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ミスチル田原さんのギター

 お風呂上がり、ストロング缶片手にぼんやりとミスチルを聴いて天国のような気分でいたところ、ふと気づいた。ミスチルをミスチルたらしめているのは、ギター、田原さんの影響が大きいのだなと。

 私は、それはもう擦り切れるほどミスチルを聴いてきた。この地球に生まれて四半世紀、ミスチルはいつも私にとって最高の親友。特別でいてオンリーワン。学校にも家庭にも、どこにも居場所がなかったあの頃、固く冷たいフローリングの上で「口笛」を聴き、泣きじゃくったことは私のすべての原点である。ライブで聴いている人が歌い出すほどのあたたかい詩とメロディーは、どんな時だって一番そばにいてくれた。手を繋いでいてくれた。

 桜井さん(vocal)がミスチルの魂だとするならば、鈴木さん(drum)は紛れもなく骨であり、ナカケーさん(bass)は踊るような肉体、田原さん(guitar)はそこを流れる澄んでいて真紅な血液。そうやって、たぶんミスチルが出来ている。と個人的に思う。

 彼らの一貫した楽曲主義が本当に好きで、レコーディング映像にくっついているドキュメンタリーを見るといつも魂が震える。マジで最高にかっけえ!って、叫びたくなる。曲ありき、メロディと詩ありきで、バンドの編成が進んでいることが伝わってくる。

 私は恥ずかしながら、エレキギターって、もっとピロピロ技巧のある人が上手い人なんだと思っていたことがある。技巧に長けた人はもちろんメッチャ上手い人だ。ただ、上手い人ってそれだけじゃない。技巧だけじゃないってこと。田原さんのギターを聴いているとそれがわかる。曲を表現するために、ギターはどう入っていくか。自分の技術を披露するためじゃなくて、曲の表現のため、自分はどう動いたらいいのか。恐ろしいくらいにそれが徹底されている。桜井さんを立たせるにはどこにいたらいいのか。彼なりの美学がデビュー時から一貫されていることに気づいたとき、私は鳥肌が止まらなかった。こんなに美しくて格好いい人っているんだ。ミスチルのことが更に大好きになった。

 今日も彼らの音楽や言葉は私の脳の片隅で流れている。枯れた花びらがテーブルを汚したとき、カーテンが揺れたとき、自動販売機が放つ灯りを見たとき。それらをポケットに大事にしまって、私も日々の次の扉をノックしていきたい。

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