それは…どぉゆうコトなの?
その日、たまたま居合わせた女子中学生(らしき)4人の会話に、ぼくの耳は釘付けになった。
盗み聞きをしていたワケではない。あの音量で話されたら、耳栓をしても微妙に聞こえそうだ。
そもそも、あの場所であの音量で話しているのだから、聞こえて困るようなコトではないだろう。(自己弁護)
さて、女子中学生たちを仮にA・B・C・Dとしよう。簡易過ぎてすまない。ぶっちゃけ、『子』をつけるのもメンドクサイのだ。
彼女たちの会話を聞いたまんま、記憶の限り記すと次のようになる。
ちなみに( )内はぼくの心の声だ。
A「ねーねー。こないだのテストの時に聞いたんだけどぉ……」
B「期末?」
A「そうじゃなくて、区中全体でやった学力テスト」
C「あ~内申書じゃなくて偏差値出されたやつ?」
A「そうそう、それ」
(テストかぁ~懐かしいな。あの頃は『何でこんなものが世の中にあるんだ』とか思ったもんだけど)
D「それがどうかしたの?」
(どうしたんだ?)
A「Eちゃんの偏差値、聞いた?」
B「Eちゃん?いやぁ、Eちゃんのことだからさぞかし、良かったんじゃない?」
(Eちゃんってのは成績がいい子らしいな)
C「だよねぇ。何しろ、公式が決まっていて答えがひとつしか出ない数学の方が、微妙なところを書かなくちゃいけない国語より簡単だ、って人だからね」
(えっ!?)
D「そうそう。それでいて国語の成績もトップクラス……」
(マジかっ!)
B「……で、偏差値いくつだって?」
A「平均で72か73だって」
(な、な、な、な、72か73だとぉ~!?しかも平均がかよ!)
C「……ってことは……?」
D「どぉゆうことなの?」
(え……何だ、この子たちは?)
B「偏差値って100点満点だっけ?」
(違うだろっ!)
C「そんなテストの点みたいな……」
D「上限75とかじゃなかった?」
(そうそう、確かそんな感じだったはず)
A「そんな感じだった気が……」
全員で顔を見合わせて、しばしの間。
全「……え……って、それは……どぉゆうことなの?」
(バカか、きみたちはっ!Eちゃんの成績がメッチャいいってことだろが!)
心の中でツッコミつつ、平均偏差値が72ってことは、つまり、ほぼ全科目がパーフェクトに近いってことだ。
ちなみに、その後で調べてみたところ、偏差値は基本としては25~75で表されるが、
偏差値=50+(自分の得点−平均点)÷2
と言う計算で算出するため、厳密には100を超えたり、時にはマイナスになることもあると言うショッキングな事実を知るハメになったぼく。
そして、この後、数ヶ月の時を経て、ぼくは再び彼女たちの会話と相まみえることになる。