金のETFとはどんな商品?メリットやデメリットなども解説
安全資産として昔から人気の「金(GOLD)」
金への投資はインゴットなど現物を購入する他、純金積立などありますが、中でも特に人気なのが「金ETF」です。
国内の金価格が上昇を続ける中、金ETFへの注目度もとても高くなっています。
そこで、そもそも「金ETF」とは何か?や、どういった割合でポートフォリオに取り入れるのが良いのか?といった部分を解説していくと共に、メリットや注意しておきたいデメリットなども一緒に説明していきたいと思います。
金ETFとは?
金ETFとは、金の相場に価格が連動するように運用されるETFの事です。
株式投資のようにリアルタイムで変動する値動きを見ながら売買をする事が出来ます。
金ETFには金地金(いわゆるインゴッド)に直接投資できるものや1g当たりの円価格との連動を目指すもの、一定の数量以上で金現物と交換できるものなどがあります。
金と株式は基本的には逆相関の関係にあり、経済が低迷して株価が下がっている時には金の価値は上がるとされているのでポートフォリオを組む上で金ETFはリスク分散に有効です。
🟠金ETFが注目を集めている理由
金のETFは昔からリスク分散として有効な商品なので人気はありましたが、近年は以前よりも更に注目度が増しています。
その要因の一つとして上げられるのが金の価値が高まっている事です。
冒頭で記載した「国内の金価格の推移」を見てわかる通り、リーマンショックを経てコロナ、そしてウクライナ侵攻などがあり「有事の金買い」と言われている通り、金価格が上昇しています。
また、一般的に言われている株価が下がれば金の価値が騰がる。という格言も最近では変わってきています。
下記チャートは金価格(オレンジ)とS&P500(青)の値動きを比較した図です。
赤い枠で囲っている部分を見ると、S&P500が下がっている時には金価格が騰がり、S&P500が騰がっている時には金価格が下がっているのが分かり逆相関の関係にあると言えます。
ただ、2023年末位からの動きをみるとS&P500が騰がっていますが金の価格も一緒になって騰がっています。
これが、近年さらに金ETFが注目されている理由の一つだと思います。
🟠なぜ一緒に騰がっているのか?
金が騰がる要因は複数の理由からなるものです。なのであくまで複数の要因の内の一つではありますが、ロシアや中国の金買いが影響していると考えられます。
どういう事かと言うと、元々世界で最も重要な通貨は「ドル」です。それは今も変わりません。
その為、各国は自国の通貨の保全の為に大量のドルを保有しています。ドルの保有量が各国の中央銀行の信用力を高めるからです。
しかし、最近ロシアと中国では資産の多様化が進められています。
多様化を進めざるを得なくなったというのが正しいのかもしれませんが、ロシアは世界から経済制裁を受けてドルネットワークから外されています。
中国にしても米国との貿易摩擦で対立しています。
この強国2国がドルの変わりに選んだのが「金」です。
国家レベルで金の需要が高まった事により金の価値が高まっています。
🟠今後も金の需要は衰えないという見通し
ロシアや中国が金を買い続けるであろう事、そして世界の貨幣の増加量と比べて金の増加量の方が低い事が金の需要が衰えない理由の一つとなっています。
金は今も採掘されていますが、年間で採れる量は決まっています。総量も決まっているので今後増える事はありません。
対して、世界的な貨幣の供給量は増加しています。その為、相対的に金の価値が騰がると言われています。
🟠工業用の金の需要UP
金はスマホやパソコン、家電など電子機器の電子回路を構築する基盤に金メッキとして使われています。
それらの需要が高まる事で工業用の金の需要も高まり続けます。
🟠金の高いパフォーマンス
過去の実績を見る限り、金のパフォーマンスは幅広いポートフォリオ要素のほとんどを上回る結果が出ています。
過去20年間の実績をみても米国株式とほとんど差のないリターンとなっています。
日本でとても人気の高い通称「オルカン」の連動指数であるMSCI 世界株より高いリターンである事も見てとれます。
🟠金ETFが注目を集めている理由まとめ
リスク分散として有効な商品
金の価格が高まり続けている
今後も高い需要が期待できる
工業用の金の需要
過去の高い実績
金ETFのメリット
金ETFの主なメリットは5つあります。
リスク分散として優れる
リアルタイムでの売買が可能
少額からでも取引可能
金現物を管理するリスク・管理費が不要
売りから入る事も可能
🟠リスク分散として優れる
近年では株価上昇と一緒に金の価格も上昇していると言いましたが、株式が下落時に強い事には変わりありません。
2020年頃からのコロナなように今後世界的に経済に打撃を与えるような事が起こらないとも限りません。
そんな時株式は下落しても金の価格は上がる傾向が高いのでリスク分散として金ETFは優れます。
🟠リアルタイムでの売買が可能
金ETFのメリットというより、ETF自体のメリットになりますが市場の価格を見ながらリアルタイムで売買する事が可能なのがメリットです。
スマホ一つで売ったり買ったり手軽に売買する事が出来ます。
🟠少額からでも取引可能
金額はETFの商品により異なりますが数千円から取引が可能です。
現物購入だとまとまったお金が必要ですが、ETFであれば少額からでも始められるので初心者の方でも金投資を気軽に始めやすいです。
🟠金現物を管理するリスク・管理費が不要
金の現物投資の場合、家に置いておくと盗難のリスクや、金は柔らかいので他の貴金属と一緒に保存ができないなど手間もかかります。
そうしたリスク・手間もあるので貴金属屋に預かってもらうのが一般的ですがその分の維持・管理コストがかかります。
ETFであれば現物は持っていないのでそうしたリスクやコストはかかりません。
各ETFの定める信託報酬はかかりますが、預けるコストよりは安くすみます。
🟠売りから入る事も可能
ETFなので通常の株式取引のように売りから入る事も可能です。
金の現物などでしたら金の価値が下がるとそのまま資産も目減りしてしまいますが、金ETFであれば金価格の下落時にも利益を狙う事が可能です。
金ETFのデメリット(リスク・注意点)
金ETFの主なデメリット(リスク・注意点)は3つあります。
価格変動のリスク
信託報酬・売買手数料がかかる
配当金・分配金はない
🟠価格変動のリスク
株式などは企業が倒産すると価値がゼロになりますが、金は価値自体が失われる事はありません。
その為、「安全資産」と呼ばれますが価格変動リスクが無い訳ではありません。その為リスク資産ではあります。
購入時より金の価値が下がればマイナスとなるので元本割れのリスクも当然あります。
ただ、投資である以上そうしたリスクが全くない商品はないですけどね。
🟠信託報酬・売買手数料がかかる
ETFは運営費用にあたる信託報酬がかかります。商品により額は異なりますが金ETFでは0.2%~0.6%程度です。
また売買手数料もかかる場合があります。
これは使用する証券会社によって異なります。最近は大手ネット証券(SBIや楽天、マネックス)などは手数料無料が増えてきていますので手数料はかからないとこも多いです。
自分が取引を行う証券会社の手数料はチェックしておきましょう。
🟠配当金・分配金はない
株式投資の場合、企業の利益から株主に還元される配当金、投資信託では純資産から還元される分配金がありますが、金ETFはそうした配当金や分配金はありません。
売却時に得られるキャピタルゲインのみです。
配当金目的で投資を始められる方には不向きな商品です。
理想的な金ETFのポートフォリオ割合
金ETFは過去実績を見ると高いパフォーマンスを出していますが、あくまでリスクヘッジ要因、インフレ耐性として持っておくのが良いでしょう。
一般的に金融アドバイザーの多くは5%~10%以内が理想的だとしています。
ポートフォリオの他の商品の種類や割合などにもより多少上下はありますが、私個人的にも金資産への割合は10%以内が良いかなと思います。
リーマンショックやコロナ、ウクライナ侵攻など経済に大きなマイナスの影響を与えるような事が起こった時に一時期的に15%位まで増やすのはありだと思います。
🟠金ETFが向いている人
金ETFは短期で利益を狙うような商品ではなく中長期の保有を前提とした商品です。
その為、5年やもっと先の資産形成として投資を考えている方に向いています。
また、リスクを減らすために分散投資をしたいと考えている方にも金ETFは向いています。
まとめ
金は株式などと比べるとリスクが少ない事、また長期で見ると金価格は上がり続けている事、リスク回避としての性能も高い事から長期投資に向いていると言われています。
私もそう思っていますが、過去の実績はあくまで過去の実績で将来を保証するものではありません。
安全資産ではあるが、金の価値が下落すれば当然資産は減ります。
投資の神様「ウォーレン・バフェット」も”理解できない投資に金を出すな”と言っているように、投資をする際には必ずどのようなリスクが考えられるのかも把握・理解した上で行うようにしましょう。
では、次回は個人的に思うおすすめ金ETFはコレだ!みたいなの書いてみようかな。
またねー😊👋