言語探偵T 第6話
認識問題 (後編)
なぜ、「総称」に対して3つの言い方があるのか?
この答えは「総称」の捉え方にある。
3. ネイティブの捉え方の謎
「総称」の3つの言い方には、それぞれ次のような特徴がある。
(『実践ロイヤル英文法』 より)
まず、「総称」は複数のものを取り上げているので、複数形が使われることは自然である。
実際、「総称」には複数形がよく使われる。
(『わかりやすい英語冠詞講義』 石田秀雄 著より)
また、「a 名詞」の場合は、代表を取り上げている感じになるため、辞書や図鑑の説明などによく使われる。
(『英語冠詞の世界』 織田稔 著より)
では、なぜ「総称」に「the 名詞」が使われるのだろうか?
さらに、theを使うと「抽象的」な感じになるのはなぜだろうか?
これは、theをつけると「典型例(プロトタイプ)」を表すからである。
「車 (car)」を例にとると、いろんな種類の車があるが、それらの「個性(具体性)」をなくした一般的(抽象的)な「車」をtheは表している。
つまり、「a 名詞」は具体的なイメージをもつが、「the 名詞」は抽象的なイメージをもつ。
さらに「抽象度」をあげると無冠詞の「総称」が使われる。
このように、具体的か抽象的かという捉え方によって「総称」の言い方が使い分けられている。
言い換えれば、英語には「総称」を表す言い方がないため、いろんな形が代わりに使われているといえる。
(『くらべてわかる英文法』 畠山雄二 編より)
冠詞はいろいろな使われ方をしていることがわかる。
theを例にとると、「特定する」というtheの役割は単純なものであるが、その使われ方は実に「自由自在」なのである。
ネイティブの認識や感覚を捉えることは可能なのだろうか?