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レビュー / 映画『音楽』馬鹿に見られたくないと思ってるほうがよっぽど馬鹿 ★4.0

頭で考えるんじゃなくて心で感じる映画。いま見るべくして、な作品だった…

なにかをやるのに理由もハウツー本もいらないのですよ。うまい下手なんて自分以外の誰かが勝手に決めることで、自分にはまったく関係のない話。だからいつだって、自分の思うまま、楽しいようにやるのが一番の正解なのだ。

ギターとベースの違いもペグが何かも知らない研二たちの荒削り(すぎる)音楽を、誰も馬鹿にしない、どころか褒め称え、感動さえする。それが本当に最高だったし、そこにこの作品のスタンスが表れていると思った。

古美術の森田くんも、我を忘れて狂ったようにギターを搔き鳴らしている姿が一番よかったし、実際に劇中でも多くの人を惹きつけていて。

周りの目を一切気にしない演奏のほうがむしろ人の心を捕える、という真理。それはきっと、音楽に限らずあらゆることに言える。みんなそうわかってるはずなのに、現実ではどうしてこんなにも難しいんだろうね。

私は頭でっかちで理屈っぽくなりがちで、尊敬する人から「もっと感覚を優位にして生きたほうがいいよ」と常々言われているのだけど、研二はまさに、頭よりも感覚を優位にして生きている人なんだろうなぁと思った。一見、頭が空っぽで、馬鹿にさえ見える。でも、そうやって頭を空っぽにするからこそ、自分の感覚をちゃんと感じられるのかもしれないなぁと、研二を見ていて思った。頭で色々考えてたら、五感の言うことなんて聞こえてこないよなぁと。

私は結局、馬鹿に見られたくないから頭(思考)を手放しきれないんだろうな〜。でもそうやって、馬鹿に見られたくない、なんて思ってるほうがよっぽど馬鹿やん!って、なんか素直に思えたね、今。笑

昨日飼ったワニを今日捨ててもいいし、先週始めたバンドを今週辞めてもいいのだ。私たちは誰かに納得してもらうために生きているわけではないのだし、論理なんて人間が生まれたずっとあとにできたもの。だからすべての行動に理由も動機もいらないのよ。自分がこうしたい、と思うど真ん中を捉え続ける、ということのほうがよっぽど大事なこと。

そんなテーマをとことん淡々と、シュールなキャラとストーリーで描いている唯一無二の作品ではないでしょうか。ギャグとも言えないほどの笑いポイントが随所に散りばめられているのも最高なのよ。ギャグマンガ日和みたいなシュールな笑いが昔から本当に大好きです。

結論、このnoteも、とことん自分の書きたいことを、書きたいように、自分の感覚に没入するように、書いていくよ。

2022年1本目

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