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レビュー / 映画『ルビー・スパークス』愛する人ほど、独占するのではなく解き放て ★4.2

他者に自分の思い通りに行動してほしいと望むこと、それがどんなにナンセンスかって、他の人がやってると気づくのに、自分がやってるとどうしてわからなくなっちゃうんだろうね。主人公カルヴィンの言動を通じて、つくづく自分のナンセンスさを教えてもらいました。ありがとうカルヴィン。

▼あらすじ

私たちが愛する人のためにするべきことは、その人の魅力を独占することではなく、その魅力がより大きく膨らんで、広く解き放たれるようにサポートすることなんだって思うよ。ほんとに。

それは一時的にはその人が離れていくことのように思えるかもしれない、けど、その誠実な愛はきっとその人にも伝わるし、伝わればその人は唯一無二の存在として自分を認めてくれるんだろうと思う。

なのにどうして人間には独占欲なんつう強欲が基本装備されちゃってるんだろうね。それは生物的本能だから肯定すべきなのかな?とも思えるけど、現代においては理性でコントロールしたほうが幸せになる欲望もあるんだって、哲学者のラッセルくんが言ってたな。

いつか読んだ童話で、こんな話があった。(うろ覚えだけど)

古びた鳥籠が、自分の籠に入っていたあるカナリアを、美しく鳴けるように導いてあげた。二人はいつも一緒に美しい音を奏でていたのだけど、モテるようになったカナリアは、新しい鳥籠に浮気してしまう。でもカナリアはしばらくして、古い鳥籠が自分にとっていかに大きい存在だったかに思い至り、古い鳥籠のもとに戻ってくる。でも古い鳥籠のなかには、すでに新しい鳥が入っており、そしてその鳥はいかにその鳥籠が古びていようとも、その素晴らしさに気づいていて、ずっとその鳥かごの中にいた。戻ってきたカナリアは、自分にとって本当に大切なものに、失ってから気がついた―――。

やっぱりその人のことを心の底からまっすぐ想った誠実な愛って、絶対にわかってしまうものなんだと思う。すぐには伝わらなくても、いつか絶対に。それは私たちが親の愛を長じてから知るように。
でも、その愛に気がつく力もまた、私たちに必要なものなのかもね。

自分以外の他者も(それは自分が生み出したと自負している子供だって)、自分と同じく、それぞれの意思や思惑をもった一人の人間なのだということ。それを自分の思い通りにするなんて、本質的に不可能なんだってこと。それをいつでも、忘れずにいたいものだなあ。

そんなことを説教臭くなく、美しく軽やかに教えてくれる良作でありました!そしてルビーがとってもかわいいんだ!

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