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PCを買うための出力端子知識 ①USB
先日、大学生向けのPC案内の記事を書いたのですが、PCを買ううえで混乱してくる点の一つが外部出力だと思います。そこで、外部出力端子について何回かに分けて解説したいと思います。
なお、今回の記事は大学生だけでなく、PCを買う人全体に向けたものです。
PCのスペックシートを見ていると「USB 3.1 Gen1」とか「USB PD」とか「thunderbolt4」とか訳の分からない言葉が羅列されていると思います。
第1回は最もカオスなUSBについて1. コネクタ形状、2.通信規格、3.電力供給、4.thunderbolt、 5.実例 の5つの章で解説したいと思います。なお、USB規格厨の方からすると間違いがあるかもしれませんが、とりあえずPCを買うために理解しておくべき事項についてのみ解説します。また、USB規格に規定されていないthunderboltについても一部解説します。
1.USBのコネクタ形状の種類
コネクタ形状とはUSB端子の物理的な形状のことです。現在、PC本体で使われている端子の形状には主にtypeAとtypeCがあります。
typeA
typeAは「USBといえばこの形」という下の写真のような形のものです。
typeC
typeCはここ5年くらいで急速に普及した下の写真のような形状のコネクタ
表裏がないことが特徴。(※1)
スマホやPC,タブレットなど多くの電子機器で使われるようになった。
Project Kei - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=90784013による
2.通信規格
USBの通信規格には多くの種類があります。しかし、すべて上位互換となっているので、通信速度さえ考えなければとりあえず使えます。ここでは古い順に説明したいと思います。なお、通信速度が変わらない場合や現在ほとんど採用のない通信規格については省略します。
①USB2.0
もっともベーシックなUSBの通信規格です。通信速度は480 Mbpsで、電力供給は500 mAです。(USB-Cの場合は例外あり)
②USB3.0
USB2.0より進化した規格です。通信速度は5Gbpsで、電力供給は900 mAです。(USB-Cの場合は例外あり)端子が青かったり、SSと書いてある場合が多いです。個人的にはUSB3.0いくつかあれば必要十分かなと思います。
なお、USB 3.2 Gen 1やUSB 3.1 Gen 1などと表記されている場合もあります。
RoundupResistance, CC0, via Wikimedia Commons
③USB4.0
おととし、策定されためっちゃ通信が早い規格です。通信速度は40Gbpsと超高速。後述するthunderbolt3とほぼイコールです。ちなみにコネクタ形状はtype-Cのみです。
このほかにもUSB 3.2 Gen 2(USB 3.1 Gen 2)やUSB 3.2 Gen 2x2などがありますが、ノートPCでの採用例が少ないので省略します。
3.電力供給,映像出力
USBは本来、通信や周辺機器への給電のための端子なのですが、その端子を使ってPC本体に電力供給をしたり、他のディスプレイに映像出力をすることができます。
USB-PD
電力供給の代表的な規格がUSB-PDです。USB-PDはスマホなどでも急速充電のために使われている規格です。コネクタ形状はtype-cで、充電器によって、供給可能な電力は異なります。大きい電力を供給できる充電器であればいろいろなものを充電できますが、充電器もそれにともなって大きくなります。USB-PD規格に対応したPCでも純正の充電器がついてくる場合が多いのでそれに満足できなかったら買うということでいいです。中にはUSB-PDの規格に対応しているにも関わらず、純正以外の機器で充電すると保障が切れるPCもあるので注意しましょう。
他にもQuick Chargeなどの規格もありますが、PCでは採用例がほとんどないので割愛します。
あと、PCへの電力供給ではないのですが、PowerShareという機能がついていると地味に便利です。(そこまで優先度は高くない)簡単に言うとPCがモバイルバッテリー替わりになるという機能です。PCの電源を切っているときでもUSBポートへ電力供給がされるので、モバイルバッテリーの充電し忘れなどのときでもスマホを充電することができます。
映像出力
USBを使った映像出力はほぼ、DisplayPort規格一択です。
4.thunderbolt
thunderboltとは超高速の通信規格で、Display Port やUSB 3.1 Gen 2,USB-PDに対応しています。コネクタ形状はtype-cです。その速度を生かし切れるデバイスは一部に限られているものの、普及が進んでいます。なぜかといえば、PCの薄型化につながるからです。(1本のケーブルでつなぐだけでいろいろなことができるというメリットもあるが、現状では対応機器が高価かつ、あまり普及していない)
例えば、thunderboltなら、type-AやHDMIなどの厚みのある端子を廃止することができる。また、thunderboltなら全部乗せなので「このPC映像出力対応しているかな?」とか「このPD使えたっけ?」とか考える必要がない。
5.実例
ここまで、見てきた規格をもとにPCのスペック表を見てみよう!
まずは、スタバでドヤるためのツール(嘘です) Macbook airから
Apple公式ページによるとthunderbolt3/USB 4ポートを搭載しているとのことなので、全部乗せです。そして、thunderbolt3を搭載した結果、HDMIやtype-Aのポートを排除することに成功し、大幅な薄型化に成功しています。(ただ、type-AやHDMIなどへ変換するためのハブが必要になってしまいました。)
Appleはintelとともにthunderboltを開発した会社なので最近のMacにはすべてthunderboltが搭載されています。
MicrosoftのSurface7はどうでしょうか
USB-C、フルサイズ USB-Aとと書いてあるだけでよくわからないですね。どうもレビューサイトによるとUSB-PDとDisplay Portには対応しているものの、thunderboltには対応していないようです。
概ね、thunderbolt対応機種はそれがセールスポイントとなるので記載しています。USB-Cなどと誤魔化している場合、何かに対応していない場合が多いです。
私の使っているElite Dragonflyはthunderbolt×2、USB 3.1(type-A)×1、HDMIを備えており、薄さと端子の使いやすさを兼ね備えていて、それが選んだ理由の一つにもなっています。
機器によって対応状況は異なるので、公式サイトやレビューサイトで調べましょう。
※1 実際には表裏があるが、それを気にせず使えるという観点から表裏がないとした。