ファイナルファンタジーXVI クリア感想
PS5版にて難易度アクションフォーカスでクリアしました。クリア時のバージョンは1.34。試練やDLCは未プレイ。
FFシリーズのナンバリングのみのプレイ歴は、12(PS2) → 10(PS2) → 7(PS) → 9(PS) → 8(PS) → 3(DS) → 4(DS) → 13 → 15 → 7リメイク(PS4)。
発売前からFF14の吉田直樹さんとその開発陣が開発担当とのことでゲーム業界は大いに盛り上がっていましたが、いざプレイしてみるとこれは優等生な出来栄えだなと感じました。特に「物語」「戦闘」「映像」のクオリティは高い。
反面、ストーリー・RPG要素・フィールドなどといったところは割り切られているものが多く、また物語は最初から盛り上げてくれるものの、ゲームの遊びとしてのエンジンがかかるのは中盤くらいからなのも勿体ないなと感じました。
では、感想にいきます。
前置き:スクリーンショットについて
私が普段から上げるゲームのスクリーンショットはありのままの姿で添付しているのですが、今回のFF16だけに関しては暗くて見にくいので、スマホアプリのPS Appからダウンロードしたスクショをスマホの編集ソフトで、私のモニターとにらめっこしながらモニターの発色と近くなるように編集しております。
こんな横暴を行っている理由は、私が見にくいからというのもありますが、私がFF16プレイの途中でHDRに対応したゲーミングモニターに買い替えたからなんです。結局、映像が暗くなるのは使ってるテレビもしくはモニターがSDRのみ対応のせいなので、要はFF16やるときはHDR対応機種が良いよ、という押し売りです。私は世界が変わりましたね。
ちなみに、これが買い替えたときの記事。
では、今度こそ感想へ。
物語
まず私が思ったのは、シナリオが凄く丁寧だというところ。体験版でプレイできる少年期から製品版でプレイできる青年期にかけて、主人公・クライヴの人となり、魔法を使えるベアラーたちへの差別とはどういったものか、召喚獣を宿すドミナントとはどのような存在か。適切な場面、程よいタイミングでクライヴを通じて情報をプレイヤーへ伝えてくれていると感じた。
それらがただの説明セリフにはならず、例えばFFシリーズ伝統の名を継いでいるシドならその先の使命にちゃんと繋がっているため、クライヴが如何に影響を受けたかも理解しやすい構成となっていた。というか、今作のシドは男が憧れるカッコいい男なんだよね。クライヴがヒロインに見えちゃうよ。
また、登場人物のほとんどが第一印象のままブレずに役割を演じてくれていたのも良かった(あの女の結末は納得してないが)。長編物になると信頼していた者が実は裏切者だったとか、世界を救うための行動が実は破滅へ進んでいたみたいな変化球を出すものがあるが、今作はダークファンタジーながら王道ファンタジーでもあったので安心感はあった。あいつは裏切りそう、なんて思ってた私の心は汚かったことが証明されちゃった。
ただ、クライヴの青年期から壮年期への流れに関しては個人的には混乱してしまった。少年期から青年期で見せたクライヴの復讐者としての話とベアラーたちへの差別が強烈すぎたので、壮年期からの世界とクライヴの真実の話にはなかなか頭を切り替えられなかった。内心は、「あれ、そんな話だっけ?」と疑問すら湧いてた。
そう思いながら終盤近くになって私はようやく、これは世界を救う勇者の物語でもなければ、世界を恐怖に陥れる悪党の物語でもなく、クライヴの物語なんだなと合点がいった。もしかしたら、壮年期に入るまでは全部プロローグだったのかもしれない。まぁ過言でしょうが、それくらい印象が変わるんですよね。
ストーリーは最初から最後まで楽しめたし、かといって全てに満足してるわけではないのですが、クリアしてから改めてFF16は、スタート直後のモノローグにある「クリスタルをめぐる探求の旅」、公式のあらすじにもある「クリスタルの加護を断ち切るための物語」だったんだなと腑に落ちました。最初からそう言ってるじゃん、てね。そして、大人向けのストーリーにも偽りなく濃い体験をさせてもらいました。
なお、本作はゲーム内資料が豊富なので、ストーリーやキャラの補完に大いに役立った。壮年期入ったころは戦記物でもやるのか、なんて思ったくらいの説明してくれたし。
戦闘
オードソックスなシステム。ソウルライクのように見えるが、中身はゲームオーバーになることが少ないであろう一般的なアクションゲーム。基本的に主人公・クライヴのみ操作。
難易度的には万人受けしやすい絶妙な調整がされており、バトルスピードは速めながら敵の予備動作もしっかり作り込んでいるので、まぁ終盤にはとんでもない敵が出たりするものの、ジャスト回避や反撃も狙いやすいものになっていた。ただ、これなら難しい難易度も2周目から追加、なんてせず最初からあったらより幅広い層に受けそうだったけどね。
初めは剣の攻撃・魔法・回避・フェニックスの召喚獣アビリティが基本操作となっているが、ストーリーが進んで召喚獣を入手する度に新たな召喚獣アビリティを覚えるようになる。この戦闘システムの面白さは召喚獣アビリティにあるかな。
個人的にはラムウが手に入ってから自分の戦闘スタイルに変化が出たし、タイタン固有アビリティ・タイタンブロックでジャストガードからのカウンターが狙えるようになってからは、回避と防御の2択で敵の攻撃を迎え撃てるようになって楽しかった。あと、バハムートのギガフレアはロマン技でカッコいいのに有能だったし、シヴァのダイヤモンドダストはボスのウィルゲージをゴリゴリ削れて爽快だった。
惜しいところは、3体までしか召喚獣を装備できないところと、4体目以降を手に入れられるのがストーリーの半分近くまで進まないといけないところか。ストーリー前半はこちらの手数が少ないために戦闘がパターン化しやすく、召喚獣アビリティのゴリ押しがしにくかった。とはいえ、敵の種類は前半だけでも豊富にいて、常にボス戦しているような気がするくらい濃い戦闘が多かったかな。
他にも、ボス戦は演出のためのQTEも用意されている。人によっては邪魔かもしれないが、私はこういう演出は好物なんでより楽しくボス戦ができたかな。
ここまで書くと戦闘は飽きやすそう、なんて思うものだが、ここで良いアクセントになったのが召喚獣バトルになる。
召喚獣バトル
イベント戦みたいなものだし、お祭りバトルともいえる。例えるなら、ノリと勢いに任せた熱血アニメ、もしくは特撮怪獣バトルや特撮ヒーローバトル。クライヴですら、君ってそんなキャラだっけ? ていうくらい叫ぶし、言葉も乱暴になってたしね。序盤で空を縦横無尽に翔けてるときは少年心をくすぐられたわ。スクエニはロボットアクションゲームを作る才能もありそう。
FFシリーズでは召喚獣そのものを操作できる作品は滅多にないから、よくぞ作ってくれたと感謝したいくらい楽しかった。惜しむらくは、期間限定バトルなこと。まぁ、たまにあるからこそ盛り上がるから、これくらいの頻度がちょうどいいかもだけど。
映像
まるでCG映画のようで終始圧倒された。キャラのちょっとした表情や仕草も本物の人間のように繊細で、映像作品のキングスグレイブFF15をゲームに落とし込んだらこうなるのかな、と思えたくらいだった。CGの情報量がすごい。
特に私が感動したのはエフェクト。魔法を放つときやクライブが剣のチャージ攻撃の際に出る炎、召喚獣アビリティや召喚獣バトルのときの発光現象などなど。何よりも炎の表現がホントにキレイで、これならセフィロスも喜んで背を向けられるんじゃないかな。
これはやはりHDRを通して見た方が感動しやすくなると思う。私がSDRのみ対応のモニター使ってたときはそこまで感動しなかったから、是非ともHDR対応のモニ(以下略)。
BGM
FF14で名を馳せている祖堅正慶さんが担当。私にとっては初めての祖堅BGMで、特に印象に残っているのは戦闘BGM。重厚なオーケストラと低音コーラスが気持ち良い。熱い召喚獣バトルを盛り上げるのにBGMが一役買っているのは間違いない。FF14の楽曲にも興味湧いたぞ。
Dig、dig、dig、dig、deeper!!
気になったところ
ここからは最初に少し話した、取捨選択の末に割り切られたと思われる部分に関していくつか挙げていこうかと思う。
・クライヴ以外の物語は少なめ
例えば、ヒロインのジルがクライヴと再会するまでどうしていたか、愛犬のトルガルの秘めた力は何か、といったドラマの深掘りができそうなものは最低限の語りで済まされており、本筋に関係ない主人公以外のキャラのドラマが少なかった。
まぁ、ないことはないのですが、他にも本編に組み込んでも良さそうな話を任意で受けるクエストにされていたりするので、特に終盤でそれらを無視しているとキャラの内面補完やストーリーの解釈が中途半端になりそうな気がした。
・実質、クライブ1人で行動
例えば、RPGによくある主人公に同行するパーティメンバーは本作にもいるのですが、愛犬トルガル以外は指示も出せない、各々独自に動くようになっている。ボスと対峙するときだと、トルガルすらいなくなって文字通り1人っきりで戦う頻度が多い。
また、クエストを受ける際にパーティメンバーが同行している状態でも、特定のクエストでない限り会話の中には入ってこず、ほとんどのケースで空気と化している。
本作は本編外で仲間と共に旅をする、もしくは共に戦うといった部分が不足しているように感じた。終盤のクエストなんかだと、パーティメンバーが同行しているのになぜか敵の集団を1人で請け負ったことになっていたので、いや仲間後ろにいるやろ、というかシドの兵隊使えよ、なんて思ったりした。キャラの掛け合いは脳内補完してということか。
・リスキーモブ
壮年期から開放されるサブイベント。ネームドの敵や魔物を倒すもので、個人的にはFF12のモブハントみたいで楽しかった。が、大半はストーリー上で戦ったことがあったり、フィールドに普通にいる強敵の色違いだったりと、使いまわしの印象が強かったのは残念だった。とはいえ、終盤には強化された状態の敵が出たりするので油断大敵ではあるが。
・RPG要素
例えば装備。素材を集めれば強化ができるのだが、私はケチなので渋っていたらストーリーが進むごとに強化不可能な1点物の強い装備を順に手に入れられたので、武器作成はすれど、ついぞ強化する機会がなかった。素材がだだ余りだったな。
例えばフィールド。広いエリアはあるものの、特にストーリー前半はFF10やFF13のように道なりに進む方が多かった。なので、探索できる広さはあれど探索する必要もない。なのに、宝箱は設置されているし、時には重要な装備が入っていることも。景観の良いところもあるけど、ちょっと現実に寄り過ぎて面白みは少なめかな。
あとは遊びの要素が少ないところ。ダンジョンは隠しルートやパズル的なものがない1本道だし、作中にミニゲームみたいなものも一切なく、サブイベはリスキーモブかクエストかボスの再戦くらいになる。私はまぁこれくらいならええかと思ったが、FF16にはRPGらしさを求めるべきではないとも思った。
総評
ストーリーは単純な評価が難しいのだが、序盤から丁寧なシナリオで理解しやすく、レーティングCERO Dに恥じない大人向けのストーリーながらちゃんと王道ファンタジーとしての安心感もあって、全てに満足というわけでないけど全体的には良かった。クライヴ以外のキャラもとても良かったからこそ、ゲーム内で深堀りやイベントをもう少し足して欲しかったかな。
今作はFFシリーズ初の本格的なアクションゲームになっているが、かなり力は入れられており、映像美も相まって濃いゲーム体験ができると思う。召喚獣アビリティを使った幅広い戦闘を体験するにはストーリーを半分近く進める必要があるが、前半だけでも敵の種類は豊富にいるし、合間に召喚獣バトルでテンション上がるほど盛り上がれるとは思うので、飽きにくいようにはなっていたかな。召喚獣バトルはホント、ノリと勢いで熱くなれた。
欠点としてはRPGによくある遊びの幅が本作は狭く、それなりにストーリーも長めなので、「物語」「戦闘」「映像」に惹かれるかによってモチベーションも変化しそうではあった。それでもシリーズ物ながら単作でここまで作りこめたことには、素直にすごいなと感じた。
あ、そういえば、クライヴはどうしてモーグリと言葉を交わせるんだ? 明らかに世界観にマッチしない変な生物なのに、誰か教えてよぉ。