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【小説】第一章 何もない部屋① ー そこには誰もいない

クッソうるさい音が鳴り響くスマホ、昨日設定した目覚ましがちゃんと作動しているおかげで、不機嫌になりつつも僕は予定通り時間に起きることができた。

寝起きが悪すぎるのはいつもの事だし、何よりも大学生に朝は天敵みたいなものだ。できれば、ベットにずっと過ごしていたい。

何ならここで授業すら受けたい気分だ。
朝支度をしながらこんなことを考えるのはいつもの事だし、そんなことができるはずもなく、僕は冷蔵庫からボトルコーヒーを取り出し、テレビを点けて朝のニュース番組を見ながら朝食を食べる。
今日も自分の好きなアナウンサーは可愛くて勝手に元気が出てくる。
さっきまで、スマホのアラームにイラついていたとは思えないほど、気分は上がってきていたが、次の占いのコーナーでは自分の星座が最下位だった。
「だっる。」
上がっていた気分は、簡単なことで下がるものだ。
しかし、そんなことを気に病む時間はない、もうそろそろ家を出ないといけない。僕は歯磨きをしながらクローゼットにある適当な服を着て、寝癖を軽く直してから家を出た。

外は快晴で春風が吹き、少し寒かった。
「あー、今日はいい天気だな。大学行かずに公園でも…。」
そんな弱音を発しながら、僕は大学に向かって自分のマウンテンバイクを漕ぎだした。

 本日、1,3年生対象の履修登録と説明会がある大学はいつも以上に騒がしかった。それもそのはずだ、正門からキャンパスまでの道では新入生に対して部活やサークルの勧誘のために騒いでいるからだ。

正門近くの駐輪所に着いた僕は、新入生と間違われて勧誘されるのも面倒なので別の道を探して、自分が所属する外国語学部の説明会がある2号館まで歩き始めた。

しかしその瞬間、後ろから声が聞こえてきた。

「おーい、ケイト!一緒に2号館まで行こうぜー!無視したらLINEのスタ連しちゃうぞ~。」
聞き覚えのある声が、今どきの小学生がやりそうなイタズラで、脅迫をしてきた。周りの目も気になるため、しょうがなく立ち止まっていたら、そいつはサンキュっと言って僕の肩に手を置いた。
「アツシ、朝っぱらからあんなデカい声で人の名前を呼ばないでよ。」
「わるいわるい、でもこうでもしないとお前、止まってくれないじゃん。」
たしかにそれは否定できなかった。自分でもいうのはなんだが友達を作る自体苦手ではあるし、人と極力関わりたくない性格で、しかもコミュ障という人間だ。
「全く、お前は出会った時からそんな感じだよな。まぁ、俺はそんな性格でもいいと思うけどな笑」
アツシとは大学一年生の時、たまたま英語の授業で隣の席なった仲だ。
自分と正反対な外見と性格で最初は嫌だったが、毎回の授業で席が一緒になるたび、自然と仲良くなってしまった。
「アツシせんぱーい!」
後ろからの女子達の黄色い声に対して、アツシは手を振っていた。コイツは自身の自信満々な性格と女子ウケする顔立ちをしているため、いろいろな学科の女子たちから好かれている。アツシの「ちょっと待って」という声を無視して、僕は急ぎ足で教室に向かった。

教室には指で数える程度の人数しかおらず、静かだった。僕はいつも通りの窓側の真ん中より少し後ろの席に座った。ここに座る理由は後ろの席ほど、リア充や陽キャが座りやすいし、教師に見られやすいからだ。入学初日のオリエンテーションでその恐怖を僕は身に染みて知ってるからだ。

【作者コメ】
さて、エイト(主人公)とその仲間たちが出てきましたね!登場人物が出た場合、そのキャラの作品内での動きと人物紹介という部分で大変だなって感じますね。この先も更にキャラが増えるとなるとゾッとしますね笑
ちなみに、僕はめざましテレビで毎朝、久慈暁子アナを見て元気をもらっていたのですが、とうとう卒業とのことで、今月からどうやって元気を貰えば良いのか…。誰か教えてください!(切実)

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