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4月の読書 | 風の吹くままに
今月はたくさん本を読めた。どれも心に響くものばかりで。とくに生きることに関する話が多かった気がする。生きるということ。生きているということ。谷川俊太郎の「春」という詩のなかに、「生きているということ それはミニスカート」という文があって、どういうことなんだろうと思いながら音読をしていた小学生の頃のわたし。大人になってもさっぱりまだ分からないのである。
小さいコトが気になります/益田ミリ
とにかく我々はもっと落ち着いたほうがいい。手荷物はゆっくり下ろし、エンドロールが終わるのを待ち、わたしは名画を二倍速で観るの禁止である。
日常のなかでの気になる小さいコトを集めたエッセイ集。あるある、と思うものばかりだったが、エンドロールの話が一番印象に残った。わたしたちはエンドロールのような「待つ」に重きをおいた時間をもっと大切にしたほうがいい、という話だと解釈した。わたしは超がつくほどのせっかち人間なのでうむうむ、と思った。わたしはエンドロールはちゃんと最後まで見るのだけれど、その間どこかソワソワしている。出口が混むんじゃないかな、駐車場何時まで無料だっけ、とか。これからはエンドロールが終わったら、ふうと深く息を吐き、そうして立ち上がろうと決めた。果報は寝て待て、石の上にも三年、急がば回れ、短気は損気。
女という生きもの/益田ミリ
女の子は〇〇してはいけません。いろんな場所で、いろんな大人に、いろんな〇〇を言われて大人になったのだった。
うーん、これはよく分かる。「そんなんじゃお嫁にいけないよ。」とよく言われた。ちょっとだらしなかったり、雑だったり。そういうことを家ですると母と祖父によく言われた。言われてもわたしは直らなかった。でもお嫁にいけたわけである。あの頃、足を広げて座っていたかどうかなんて、脱いだ靴下ほったらかしていたかなんて、今全く関係ないのだ。わたしはお嫁にいけたわけである。(開き直り)
今日も怒ってしまいました/益田ミリ
怒りだけの怒りは救われている。いちばん苦しい怒りは「哀しみ」が入っている怒りだ。
仕事から帰ってくると「あー洗濯機回していない」「洗い物残ってる」「食べないなら冷凍しといてって言ったじゃん」と、夫が”やっていないこと”に目がいってしまう。夫がやってくれたことは目に見えないからだ。ごみがないのはごみ捨てに行ったから。洗濯物が干していないのは、畳んでで箪笥にしまってくれたから。やり残したものだけが目に見えて、つい口に出してしまう。あーまた怒ってしまった、ごめんなさい、と思いながら読んだ一冊。怒っていい時もある。怒ったほうがいい時もある。でもきっと、そんなにない。なるべくなら、怒らない人生のほうがいいな。
無人島のふたり-120日以上生きなくちゃ日記/山本文緒
読んだとき、あまりにも素晴らしい本だったので我慢できず感想を先んじて書いた。生きることの素晴らしさと儚さと、力強さを伝えてくれた1冊でした。よく、生きる。思いのままに、ありのままに。
自転しながら公転する/山本文緒
「だからおれたちはぴったり同じ軌道には一瞬も戻れない。」
かなり前にも読んだことがあったんだけれど、無人島のふたりを読みながら手元に置いておきたくなって買いました。もう一度読みました。大好きな茨城県のつくば、牛久、水戸あたりが舞台になっていて、情景が鮮明で、より一層入り込めた。きっと誰もがこれはわたしの物語だと思うのではないだろうか。翻弄されながら、必死に進んでいる。みんな必死なのだ。
いい匂いのする方へ/曽我部恵一
目標がない。才能がない。努力家でも策士でもない。だけど今を全力で生きる。そんなバンドになりたかったのかもしれない。今を全力で生きる。それだけで僕たちは輝けるのかもしれない。
大好きなバンドのボーカルの曽我部さんのエッセイ。曽我部さんが歌うとき、どうしてあんなに全力なのか、楽しそうなのか、生きている、っていうことが伝わってくるのか、しっくりきた。ああ、そういうことか、と思った。何を守りたくて、何を伝えたくて、何故生きているのか。わたしたちはひとりひとり考えてみていいのだと思う。考えたほうがいいのだと思う。
また来月も、たくさん本を読もう。出会う限り。出会わなくとも。今月はエッセイが多かったから、来月は小説をたくさん読みたいな。
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