〘夏祭り2024〙 心こそこの大空にはばたかせ
本日、2024年8月6日、ハローの日。
矢口れんとさん 率いる 神話創作文芸部ストーリア(旧・note神話部)恒例『夏の企画2024』、このたび5回目の夏の企画となります。
昨日、初日担当は 吉田翠さん。
2日目は私・ゆーりんちーが担当です。
ちなみに今回のテーマは『神話✕児童文学』!
児童文学ってなに!?(白目)と私は言いたいwww
そんな私が、一応神話は出て来るけど児童でも文学でもくんずほぐれつでもないアレをお送り致します😂😂😂
この夏、どんな神話✕児童文学 ( by Mythology ) が繰り広げられるのか!?
今回はまったくはっちゃけてませんが、ひとまず、児童も文学も横に置いてご覧いただけましたら幸いです!( ꒪⌓꒪).。oO
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『心こそこの大空にはばたかせ』
暑い暑い夏。
帳友町にある帳友学園初等部では、生徒の希望で夏休み中もクラブ活動が行なわれる。ここ、神話クラブでも4人の生徒が出席していた。
「さて、今回は暑い夏にピッタリ。太陽の熱で溶けてしまう話だ」
銀先生が一冊の本を見せた。
「これはギリシャ神話の『イカロスの翼』という話だ。知ってる人はいるかな?」
「はい!」
生徒の1人が手をあげた。
「はい、太日向くん」
「イカロスがロウで固めて作った翼が、高く飛びすぎたせいで太陽の熱で溶けて墜落しちゃう話です」
「その通り。じゃあ、この物語を知らない人に、もう少しくわしく説明していこう」
先生は、黒板に登場する人物や神様の名前を書きながら物語を説明した。
「主人公のイカロスは、有名な大工であり発明家でもあるダイダロスの息子だ。怪物ミノタウルスが閉じ込められている迷宮の抜け道を教えてしまったため、親子は王様を怒らせて閉じ込められてしまった。そこで2人はロウで鳥の羽根を固めて翼をつくり、空を飛んで逃げることにしたんだ」
そこで月夜野さんが手をあげた。
「先生。何で2人は空を飛ぶ乗り物じゃなくて翼を作ったんですか?」
「さて、何でだろうな? きみたちはどう思う?」
「すごい発明家なんでしょ? そんで大工仕事もできるんなら作れたんじゃない? いや、もしかしたら作ってみたかったのかな?」と彗田くん。
「そもそも乗り物の方がむずかしかったとか?」と太日向くん。
「鳥みたいに自分で飛んでみたかったのかも」と流川さん。
その時、月夜野さんが「あっ」というように流川さんを見た。
「それ! 流川さんの言うように、乗り物じゃなくて、自分で飛ぶことにあこがれてたのかも? でも、自分で飛ぶなんて、ちょっとこわいけど」
月夜野さんの言葉に先生がうなずいた。
「確かに、空を飛ぶことにあこがれがあったかも知れないね。でも、月夜野さんの心配ももっともだ。実は、この時、ダイダロスはイカロスに二つのことに注意するように言ったんだ。太日向くん、覚えているかな?」
「はい。ロウは水と熱に弱いから、海と太陽に近づきすぎないことを教えました」
「その通り。ところが、自由に空を飛べることがうれしくなったイカロスは、この注意を忘れてしまったんだ。そのまま太陽に向かって飛んだイカロスは、翼が溶けて海に落ちて死んでしまう」
「「「うわぁ……」」」
物語を知っていた太日向くん以外はブルっと体をふるわせた。
「少しむずしいかも知れないが、じゃあ、この神話は何を言おうとしている話だと思う?」
最初に「はーい」と手をあげたのは彗田くんだった。
「はい、彗田くん」
「大昔でもすごい技術があった、ってことだと思います!」
「なるほど。確かにすごい技術だよね。でも、じゃあ、何で海に落ちて死んでしまったことまで書かれているんだろうか?」
「え、あ、そっか……う〜ん……」
だまりこんだ彗田くんの隣で流川さんが手をあげる。
「自分はこんなふうに神様と同じように飛べるんだ、って自慢したかったんじゃないかと思います」
「うん、確かにそうだね。人間なのに、神様と同じくらいすごい力を持っているんだぞ、と見せびらかせたかったのかも知れないな」
その時、月夜野さんが「あれ?」というように首をかしげた。
「先生。今、思い出したんですけど、こないだ合唱コンクールの練習が掃除してる時に聞こえて来て……もしかして、あの歌はこの神話を歌っていたのかもと思って……」
「ああ、『勇気一つを友にして』だね」
「何ていう歌かはわかんなかったです……でも……」
「うん?」
月夜野さんが話しにくそうにモジモジしていると、
「何でも思ったことを聞かせてほしいな」
「そうそう。どうせ、おれたちしかいないしさ」
先生と太日向くんが催促した。彗田くんと流川さんも「うんうん」とうなずいている。
「えっと……もし、流川さんが言ったみたいにイカロスが『自慢』したかった、っていう話なら、歌にはしないんじゃないかな、って思って……」
月夜野さんが言うと、「あ〜それはそうかも!」と彗田くんがポンと手を打った。
「そういうふうに考えていくとおもしろいね。では、そのことも含めて話していこう」
先生は『勇気一つを友にして』の歌詞を黒板に書き込んだ。イカロスの話をするのなら、きっとこの歌詞も必要になると用意していたに違いない。
「さっき、みんなに質問した話に戻るけど、この話で重要なのは、流川さんが言ったように『イカロスが自分のすごさを見せつけている』ところだ。これをむずしい言葉で『傲り』とか『慢心』なんて言うんだけど、それで神様を怒らせて命まで落としてしまう。思い上がってはいけない、と人々に教える内容になっているんだ。
ところが、『勇気一つを友にして』では、イカロスが空を飛んだのは『勇気』であり、それは素晴らしいもので、みんなでその『勇気』を受け継いでいくんだ、と歌っている」
「何でそんなに違っちゃったんだろう? どっちが正しい神話なのかな?」
机に両手をついた先生が、首をかしげるみんなを見渡した。
「どっちが正しいと思う?」
4人は顔を見合わせる。
「神話の方だと思います」
まっさきにそう言ったのは太日向くんだった。
「うん。ストーリーという点では、神話の方が正しいはずだ。じゃあ、何でこの歌ができたのだろう?」
先生はもう一度みんなの顔を見渡した。
「イカロスがかわいそうだったから?」
「ありそう!」
「自分で神話を作りたかったから?」
「それもありだな」
4人があれこれ話しているのを真剣に聞いている先生の顔はどこかうれしそうだ。
「先生は何でだと思うんですか?」
彗田くんが質問すると、他の3人もいっせいに先生の方を見る。
「ふむ……何故、違う内容のものが作られたのか──まず、みんなの意見のどれが正解であってもおかしくない。でも、どれも正解じゃない可能性もあるね」
「そっか。作った人が違うもんなー」
「何で作られたかまでわかんないよね」
「そうだね。まず土台にあるのは、神話ではこのイカロスの行動は反省するべきものだ、と言っていることだ。では、その物語があるのに、まったく違う話を作るのに必要なものは何だろう?」
4人の目が答えを探すようにあちこちを向く。
「ん〜」彗田くんは考え込む。
「創作……や、発想?」流川さんは首をひねる。
「想像、かな?」と太日向くん。
「私も想像力だと思う」月夜野さんが太日向くんに賛成する。
先生は「うん」とうなずいて、『想像力』と書いた。
「どれも合っていると先生は思う。物を作るには技術も必要だけど、発想力も必要だ。『考える想像力』の先に『作る創造力』があると考えているからだ。けど、みんなに覚えておいてほしいのは、想像力が必要なのは、何も物を作るためだけじゃない、ということだ」
「「「「???」」」」
「これも『つくる』ことの一つに含まれるかも知れないけど、例えばきみたちの関係だ。神話や歌詞が作られた本当の理由がわからないように、人の気持ちが完全にわかるなんてことはないだろう。だけど、相手がどう思うか、どう感じるか、想像する努力を忘れないでほしい。これは、これからきみたちが物を作る時にも、人間同士の関係を作る時にも、きっと必要になると思うよ」
これより数年後、4人の生徒のうち2人が帳友学園の先生となるのだが、それはまた別のお話。
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いやぁ〜児童文学って何でしょうかね?ww😂
ちなみにタイトルは575調でまとめておりますw(なんのこっちゃ)
それでは皆さん、さいなら、さいなら、さいなら〜
明日は 笹塚心琴さん です!
お楽しみに!
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