人的に思います。
要するに、あなたが勇気をもって利用者さんを信じるかどうかです。
利用者さんを信じて、時には厳しい態度をとることで、一線を引いた信頼関係ができていくのではないでしょうか。
以上です。ありがとうございました。