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日々のまま

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エッセイ。みたもの、聞いたこと、感じたこと。あの日の旅のこと。日々のままに、そのままに。
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#旅日記

捨てたわけじゃない | 世界一周の旅に出る

捨てたわけじゃない | 世界一周の旅に出る

日本を離れたいんだと言った。現実から逃げたいんだと言った。時間が欲しいんだと。これは逃避行なのだと。でも、この現実世界には、大事な人たちがいて、思い出がたくさんあって、日常の中には小さな喜びもたくさんある。なんでもない日のこと、みんなのこと、日本のこと、暮らしのこと、家族のこと、大好きな友のこと、忘れたり捨てたり無かったことにしたいわけじゃない。わけじゃない。明日からわたしは世界一周の旅に出る。

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人生の旅日記、27年目へ

人生の旅日記、27年目へ

信州旅は26歳から27歳へ、新しいスタートの一歩のための旅でした。自分はずっと23歳くらいの感覚がずっとあって、まだまだ子どもだと思っていたのに、改めて27歳という数字を目にすると、わたしも少しは大人になってきているのかな、という気もする、そうだといいな。大人になりたいような、なりたくないような。ずっと同じことを考えている。

「なんにでもなれる。」

おまじないのようにしてお守りにしている言葉。

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豪華ではなくても、ささやかだから

豪華ではなくても、ささやかだから

豪華ではなくても、ささやかだから。だからこそ。ここにはちゃんとした幸せな時間がある。ふたりだけでも、3人だからこそ、ここにはちゃんとあるのだ。

麻績村。その読み方を全く予想が出来なかった。その村には事前に聞いていた通り本当になにもなかった。おみむら、と読む。畑と山と少しの家々だけが静かに、でも確かにあった。どれほど高いビルがある場所よりも、どれだけ多くの人がいる場所よりも、そこには確かに生命があ

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人に出会う旅をいつまでも

人に出会う旅をいつまでも

ずっとずっと心の中にいて、お守りみたいに、苦しいことがあっても、先が見えなくなっても、きっと大丈夫と思わせてくれる存在の人たちがたくさんいる。タロウさんとミカさんはその中のひとたち。こんな大人になりたいと思わせてくれたひとたち。

今回の旅の最終目的地はタロウさんとミカさんの元へ行くことでした。(前回のnote①②の旅の話のつづきです。)

石垣島に住んでいた頃、わたしの家からすぐのところにタロウ

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スマホを置いて旅したら

スマホを置いて旅したら

アラームが鳴る。時刻は朝方の3:00。わたしたちは眠い目をこすりながら身体を起こした。誕生日が1日違いのわたしと夫のお誕生日小旅行へ出かける。長野と山梨へ、会いたい人に、見たい街へ。

今回は愛車のRASHEENが旅のお供です。高速道路の深夜料金を活用するために、午前4時前に高速道路に乗るべく、わたしたちは早朝とも深夜とも言えぬ時間に出発することにした。

車に乗り込み、さて意気込んで、わたしはス

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なんでもない日記

なんでもない日記

⚪︎月×日(くもり)
10月にみっこおばちゃん(じじの妹)の3回忌があるからね、と母に言われたことをふと思い出して、この梅雨のせいで少しカビ臭いのが気になった礼服をクリーニングに出した。

クリーニング屋のおばちゃんに「急ぎじゃないかしら?」と聞かれて、わたしは「はい。」と答えた。「じゃあ2週間もらっていいわね?」と聞かれて、わたしはほとんど考えることもなく「はい。」と再度答えた。

それから3日

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どっしりとした幸せ

どっしりとした幸せ

ナバラ村で伝統家屋であるブレを見たとき、ふと竹富島の赤瓦の屋根の家を思い出した。なんとなく似ているな、と思った。造りもそうだけれど、備わっているものが。生きるために本当に必要なことだけがある家。家族やご近所さんや大切なひとたちが集まれる開放的な家。今日の天気や、季節が感じられる、つまり風を感じられる家。先人たちの知恵が詰まった土地に馴染んだ家。

そこには立派なカウンターキッチンや、冬を凌ぐ床暖房

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旅をしながらいつだって | フィジー日記

旅をしながらいつだって | フィジー日記

トゥイと別れを告げて、ナバラ村からナンディへ戻る。今日はコロトゴという場所に行く。上がったり、下がったり、昨日も通ったでこぼこの道を行く。たった一晩居ただけなのに、1日も満たない時間を過ごしただけなのに、トゥイを、ナバラ村を恋しく思ってしまう。またきっと来られたらいいな。

ナンディからコロトゴまでは、ナンディ空港から出ているバスでシンガトカまで行き、そこからタクシーで15分ほど。ナバラ村からナン

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ナバラ村にて原風景を | フィジー日記

ナバラ村にて原風景を | フィジー日記

6/20
ナバラ村でのこと。現在夕方17:30。部屋にはココナッツの身を削る音と、トゥイ(この宿のオーナー)が料理する音、それから鳥の鳴き声だけが響いていた。電気はついておらず、さっきまで読書をしていたのだけれどもう流石に暗くて字が読めず、今日の出来事を書き込むことにした。

朝、ナンディの宿にサム(運転手)は四駆の大きな車で8:20に出迎えてくれた。予定より25分早い。フィジータイムということを

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わたしが見たい景色

わたしが見たい景色

わたしが石垣島を好きな理由。綺麗な海だけではなく、小高い山々が美しい場所であること。

石垣島にある野底マーペーに登ったことがある人はいるだろうか。正式名称は野底岳。マーペーと呼ばれる理由にはある伝説が由来している。

むかしむかし、黒島から強制的に移住させられたマーペーという女性は「恋人の住む黒島を眺めたい」という一心で野底岳に登ったものの、於茂登岳というこれまた小高い山に遮られ叶わなかったらし

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思い出は過去を解放する

思い出は過去を解放する

平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』を貸してくれた友だちがいた。そのあと自分で本も買ったし、映画も何度か見た。今はもうあんまり会わなくなってしまった友を大切なときに思い出す。

そしてこの本の通り、少しすれ違った人生のあとにきっと、また出会う。細く、細く、繋がっているのだと感じる。

これはわたしの携帯電話のメモに記されたいつかのもの。確か、北海道に訪れたときに書いたような、気がする。いや、もっと

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