アビスパ福岡2万人プロジェクト:実際に2万人集めたら「将来の観客動員にとっては大きなマイナスになるだろう」と思う理由:その1、1万8千人の広島戦で起こったこと

2023年ルヴァンカップで初タイトルを獲得しながらも、2024年はJ1最小の平均入場者数しか観客動員できてないのが、現状のアビスパ福岡である。
そのアビスパ福岡が、9月1日(日)の神戸戦に続いて、11月30日(土)ホーム最終戦の浦和戦で、2万人プロジェクトに再挑戦するようだ。

ホーム最終戦に2万人を アビスパ福岡が県内4大学の学生と協議
https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/865314

だが、実際に2万人を博多の森球技場に集めてしまった場合、「将来の観客動員には大きなマイナスになるだろう」」と思っている。それは「ルヴァンカップ優勝後の初めてのリーグ戦:広島戦」でのスタジアムの状況を見たからだ。

ちなみに広島戦での観客動員数(リーグ最終戦)
2023年12月3日(日)広島戦:観客数1万8309人

これが2024年の開幕戦では「2月24日(土)札幌戦では観客数9445人となり、約9千人近く減ってしまっている。現時点での2024年の平均観客数が9178人なので、ほぼ固定客で、新規客や、アビスパの試合を久しぶりに見に来たというライト層は、広島戦の後、ほぼリピートしてくれなかったのだ。

「なぜリピートしてくれなかったのか?」:この理由が理解できてないのに、むやみやたらに特定の1試合で満員に近い2万人を集めても、「2023年広島戦の後のように新規やライト層は、リピートしてくれない」だろうと思うのだ。

当日の広島戦の状況は、どうだったのか?

・試合開始2時間半前に地下鉄:福岡空港駅に着きスタジアムへのシャトルバス乗り場に並ぶ。この時点で、既に40mほどの行列ができていた。常連らしきサポーターたちは、この行列を見て、スタジアムまで徒歩25分で歩く選択をするか、路線バスのバス停に並ぶ決断をする人が多かった。ただし、新規の観客や久しぶりのライト層は、こういう別のアクセス方法を知らないか知っていても確信がないため、メインのアクセス方法であるシャトルバスに並んでスタジアムに行く方法をとっていた。
時間がかなり早かったため、筆者は20分程度並んでバスに乗って、10分、試合開始2時間前にスタジアムに到着する。ここまでは、問題には気がつかなかった。

・試合開始20分前のことである。メインスタンドのゲートから出て「ルヴァンカップと一緒に記念写真撮影イベント」に参加した後、異常な行列に気がついたのだ。バックスタンド側の入場列が、20分前の時点で100mほどだったのだ。5分ほど観察したが、行列は5mほどしか進まなかった。入場列を仕切る人が、ようやく「メインスタンド側のゲートからも入場できる」事をアナウンスするが、メインのゲートの方も、結構並んでいた。間違いなく行列の人たちの多くが、試合開始時点で、座席に座ることもできていなかったに違いない(筆者は、試合開始に間に合わせるために、15分前の時点で座席に戻ったため、試合開始時点での行列の状況は確認はしていない)

・試合終了後、最終戦セレモニーを見届けた後、地下鉄福岡空港行きのシャトルバス乗り場に並ぶ。この時点で150mほどの行列ができていた。この状況では、間違いなく「福岡空港まで歩いた方が早い」と思ったが、どういう状況なのか確認するために、あえて行列に並んで待ってみた。帰りの飛行機の時間もあるため、待てるのは45分ほどだった。
待つこと45分、その間に来たバスは2台のみであった。45分経った後、空港へ歩く。5分ほど歩くと2台目のバスを追い抜いた。スタジアム近くの駐車場に停めていた自家用車アクセス組の車による大渋滞が博多の森球技場周辺に起こっていたのだ。

ちなみに、アビスパ公式HPによるスタジアムアクセス案内では
https://www.avispa.co.jp/game_practice/stadiumaccess
「にしてつシャトルバスで約8分!、キックオフ時間の3時間前よりキックオフ時間までの間で約10分~20分間隔で運行」とある。

この案内は鵜呑みにして来た初観戦者(特にバックスタンドの席を購入した人)は、この日、酷い目にあってると思うのだ。

最悪のケースを考察してみる。

・地下鉄福岡空港駅に1時間前に到着してシャトルバス乗り場へ向かう。100mほどの行列だ。並ぶこと20分か30分、ようやくバスに乗車。しかし、道が混んでいるため、案内されてある8分では着かない。12分から15分、ようやくスタジアムに到着。試合開始まで、あと30分しかない。さらに待っていたのは入場列での100mほどの行列である。それも全く進まない。別の入場口も案内されて、そちらに、いくらか人が移動したが、結局、バックスタンドの座席に着席したのは、試合開始してから10分、15分してからだった。
かなり余裕を持ってきたはずなのに、楽しみにしていたスタジアムグルメを購入するどころか、試合開始にも間に合わなかった。

・ハーフタイム、バックスタンド側のコンコースは、人でごった返していた。トイレもスタグルも、またも行列である。ハーフタイムでトイレとスタグル購入を済ませるつもりだったが、とても後半開始には間に合いそうになかった。トイレを済ませスタグル購入し、座席に戻った時には後半開始してから約8分ほど経っていた。

・試合終了後、セレモニーを見てから、シャトルバス乗り場へ向かう。ここでも待っていたのは行列だった。しかも150mほどだ。福岡空港まで歩くことも考えて、公式HPを見てみたが、徒歩で何分かかるかの表示はなかった。バスで来てみた感じだと、結構、歩きそうなので、仕方なくバスを待つ。しかし、目の前の道路は大渋滞、45分ほど待ってもまだバスに乗ることができない。結局、バスに乗れたのは並んでから1時間以上経ってからだった。道路は、それでも渋滞していて、帰りのバスは20分ほど経って、ようやく福岡空港に着いた。

・「優勝してテレビで取り上げられていたアビスパの試合」に来てみたはいいけれど、とにかく行列に並ばされること、貴重な時間が無駄に消費させられることにいらついた記憶しか残らなかった。「こんなに大変なら、アビスパを試合を見にスタジアムに行くのはやめよう。他に楽しいイベントは福岡にはいっぱいあるしね」と。

広島戦で見聞した事に加えて、何が起きたのかを想像してみたが、おそらくこれに近い目にあった初観戦者や2,3回目のライト層には多くいるだろう。
これが、7,8千人の観客数であれば、このような問題は起こらない。博多の森球技場は、非常に快適なスタジアム観戦ができる。
ただし、1万2千人を超えたあたりからスタジアムのアクセス状況とスタジアム内の混雑状況がが加速度的に悪くなっていき、1万5千人入ると、かなり不快な状況になるのが、博多の森球技場なのだ。1万8千人でも、こんな酷い状況なのに、そこから、さらに2千人加わった2万人だと、初観戦者にとって(常連組であれば、ある程度回避はできるのだが)、スタジアムは、「不快」を通り越して「何かの罰ゲームでも受けているのか」という状況になってしまう。

「2万人プロジェクトで実際、2万人来てしまったら、初観戦者の人々は、ほとんどリピートしてくれない、今の博多の森球技場では」
そう思わざるを得ないのである。

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