言語学版 ガリレオ ch.7
第7章 関わる言葉
ちまたには「わかりやすさ」があふれている。
そのような「わかりやすさ」に警鐘を鳴らしているのが、この ↓ 本。
たしかに、理解を越えているからこそおもしろい。
まさに、「「一気にわかる!」必要なんてない」のである。
この本では、コミュニケーションについても書かれている。
他者との関係がコミュニケーションであるのに、能力として問われている。
これは「関係性の個人化」であり、そこに無理が生ずる。
「実に興味深い」視点である。
言葉にも関係性で捉えるものがある。
それは、「敬語」のような丁寧表現である。
たとえば、一般的に過去形や進行形を使う方が丁寧であるといわれている。
(『正しく書いて読むための英文法用語事典』 畠山雄二 編より)
しかし、そのような表現も個別に使われるというより、人との関係の中で適切に使われる必要がある。
たとえば、could you?は丁寧表現であるが、子どもが親に使うと「下心」が見えてしまうこともある。
このように、丁寧表現は人との関係が大事になる。
さらに、どういう状況で丁寧な表現を使うかも重要になってくる。
たとえば、人に何かお願いする場合、「~していただけないでしょうか」という表現はかなり丁寧であるが、人に何か勧める場合は非常に「うさんくさい」ものになる。
(『最新理論言語学用語事典』 畠山雄二 編より)
このように、丁寧表現は状況との関係も大事になる。
つまり、丁寧表現は人や状況と関わる言葉なのである。
そのため、「〇〇は丁寧表現ですよ」と個別に捉えることは、「関係性の個人化」と同じである。
以前、飲み会が続いたときに、朝出かける前、妻が非常に丁寧な表現で聞いてきた。
「今日のお帰りは何時でございますか?」
To be continued.