プラチナETF(上場投資信託)おすすめ銘柄は?全商品比較してみた!
近年の貴金属価格の高騰で金ETFや銀ETFに続きプラチナETFも今注目を集めています。
以下の表は1960年以降のプラチナ価格の年次推移(円/グラム)を表したものです。
過去5年間、2019年1月以降のプラチナ価格の月次推移(円/グラム)を抜粋した表が以下です。
2019年以降は上昇傾向にあります。
上昇傾向にある要因として考えられるのが産業需要の増加です。
プラチナは工業用品、自動車部品、医療機器などにも広く用いられておりコロナが落ち着き経済の回復と共に産業需要が増加しプラチナ価格も回復をし始めました。
この先の事は誰にも分かりませんが、プラチナは金よりも埋蔵量・採掘量ともに少なく希少性が高い事、供給量が限られている中で産業需要の更なる増加でまだまだ上がる、との見通しもあります。
そうした背景からプラチナETFを投資対象に考えている方も増えてきましたので、国内の証券会社から購入可能なプラチナのETF3商品を比較して、私なりのおすすめ商品を紹介していきたいと思います。
金ETF、銀ETFも同じような形式で個人的なおすすめ銘柄を別記事でご紹介していますので、良ければ御覧ください。
ちなみに、ETFも投資信託の一種ですが「ETF」と「投資信託」は上場しているかしていないかの違いがあります。
市場に上場している投資信託をETF「上場投資信託」と呼びます。
プラチナ価格に連動する商品は全てETFで、ETFでない投資信託での扱いは現状ではないようです。
国内で購入可能なプラチナETF一覧
国内の証券会社から購入が可能なプラチナETFは3商品です。
3商品全て東証上場の国内ETFとなります。
(米国市場に上場しているETF、【PPLT】abrdn Physical Platinum Shares ETF、【PLTM】GraniteShares Platinum Trust、などもプラチナETFですが、国内届出が出されていないので日本の証券会社からは購入出来ません。その為、選択肢から外しています)
プラチナETF一覧
【1674】WisdomTree 白金上場投資信託
【1682】NEXT FUNDS 日経・JPX白金指数連動型上場投信
【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型)
【1674】WisdomTree 白金上場投資信託の基本情報
【1674】はロンドン白金・パラジウム市場(LPPM)が公表するプラチナ(白金)価格との連動を目指すETFです。
世界を代表するETF提供会社のウィズダムツリーの関連会社が運用会社となっています。
国内ETFの中で最も歴史のあるETFで、純資産総額も潤沢なので繰り上げ返還の可能性が低いという安心感があります。
ただ、残念な事にNISAは対象外のETFとなっています。
▪過去5年間のパフォーマンス
3ヶ月トータルリターン:9.41%
3年トータルリターン:10.68%
5年トータルリターン:12.28%
【1682】NEXT FUNDS 日経・JPX白金指数連動型上場投信の基本情報
【1682】は取引所商品先物取引を用いて算出される指数に連動する投資成果を目指すETFです。
個人投資家向けのETF「NEXT FUNDS」シリーズが有名な野村アセットマネジメントが運用会社です。
こちらのETFは現在(2024/07/10)繰上償還および繰上償還にかかる重大な約款変更を提案中で『監理銘柄』に指定されています。
2024年5月14日時点の受益権の総口数の3分の2以上が繰上返還に参道する場合、繰上返還が実施される予定です。
繰上返還(上場廃止)とは
運用会社がETFの運用を止めて、その商品を保有していた投資家にお金を返還する一連の流れの事です。
【1682】の場合は、以下のような理由となっています。
※※追記※※
【1682】NEXT FUNDS 日経・JPX白金指数連動型上場投信は2024年8月19日に上場廃止予定となりました。
▪過去5年間のパフォーマンス
3ヶ月トータルリターン:4.62%
3年トータルリターン:9.10%
5年トータルリターン:12.65%
【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型) の基本情報
【1541】は東京工業品取引所の銀の先物価格をベースに算出したプラチナ地金の理論価格との連動を目指すETFです。
他のETFにはない面白い特徴として、一定の受益権口数を持てば受益権と引き換えにプラチナ現物との交換も可能なETFです。
運用している三菱UFJ信託銀行はプラチナ以外の貴金属(金、銀、パラジウム)のETFも取り扱っています。
その中で現物との交換も可能なETFは金とプラチナのみです。
SBI証券、楽天証券では手数料が無料で新NISAの成長投資枠の対象商品です。
▪過去5年間のパフォーマンス
3ヶ月トータルリターン:12.51%
3年トータルリターン:10.63%
5年トータルリターン:12.40%
プラチナETFの比較表
プラチナETFの3商品の銘柄名・運用会社・対象指標・NISA・信託報酬のみを抜粋した簡易的な比較表です。
プラチナETFのおすすめ銘柄
個人的に思うプラチナETFのおすすめ銘柄を紹介します。
おすすめ◎:【1674】WisdomTree 白金上場投資信託
1番最初におすすめしたいのが『【1674】WisdomTree 白金上場投資信託』です。
おすすめの理由は信託報酬の安さと総資産額の多さです。
以下の図は、プラチナETFの過去5年間の値動きを比較した図です。
5年前の地点を0とした時の5年後の各ETFの暴騰率は以下の通りです。
【1674】WisdomTree 白金上場投資信託:+76.60%
【1682】NEXT FUNDS 日経・JPX白金指数連動型上場投信:+79.86%
【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型) :+76.25%
1年以内などの短い期間で区切ってみれば各ETFで差が出る事もありますが、プラチナETFなので当然どのETFもプラチナの価格に連動するように動きます。
対象とする指標がどれも同じようなものなので、長期でみればどのETFも同じような値動きとなり差は殆ど出ません。
期待出来るリターンがどれもほぼ同じであれば信託報酬が1番安い【1674】に投資をするのが1番お得となります。
また、総資産総額が1,000億を超えており潤沢で繰上返還される可能性が低い点もおすすめ理由の一つです。
おすすめ○:【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型)
新NISAの成長投資枠の対象ETFとなっているのが【1541】だけなので、プラチナETFをNISA枠で取引したい!という方は【1541】がおすすめです。
おすすめというか、【1541】しか選択肢がない状態ですね。
総資産総額は6月末時点で約150億円あります。この位の金額があれば繰上返還の可能性は低いです。
【1541】は一定の受益権口数に達すればプラチナ現物との交換も可能なので、そうした楽しみもありつつNISA枠でこつこつ積立投資するのに向いているETFです。
【1682】NEXT FUNDS 日経・JPX白金指数連動型上場投信はダメ
【1682】の基本情報でも触れましたが、この銘柄は繰上返還される可能性があります。
書面決議の手続きを行い、2024年7月18日(木)に結果が分かります。今回、繰上返還されなくても総資産総額が低いままでしたら繰上返還のリスクは付きまといます。
あえてこちらの銘柄を購入するメリットが無いので避けるのが良いです。
※※追記※※
【1682】NEXT FUNDS 日経・JPX白金指数連動型上場投信は2024年8月19日に上場廃止予定となりました。
✅プラチナETFに興味がある方はこのETFも良いかも
【1676】WisdomTree 貴金属バスケット上場投資信託
こちらのETFはプラチナだけでなく他の貴金属(金、銀、パラジウム)にも分散投資が出来るETFです。
信託報酬は0.44%。総資産総額は212.21億円(2024/06末)NISAは対象外です。
構成比率は金:60.92%、銀:20.76%、パラジウム:12.23%、プラチナ:6.09%(2024年04月末時点)となっています。
プラチナの比率が低いので、どちらかと言えば「金ETFにしようか?銀ETFにしようか?」と金、銀で迷っている人の方が指さる商品かも。けど、一応紹介。
✅プラチナETFの注意点
プラチナなど貴金属ETFへの投資は、株式投資だけでポートフォリオを組んでいる方にはリスクヘッジにもなり、リターンも狙えるので良い商品だと思いますが、いくつか注意点もありますので説明しておきます。
▪生産が一国に偏りすぎている
プラチナの生産量、世界シェアは以下の通りです。
1位:南アフリカ(71.5%)
2位:ロシア(11.5%)
3位:ジンバブエ(9.8%)
4位:カナダ(3.1%)
5位:アメリカ(1.7%)
その他(2.4%)
金や銀の生産量はもう少し各地域で分散されているのですが、プラチナの生産量は約7割以上が南アフリカとなっています。
一国のほぼ独占状態となっているのでプラチナの流通量および価格は南アフリカの経済状況や政治状況の影響を受けやすくなります。
▪景気の影響を受けやすい
冒頭で、プラチナの価格が上がっている要因(産業需要の増加)を説明しましたが、プラチナは金と用途が大きく異なります。
金の用途は宝飾品か金地金(インゴッド)で約8割を占めますが、プラチナは宝飾としては3割位で、6割以上が工業用として使用されます。
電機製品・自動車部品・医療関係の精密機器などで使用される事が多いので好景気で産業需要が増加すればプラチナの価格も上昇しやすく、反対に不景気となると生産量が低下しプラチナの価格もつられて下がりやすくなります。
▪流動性リスク
金や銀への投資と比べるとプラチナへの投資というのは認知度が低く、金・銀ETFに比べると市場参加者が少ないので流動性が低くなりやすいです。
流動性が低い事で希望する値段や数量で取引が出来ない恐れがあります。
▪分配金は無し
株式投資を対象としたETFであれば分配金が支払われるETFも多くありますが、貴金属ETFとなるプラチナETFには分配金はありません。
利益を得られるのは売却差益のキャピタルゲインのみです。
その為、配当金や分配金目当てでの投資には向かない商品です。
まとめ
最後にもう一度、プラチナETFのパターン別でのおすすめをまとめておきます。
✅NISA口座を使わない場合のおすすめはコレ
【1674】WisdomTree 白金上場投資信託
・信託報酬最安値
・総資産総額1000億超え
✅NISA口座で取引する場合のおすすめはコレ
【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型)
・新NISAの成長投資枠対象商品
・プラチナ現物との交換も可能
日本国内から購入できるプラチナETFは3商品で、その内1商品は繰上返還される可能性があるので実質2商品のみ。
1商品はNISA対象、もう1商品はNISA対象外なのでどのETFが良いのか迷わないですね。
以上、ゆうなが個人的に選ぶプラチナETFのおすすめ銘柄でした。
それでは、またねー