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僕のポジション、君のポジション
僕には僕の、あなたにはあなたの、
それぞれ人には「役目」というものがあります。
先日、ある二時間サスペンスを観ていて、とても違和感があった場面がありました。
被害者の遺体を発見した現地の警察官が、発見した状況を主人公に説明するシーンなのですが、その芝居、力が入りすぎなのです。
めちゃめちゃ力が入り過ぎていて、苦悩の表情で状況を説明するものだから「被害者の関係者かな?」という誤解が生まれるほどでした。
その演技のせいで、状況説明が全然頭に入ってきません。
ミステリーというのは、とても気を遣うのです。
登場人物の一挙手一投足、全てが証拠になってきます。
そんな時に「違和感」のある演技をされるとバランスを欠いて、ミスリードどころか物語を破綻させてしまいます。
これに「O.K.」を出したディレクターはいったい何を見ていたのか?
その警官役を演じた俳優の気持ちはとても理解できます。
下積みを重ねて、やっともらえたテレビの仕事だったのでしょう。
ても、それでは次はありえません。
「役割」を果たしていない以上、「プロ」としては使えません。
優先されるべきは「物語」なのです。
それを壊しているようではいけません。
そもそも「脇」というものを理解していないようでは無理です。
それぞれ、仕事では「自分のポジション」というものがあります。
それは「主役」は魅力的なものです。
少しでも目立ちたい、充実した仕事をしたいという意識は働きます。
でも、物語を破綻させる熱演をすることが充実に繋がるのでしょうか?
そんな勘違いをしているようではプロ失格です。
例えるのなら、ピアノ協奏曲を演奏しているのにソリストのピアノ演奏の部分をコントラバスの担当者が奏でてしまっているようなものです。
それでは全体の演奏は破綻します。
コントラバスはコントラバスの演奏を極めるべきです。
それが出来ないのであればオーケストラにいてはいけません。
人には、それぞれ「役割」があります。
僕は「演出」の仕事をするときは、全力で影になります。
自分が濃い影になれば、光(出演者)は輝きを増します。
とことん「影」に徹する。
それが大事な仕事だと気づくことが必要です。
力演をして目立つことは「仕事」ではありません。
自分のポジションで、全力の仕事をする。
それが「プロ」です。
観客にとって、何を与えなくてはならないか?
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