全世界株式インデックスファンドのおすすめは?オルカン投資信託を比較!
株式投資のベテランさんから新NISAから投資を始めた株ビギナーさんまで幅広い個人投資家に人気の『全世界株式インデックスファンド』
今回は全世界株式インデックスファンドの中でも特に人気の高いオルカンの投資信託について比較し、どのファンドがおすすめなのかを紹介していこうと思います。
(※あくまで個人的に思うおすすめ。買い推奨とかではないです)
っと、その前にそもそも『全世界株式インデックスファンドとは?』とか『オルカンとは?』といった部分も軽く説明していきます。
全世界株式インデックスファンドとは
全世界株式インデックスファンドとは名前の通り、先進国や新興国など全世界の大型・中型・小型などの株式に一つのファンドで分散投資が出来る投資信託の事です。
分散性がとても高いのでリスクは比較的低めだと言われています。
世界経済はこれからも成長を続けていくと思われるのできちんと恩恵も得る事が出来ます。
リスクは抑えつつリターンが期待が出来るので多くの投資家に人気の投資先となっているんですね。
人気なのでそうした全世界の株式を対象とするインデックスファンドは幾つもあります。
中でも代表的なのが「MSCI ACWI」を連動対象の株価指数とする全世界株式インデックスファンド、もしくは「FTSE GACI」を連動対象の株価指数とする全世界株式インデックスファンドです。
✅「MSCI ACWI」と「FTSE GACI」の違い
◦「MSCI ACWI」
MSCI ACWIの正式名称は『MSCI All Country World Index』と言います。
米MSCI社(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル社)が算出した時価総額加重平均型の株価指数です。
先進国23ヵ国と新興国24ヵ国(2024年10月末現在)の大型株と中型株、約2,800の銘柄によって構成されており世界の株式時価総額の約85%をカバーしています。
◦「FTSE GACI」
FTSE GACIの正式名称は『FTSE Global All Cap Index』と言います。
英FTSE社が算出した時価総額加重平均型の株価指数です。
特定の国を対象とはしておらず大型株、中型株の他小型株も含む約9,000の銘柄によって構成されており世界の株式時価総額の約98%をカバーしています。
◦「MSCI ACWI」と「FTSE GACI」の違い
どちらの株価指数も全世界の株式を対象としていますが、大きな違いは小型株を含めるか含めないかです。
「MSCI ACWI」は大型・中型株のみで構成されており「FTSE GACI」は小型株も含まれています。
ただ、どちらも時価総額加重平均型なので小型株が含まれていても、いなくても小型株の影響は限定的なので運用成績は殆ど変わりません。
運用成績が殆ど変わらない場合、信託報酬が安い方が将来のリターン期待値は上がります。
日本では「FTSE GACI」を連動対象とするファンドよりも「MSCI ACWI」を連動対象とするファンドの方が信託報酬がだいたい安く設定されています。
その為、「FTSE GACI」より「MSCI ACWI」の方が知名度も人気も高くなっています。
◦「FTSE GACI」が不人気という訳ではない
小型株まで網羅してかなり幅広い分散投資がしたい!という方は「FTSE GACI」の方を好まれます。
「FTSE GACI」を連動指数とする有名・人気の投資信託は以下の通りです。
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド
(愛称:雪だるま(全世界株式))
・SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド
(愛称:SBI・V・全世界株式)
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド
(愛称:楽天・VT)
ただ、「MSCI ACWI」を連動指数とするeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)などの知名度・人気が圧倒的過ぎて「FTSE GACI」を連動対象とする投資信託が陰に隠れがち、といった感じですね。
では、続いてオルカンの簡単な説明をしておきます。
オルカンとは?
ここまで読めば、薄々分かっていると思いますがオルカンとは「MSCI ACWI(MSCI All Country World Index)」に連動する投資成果を目指すファンドの事をオルカンと呼びます。
もしくは、三菱UFJアセットマネジメントが提供している「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の事を指してオルカンと言っている場合もあります。
この記事では広義的な意味のオルカンで話を進めます。
ちなみに「MSCI ACWI」には日本を含めたものと、日本を含めないものの2種類が存在しています。
以下では日本を含む「MSCI ACWI」を連動対象とするファンドの比較を行っていきます。
全世界株式(オルカン)のインデックスファンドを比較
新NISAはオルカン一本で埋めています!という投資家もいるほど信頼度の高いオルカンですが、「MSCI ACWI」を連動対象とする投資信託はいくつかあります。
その中でも、確実に抑えておきたいのが以下の4つの投資信託です。
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)
・はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)
(愛称:Funds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー))
・楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
(愛称:楽天・プラス・オールカントリー)
それぞれの基本情報を比較していきましょう。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の基本情報
eMAXIS Slim 全世界株式は三菱UFJアセットマネジメントが提供するMSCI ACWIに連動する投資成果を目指す投資信託です。
オルカンと言えばこの投資信託をイメージされる方が圧倒的に多いと思います。
設定日が2018年10月なので今回ピックアップした4つの中で運用期間が最も長い投資信託です。
純資産総額が4.73兆円と圧倒的な規模です。
信託報酬は0.05775%です。信託報酬は一般的に0.1~0.3%程度である事が多いのでオルカン投資信託の信託報酬が特別に安いという事が分かります。
NISA枠はつみたて・成長どちらも対象です。
◦運用成績(トータルリターン)
6ヶ月:8.80%
1年:38.89%
3年:17.22%
5年:19.34%
Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)の基本情報
Tracers MSCIオール・カントリー・インデックスは日興アセットマネジメントが提供するMSCI ACWIに連動する投資成果を目指す投資信託です。
提供元が変わった位で、投資対象の中身はeMAXIS Slim 全世界株式とほぼ同じです。
それでいて信託報酬は同じなので後発リリースのこちらの投資信託にはあまりお金が集まっていません。(純資産総額:52.2億円)
一般的な投資信託であれば純資産総額52億は潤沢な部類に入りますが、対象指数がMSCI ACWIのオルカン投資信託では少ない額です。
オルカン投資は信託報酬が特別に安いので純資産総額が多くないと繰上償還(≒ファンドが解散)される可能性が高くなります。
期待出来るリターン値に差がなく信託報酬も同じであれば規模の小さいファンドを選ぶメリットはないので、こちらの投資信託は個人的にはおすすめしないです。
◦運用成績(トータルリターン)
6ヶ月:8.81%
1年:39.00%
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)の基本情報
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)(愛称:Funds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー))は、野村アセットマネジメントが提供するMSCI ACWIに連動する投資成果を目指す投資信託です。
eMAXIS Slim 全世界株式より後発リリースで中身ほぼ同じ、信託報酬同じなので「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」同様に、eMAXIS Slim 全世界株式の人気を抜いて多くの資金が集まる事はないでしょう。
ただTracers MSCIオール・カントリー・インデックスより純資産総額が集まっているのは、野村ホールディングス傘下の野村アセットマネジメントが提供元というのが関係していると思います。
純資産総額が383億円もあるので繰上償還の可能性は低いです。
ただ、どちらにしろ期待出来るリターンに差がなく、信託報酬も同じであれば規模の小さいファンドを選ぶメリットはないので、こちらの投資信託も個人的にはおすすめしないです。
◦運用成績(トータルリターン)
6ヶ月:8.80%
1年:38.97%
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの基本情報
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・プラス・オールカントリー)は、楽天投信投資顧問が提供するMSCI ACWIに連動する投資成果を目指す投資信託です。
4つの中で最も最近出来た投資信託ですが、既に純資産総額は2537億円と潤沢な資金が集まっています。
その理由として4つの投資信託の中で信託報酬が1番安い事が考えられます。
eMAXIS Slim 全世界株式の信託報酬が0.05775%、この商品が0.0561%。
その差0.00165%と僅かですが、わざわざ信託報酬の高い方へ投資するメリットが無いので資金が集まってきています。
ただ注意しておきたいのが対象指標です。
楽天・プラス・オールカントリーはMSCI ACWI(円換算ベース)、eMAXIS Slim 全世界株式はMSCI ACWI(配当込み、円換算ベース)
楽天・プラス・オールカントリーは「配当込み」ではないのです。配当を考慮しない指数との連動を目指すので当然、配当込みの指数との連動を目指すeMAXIS Slim 全世界株式の方が期待出来るリターン値は高くなります。
こうしたポイントも踏まえて、どの投資信託がおすすめかを後述していきます。
◦運用成績(トータルリターン)
6ヶ月:8.67%
1年:38.45%
オルカン投資信託の比較表
ファンド名、対象指数、純資産総額、信託報酬のみを抜粋した簡易的な比較表です。
おすすめの全世界株式インデックスファンド(オルカン投資信託)
おすすめ投資信託は2つです。
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
(愛称:楽天・プラス・オールカントリー)
個人的第1位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
個人的に思う、オルカン投資信託のおすすめ商品第1位はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。
投資信託を選ぶ時の重要視するポイントは
・対象指数
・信託報酬
・純資産総額の大きさ
です。
✅対象指数
対象指数はどちらも「MSCI ACWI」ですが、eMAXIS Slimの方は”配当込み”楽天オルカンの方は”配当を考慮しない”形になっています。
配当込みでの値動きに対して連動を目指してくれた方が期待出来るリターンは大きくなりますので、”配当込み”の指数を対象指数とするeMAXIS Slimの方が個人的には投資したい!と思えます。
✅信託報酬(隠れコストも考慮)
投資信託にかかるコストは信託報酬だけではなく「隠れコスト」と呼ばれる費用および手数料がかかります。
例えば、監査報酬や売買委託手数料が隠れコストに含まれます。
信託報酬と異なり隠れコストは前もって幾らかかるのかを示す事が出来ない事後費用なので運用してからでないと幾らかかったのかが分かりません。
この隠れコストは各投資信託が出している運用報告書に記載されています。
その資料によるとeMAXIS Slim 全世界株式と楽天オルカンの隠れコストは以下の通りです。
・eMAXIS Slim 全世界株式:年率0.055%
・楽天オルカン:年率0.101%
隠れコストと信託報酬を合計した実質コストは以下の通りです。
◦eMAXIS Slim 全世界株式の実質コスト
0.05775%(信託報酬)+0.055%(隠れコスト)=0.113%(実質コスト)
◦楽天オルカンの実質コスト
0.0561%(信託報酬)+0.14%(隠れコスト)=0.196%(実質コスト)
信託報酬だけで見ると楽天オルカンの方が低いですが、実質コストで見るとeMAXIS Slim 全世界株式の方が低くなります。
よって、投資信託にかかるコストにおいてもeMAXIS Slim 全世界株式に軍配が上がります。
(ちなみにおすすめしないとしたTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)とはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)は、隠れコストも含めた実質コストは楽天オルカンよりも高くなります。規模も小さく実質コストも高いのでおすすめから外しています。)
✅純資産総額の大きさ
純資産総額が潤沢なメリットは繰上償還の可能性が低いだけではありません。
売買のしやすいさ、流動性の高さにも繋がります。
また純資産総額が潤沢になればなるほどファンド側は儲けが出るので、信託報酬を更に下げても耐える事が出来ます。
つまり純資産総額が潤沢な投資信託は将来的に信託報酬を値下げする可能性が高くなるという期待を持つことが出来ます。
eMAXIS Slim 全世界株式と楽天オルカンの純資産総額を比べると圧倒的な差があります。
しかも楽天オルカンは楽天証券でしか取り扱っていませんが、eMAXIS Slim 全世界株式は多くの証券会社で買い付ける事が可能です。
その為、今後を考えてもeMAXIS Slim 全世界株式の方が資金は入ってきやすく純資産総額も更に伸ばしていく可能性が高いです。
純資産総額の大きさで見てもeMAXIS Slim 全世界株式に分があります。
「対象指数」「信託報酬」「純資産総額の大きさ」全てにおいてeMAXIS Slim 全世界株式の方が魅力的なので、おすすめ第1位としました。
条件付きおすすめ:楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
基本的にはeMAXIS Slim 全世界株式がおすすめなのですが、楽天オルカンには今後の伸びしろ&分配金を受取れる&楽天ポイントが付くというメリットがあります。
◦今後の伸びしろに期待
楽天オルカンは2023年10月27日に設立されたばかりの投資信託なのに既に2537億円の純資産総額があります。
eMAXIS Slim 全世界株式の方が多くの証券会社で取り扱っているので資金が入ってきやすい環境ではありますが、信託報酬だけを見て投資先を決める投資家さんも多くいます。
信託報酬だけでみると楽天オルカンがオルカン投資信託の中で1番安いので今後ファンドの規模が大きくなる可能性は十分にあります。
ファンドの規模が大きくなればスケールメリットにより隠れコストを抑える事が出来ます。
将来的に隠れコストがeMAXIS Slim 全世界株式と同等まで下がった場合、信託報酬が安い楽天オルカンの方が実質コストでも安くなります。
◦分配金を受取れる
eMAXIS Slim 全世界株式では分配金は全て自動で再投資となります。
楽天オルカンでは自動再投資も選べますし、決算毎に受取る選択肢を選ぶ事も出来ます。
ただオルカンは高配当狙いの投資信託という訳ではないので分配金利回りは1.33%程度です。
決して、特別高い利回りという訳ではないですが分配金は受取りたい!という方にとってはメリットになります。
◦楽天ポイントが付く
2023年10月からスタートした「投信残高ポイントプログラム」により、楽天オルカンは毎月の投資信託の残高に応じて約0.0014%(年率0.017%)の楽天ポイントが付与されます。
投資信託の残高に応じてなので、最初の頃は少ないポイントですが例えば10年後、20年後など長期で積立ていくと貰えるポイントもだんだんと増えていきます。
楽天ポイントを貯めたい方にとってはメリットとなります。
まとめ
全世界株式インデックスファンドの中で対象指標を「MSCI ACWI」としている投資信託の比較やおすすめを紹介しました。
基本的にはeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)がおすすめです。
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドも条件付きでおすすめとしていますが、対象指数が配当込みでないというのがネックかな。
ただ、eMAXIS Slim 全世界株式も設立当初は”配当を含まない”指数を対象としていたんですが、実際は”配当込み”の指数へ連携するように運用していたんです。
それに、楽天オルカンの分配金を多くの方が再投資にした場合は配当込みとほぼ同じ事になりますし、再投資に回す方の方が多そうなんですよね。
なのでそこまで気にしなくても良いのかも。
ま、現時点ではeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)で間違いないかな
今後の動向によっては楽天・プラス・オールカントリーも肩を並べてくるかな?といった個人的見解で締めます。
それでは、またねー