
GP2023調整録【赤黒バイク】
GP2023 1st、皆さんお疲れ様でした。
私はGP9th以来の大型大会参加となりましたが、6-3予選落ちという結果に終わりました。
フォーマットはアドバンスだけの出場となりましたが、ある程度調整に時間をかける事が出来たので、いつも通り振り返りたいと思います。
調整前段階
アドバンスは前回のGP2022以降、全くと言っていい程に触れていなかった為、一旦最強位決定戦やデュエバサなどの動画を何度か見直すことに。
その後、最強位決定戦付近のツイート等を全体的に調べる事で環境を把握する事に努めました。この時点でアドバンス環境に対しての印象は以下の通りとなります。
全体所感
サガを中心としてメタゲームが回る
選択肢はサガ、万軍投、赤青アポロの3択
赤青アポロはサガと万軍投に勝ちやすい
この時はデュエバサの思考が色濃く出ていると思います。全体所感を見ていただければ分かる通り、赤青アポロの通りが良さそうだという考えが明確に表れています。
これらのイメージを持って調整に入る前に、数字(確率)の部分で整理できる所は先にやってしまおうと考えて、取り敢えず出せるだけの数字を出しておく事にしました。
数字整理
サガに関しては、「サガが2枚揃う確率」を整理する事にしました。
先1→6.8%
先2後1→9.9%
先3後2→13.4%
先4後3→17.2%
先5後4→21.3%
(先2ルータ+通常ドロー)
先6後5→25.5%
(後2ルータor先2ブラッディ+通常ドロー)
先7後6→30%
(後2ブラッディ+通常ドロー)
先8後7→34.5%
(先3ルータ2回目+通常ドロー)
先9後8→39.1%
(後3ルータ2回目or先2ブラッディと先3ルータ+通常ドロー)
先10後9→43.8%
(後2ブラッディ+ルータ+通常ドロー)
先11後10→48.4%
先12後11→52.9%
※イワシン絡むと全部1個飛び
大体ルーター呪文を撃たれるだろうという前提でサガがどれぐらいの確率で揃うのかを意識しています。
こうしてみると、2ターン目にルーター呪文を撃っていれば先攻でも5回に1回、後攻なら4回に1回の確率でサガが揃って即死してしまいます。
この時点でゼーロン(サガとかオービーとかの)を採用する事は、死へのカウントダウンを進めてしまうと考えて断念しました。
その後、数々の2コストメタクリーチャーを候補として色々試す事になるのですが基本的にメタクリーチャーを出す時のアーキタイプがビートに寄る事が多く、相手ターン中のキューブリックで死んでしまうかサガ以外に勝ち辛くなる可能性が多いと考えて、相手の先攻3ターン目のサガはこの時点で割り切る事にしました。
※警官によってメタクリーチャーを戻された時、実質的なエクストラターンを与える可能性も多く、危険であると判断しました。
少し脱線しますが、パルテノンも勿論候補には上がっております。しかし、割と遅めのアーキタイプで採用される事が多いのとパルテノンだけではサガ側が付き合わずに無限にDOOMを着地させるための状況を作り続けて行くという事態が発生した為、没になっています。
本大会では私も使用した赤黒バイクに採用している方も多数見受けられましたが、同ターンの下バイク→バイク×2→バルチュリスの黄金ルートを自分で潰してしまう事と、色事故を可能な限り起こしたくないという気持ちから私達の中では排除する事としました。
次に、赤青アポロの数字整理へ。
今回は2コストタマシード+カチコミ+5枚の上バイクの内1枚+アポロ1枚が揃う確率を出しましたが、実際はアポロ2枚で成立する場合もあるので期待値計算をするべきだったと思います。
①シブキの場合
先3:17.1%
先4or後3:24%
先5or後4:31.4%
②アストラルの場合
先3:24%
先4or後3:31.4%
先5or後4:38.9%
こうしてみると、大体40%~50%いかないぐらいでアポロが成立するかなという感想になりました。
少し低めの確率であった為、使用候補からすぐに外れるように思えますが、サガ側が先攻5ターン目or後攻4ターン目でルーター呪文1枚+サガor学校の5枚の内1枚を引く確率が40%を超えなかった為、使用候補から消える事はこの時点ではありませんでした。
ここまでで数字の整理を終えた所で、いよいよ調整がスタートします。
調整初期
初期はとにかくサガに向き合う事を意識した為、サガとぶつけ続けました。
対面は以下の通りとなります。
アナカラージャオウガ
4c万軍投
5c万軍投
赤緑モルトNEXT
※アポロとの対戦は数字で整理出来たと判断して全カットしました。
アナカラー及び万軍投所感
アナカラー及び万軍投に関しては、50戦程度やった中で勝ちパターンを抽出した結果、とこしえを複数体展開出来た時にゲームに勝つという事が目立ち、それ以外のゲームでは思った程勝つ事が出来ませんでした。
とはいえ、アドバンスのCSは殆ど開催されておらず、最強位決定戦の優勝者の使用構築である事、デュエバサの動画等から情報を引っ張ってくる可能性が高いと考え、可能な限り勝率を上げた万軍投をトッププレイヤーは持ち込む可能性を否定出来ず、最後まで意識する事とします。
モルトNEXT所感
想定していた数倍サガに勝てませんでした。
この時の感触は、「アポロよりもリスクが高い」という状態に終始収まっていました。
しかし、NEXT自体は「サガ以外には勝てる」というポテンシャルがあった為、サガの調整を一旦中止してNEXTの調整に切り替えました。
NEXT、割とやってる説
モルトNEXTは以下の対面と調整しました。
赤青アポロ
5c万軍投
4c万軍投
NEXTのリストは以下の通りです。

アポロ所感
先に走るゲームなイメージがあるとはいえ、革命の絆等で凌いだ後、次元構成と盤面形成にミスが無ければ先に走られても捲れる可能性があると判断しました。多めに見積って5分超えれば嬉しいけど実際は本当に5分に収束するかなという感触でした。
万軍投所感
想定していた数倍、万軍投に勝てました。
とこしえ複数体展開やゼンノーに苦しめられがちとはいえ、上から突如降って湧いてくるボルバル8のパワーが凄まじい事が理由です。
全体所感
候補はサガ、NEXT、赤青アポロの3択
赤青アポロは次点候補
万軍投は本大会において負け組の立ち位置
大きな変化は万軍投が完全に使用候補から切られた所です。NEXTが赤青アポロに思ったよりも良い勝負をするので、実質的にはサガかNEXTの2択になったと言っても過言ではありませんが、NEXTのサガへの勝率は無視出来ず、最大母数になる可能性もあるサガから逃げるのは嫌だな~という事で私達の中ではサガを使用する予定としていました。
調整中期
サガを使用予定と決めたタイミングで、私は今回初の試みでもある「自コミュニティ以外での情報共有」を実践したいと考えました。
今回、協力してくれたのは「ばんぱく」です。
さりげなくTwitterのリプで社交辞令っぽさ満載のお願いをしていたのですが、快く引き受けてくれました。
ばんぱくの一声
ばんぱくはGP前という事でデュエマフェス、CS等に参加して使用率等の情報共有を行ってくれました。ざっくりした内容は以下の通り。
とこしえデドダム基盤使用者が多い
サガは一定数存在する
赤青アポロの通りが良さそう
自分達は使用候補から切り捨てた万軍投が割と多いという事で、ギャップ負けが存在しないように万軍投は改めて想定敵として意識する事にしました。
そして、彼の一言が今後の方針を変えます。
ばんぱく「赤黒バイクが強そうです。」

というわけで最初に貰ったリストがこちら。

2点→3点→バルチュリス
万軍投へのニンギョ
アポロへの受け手段をバラド
なるほど。確かに共有してもらった内容から赤黒バイクは非常に有効だという事が分かりました。というわけで早速回してみる事に。
対面は現時点の3択です。
サガ所感
2点→3点→バルチュリスが思ったよりも決まるが、意外とイザナギ等に阻まれやすいという結果でした。
とはいえ、早い段階で殴る事が非常に有効であることを再認識できたのは非常に良かったと思います。
トリッパーはダンタル型でない限り(コンチェルト、ハバキ、イザナギ+チャージャー等)は先攻で出せると相手の返しのループを咎めることも出来、2コストのクリーチャーとの刻みが非常に有効でした。
万軍投所感
どちらにも有効な勝率が出ました。
4cに関してはガイアッシュカイザーが存在するため、それなりに選択が必要ですがGSに受けが寄りがちな5c万軍投に関してはレッドゾーンFが刺さりやすく、どちらもバルチュリスが強く出れるのは良かったと思います。
バラドが入り始めている話もありましたが、中々赤マナを確保するのは早いターンだと難しいのではないかという考え(甘かったかな)もあったので、そこまで気にしてはいませんでした。
赤青アポロ所感
バラドが有効札になる事に加え、ドキンダムのソウルからドキンダムのソウルを出せる事から禁断解放のカウンターも狙える事が分かりました。
結局最後はクロックのゲームになる事も多くありましたが、雑に盾を割ってもリスクが思ったより高く無かった事もありバイク側が勝ち越すという結果に終わりました。
赤黒バイクの課題
ここで課題となったのは2点です。
多色の多さ
2コストのバリューの低さ
1点目に関しては、2コストを採用しているが故の課題と言っていいかも知れません。
2コストを出すために単色マナを置いてキャスト。その後、トリッパー等を出すために単色マナを置いてキャスト。
このような流れが20枚の多色では再現性が非常に低かったのです。
2点目は1点目とも関連するのですが、2コストを採用するメリットに1打点ずつ刻むという物があります。しかし、トリッパーをキャスト出来なかった場合に、変な感じで刻む事になったり結局序盤の1~2ターンを凌ぐためのキャストに終わってしまう事が多かったのです。
というわけで少しでも再現性を上げる為に黒単色のトリッパーを採用するかと言うと、それもバリューが出てくる訳ではありませんでした。
むしろ2コスト活かす為だけに多色のパワーカードを切って役に立たないこいつを採用しなければいけないのか…という思いが強くなり一旦ここで構築が迷走します。
構築の修正は、ばんぱくに任せて私は2点→3点→バルチュリスを活かせそうなアーキタイプを模索する事としました。
※対万軍投においてニンギョが勝つゲームにあまり絡んでいないなども1つの理由として挙がりました。
寄り道の赤黒邪王門
というわけで私が目を付けたのが赤黒邪王門。
2点→3点→バルチュリスを残しつつ、バラドだけではなく邪王門で受けも強固に。
こりゃ強いアーキタイプ見つけちゃったかな~とウキウキで自コミュニティにシェアして回してもらうも、バイクの時に感じた色バランスの課題がここでも存在し、バイクの時には無かったとこしえという最大の弱点が表面化した事でアポロ以外の想定対面の勝率が低下してしまった所で私もバイクに戻る事にしました。
調整後期
私が赤黒邪王門にかまけている間に、リストはより洗練される事になりました。
最終的に約1週間前に完成したリストがこちら。

本大会では、下バイクを引けなくて負けという事態を少しでも回避する事、ドキンダムのソウルの引っかかり、とこしえの意識などでドレッドにしていましたが、ここはそのまま単騎の方が結果的には勝率は上がっていたかなと思います。
初期リストとの大きな差は3ターンスタートに切り替えた所。無理に2ターン目に動かない事で減らせない多色をそのまま採用する事が出来ました。
また、単色19枚の内、2枚を引く確率は80%を超えており、この確率通せないなら負けで良いというメンタルに切り替えました。
さて、いよいよ最後の調整です。
対面はこの時点で想定したアーキタイプ全てです。
サガ所感
先攻3ターンサガのみを割り切った構築ですが、先攻でも後攻でも強いウサブレラ、先攻だった場合相手の返しのループを咎められるトリッパーと、サガへの対策は完璧なものになりました。
ダンタル型に関しては、時間が掛かるという話も聞いていたので従来のDOOMのみを意識する事にして調整終了です。
万軍投所感
ニンギョがない分、少し苦労するかとも思いましたがウサブレラとトリッパーで強く出られる事もあり、そこまで大きな影響はありませんでした。
赤青アポロ所感
バラドを4枚採用に変えたことで、ソニック→ヒート蘇生から効果でバラド回収といった動きの再現性が多少上がり、今までよりも勝率が出ました。相手の先攻3ターンアポロに対して捲れるかどうかぐらいですが、数字の上では低いわけですし、ここは割り切りです。
モルトNEXT所感
良い意味でも悪い意味でも5割程度。
革命の絆が物凄く強い捲り手段かと言われるとそうでも無いのでプレイで何とか出来る部分が割と多かった気がします。
とはいえ、対して何も出来ない所に相手にメンデル→アイラ下呪文→NEXTでボードを取られると、めちゃくちゃさっくり負けてしまいます。
不安は残るものの、実質的なライバルがアポロからNEXTに変わったという感じです。
全体所感
サガ、赤黒バイクの2択
どうしても嫌ならNEXT
もう少し詳細に書くと、バイクに勝つことができないがバイクが苦手にする対面に勝ちやすいサガor4c邪王門や受けが強い対面に勝てないが、メタゲーム内なら最強の赤黒バイクという私達の中では贅沢な2択を作れました。
現在のGPではメタ読みしたって仕方がないみたいな話もそれなりに聞きますが、やはりメタゲーム内で勝ちたいという気持ちが強かったので私は赤黒バイクをこのまま選択しました。
この時点で残り2~3日程度ありますが、残った課題の結論を一旦出さないと行けません。
強いサガのリストは結局何か
割り切り理由の言語化
モルトNEXTとのお別れ
1点目に関しては、結局ウォズレックの審問を採用するという考え以外何も浮かびませんでした。

ウォズレックは先攻で撃つと強い状況が数多く存在するものの、自身のリソースを吐いている時もあり一長一短という所です。
どこまで行っても足回りの部分(そりゃフィニッシュは強力なものがあるからそうなるんだけど)に調整リソース割いている気がして、バイクを使う理由の後押し要因になってしまったかも知れません。
2点目と3点目に関しては、私のプレイヤーとしてのエゴを優先してしまったという部分もあると思いますが、根本的な理由に「メタのメタに回りたくない」という思考があると思います。
今回、私の中では1番目に来るのはサガでした。それの対策として赤黒バイクを使用する事になります。
これの直接的なメタに4c邪王門、アーキタイプ的なメタの部分にモルトNEXTが位置していました。プレイの練度等が存在するのは勿論ですが、4c邪王門、5c、NEXTとサガへの勝率が低いという事は私達の共通認識として存在しています。(自コミュニティの話)
ここで、「GPはよく分からないがサガを使う」というプレイヤーと「最後まで読んで4c邪王門、5c、NEXTを使うプレイヤーが多そうだからサガを使う」という両方にぶつかる可能性が非常に危険だと感じていました。
ここを読み切るのがメタゲーム把握能力に長けているという事なのか、そもそもNEXT等がメタのメタという立ち位置では無かったのか、メタという概念ではなくサガと対になっている存在なのか、ここら辺の文章は殆ど存在していない為に何とも言えませんが私は前述のような捉え方をしました。
3日前、ばんぱくよりサガを使う連絡を貰い感謝しながら実質的に全ての調整が終了。
コミュニティもアーキタイプを選択した所でいざGP当日へ。
GP当日予選結果
1回戦 青黒サガ 〇
ウサブレラスタート。
上バイクが引けなくてぺちぺちしてたらオブザと雲人で上ヒート要求の所で引けて勝ち。
2回戦 黒ガイアッシュ覇道 〇
2点→3点→バルチュリス
3回戦 赤緑NEXT 〇
2点→3点→バルチュリス
4回戦 青白ライオネル ×
パルテノン設置でキルルート確保が難しい。
相手のライオネル複数体展開からジョリーMAXにソウルから禁断解放。上手い具合にペちった所でコーライルのタマシード引かれて負け。
5回戦 45枚アナカラー 〇
レッドゾーンF2点からクロック。
キャディ出されるもマナ無理やり増やしてF→下攻撃→バルチュリスでクロック無くて勝ち。
6回戦 赤青アポロ 〇
相手マニフェストにマッハファイター女。
タマシード2体展開された所にバイクで走る。
受けられた後、ファイアから2回攻撃付与されたアポロが飛んでくるもバラド4枚抱えてて問題無し。ソウルで限界まで山掘ってヒートからレッドゾーンZ。最後の盾焼いて勝ち。
7回戦 青黒サガ ×
ウサブレラもトリッパーも引かない所で後3サガからボルバル8ルートで負け。
8回戦 赤青アポロ 〇
トリッパー→F→トリッパーバルチュリス。
相手が2ターン目に監獄を出していた関係で盾残らなかったのでそのまま返したターンに投了貰って終わり。
9回戦 ドロマー天門 ×
盾仕込みから天門。
エモーショナルハードコアで禁断とブラックゾーンが宣言されてギリギリの所で負け。
というわけで6-3で予選を終えました。
自コミュニティは5人中1人がBest64、3人が6-3でした。
終わりに
取り敢えず4000人という規模に滅茶苦茶疲弊しましたが、何とか乗り切れて良かったです。
毎回5thぐらいから大体完走は続けてるけど予選上がったGPは特に無し。
今後は新潟の超CSに抽選通れば嬉しいかなという所です。
ここら辺で最後かな~という気持ちでやっていましたが、なんだかんだ同年代が予選上がるのを見ちゃうともう少し頑張りたいなとは思いましたね。
アクティブにCS出ることも出来ないような状況にはなりましたが、限られた中で出来るだけの結果を出せるよう、今後もDMは触っていきたいです。
最後になりますが読んでいただいた皆様、誠にありがとうございました。
SpecialThanks
※敬称略/アドバンス参加組
ばんぱく
ばきゅ
ジンジャー
Jasmine
NB