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ヨーロッパ旅行に行って5年(フライブルク編・その1)
松本英揮さんが主催されているドイツエコツアーについて前回は、ヨーロッパに行くきっかけとなった話と福岡から香港、機中泊の話をしましたが、今回はいよいよドイツの話を進めていきたいと思います。
3.3日目~5日目:フライブルク
(1)3日目:ICEの車内にて
フランクフルト国際空港に到着し、荷物を受け取ると、空港だけあって警察官が。。。
警察官の抱えている銃は、マシンガンで、日本の警官が持っている拳銃とは違う威圧感を感じたことを覚えています。
フランクフルト国際空港の周辺を散策し、ドイツの高速鉄道ICEにフランクフルト国際空港駅から乗車。
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英揮さん含め3名が自転車を輪行していたのですが、当時ICE3に自転車を輪行させることは禁止であったため(当時は最新型のICE4のみ輪行可能)、途中駅で降ろされてしまうというハプニングが発生しました。
普段は一部しかしない30回以上ツアーに参加している方が今回は全行程で参加していたため、その方が代理で引率することになり、なんとか残りの30名はフライブルクのホテルまで無事到着することができました。
ICEでは、食堂車(ビュッフェ)でドイツ名物のソーセージを頂きました。そこでザワークラウト(キャベツとお酢の漬物)を頂いたのですが、初めて食べたのでこれはなんだ?という感想を抱きました。
日本では、食堂車となると豪華寝台列車(ななつ星、カシオペア、四季島、トワイライトエクスプレス瑞風)や観光特急の一部(36ぷらす3、ゆふいんの森など)しか無いので、とても貴重な機会になりました。
食堂車が閑散としている時間帯は、販売員の方がコーヒーをトレイに置いて販売をしている姿を見て、新幹線でさえなくなりつつある文化がここにあることにとても有難く感じました。
ちなみに、九州新幹線で車内販売があったころは、JR九州オリジナルのホットコーヒーと高千穂牧場のアイスクリームを頂くことが醍醐味でした。
列車は、貨物列車が共存する線路を200km/h以上の速度でいくつかの駅に停車しながら約2時間走行し、最初の目的であるフライブルクに到着しました。
(2)3日目:フライブルク
フライブルク中央駅に到着。
ドイツは日本と異なり、改札口が無いので、駅の跨線橋を渡ったらすぐに出口。
そこから歩いて徒歩10分程度の場所にあるホテル・ヴィクトリアへ。
このホテルは、4つ星のエコホテルで、暖房はバイオマス発電、電気は風力や太陽光発電が中心でそれでも賄うことができない電気エネルギーについては、再生可能エネルギーで電気を販売する電気会社から購入しているとのことでした。
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ホテルでホテル・ヴィクトリアに関するレクチャーを受けた後、フライブルクのまちへ繰り出すことになりました。
このホテルでは、宿泊者向けにレギオカルテ(環境定期券)という周辺2300kmの公共交通に乗り放題というチケットが配布されており、自動車を使用しなくてもフライブルクを観光できるよう配慮されています。
日本で昨今MaaS(Mobility as a Service)が話題となっていますが、
・自動車の自動運転のため
・デジタルチケットによる公共交通乗り放題チケット
・公共交通事業者がいかに利益を自社に誘導できるか
の3つが目的になっており、欧州で何故MaaSという考え方が起こったのかという本質は理解されず身勝手な解釈でガラパゴス化が起きているように感じます。
ぶっちゃけ、デジタルチケットじゃなくても公共交通の乗り放題チケットは紙のもので良い訳です。
本来あるべきMaaSの姿は、「採算性ではなく、利用者の立場に立って統合的に公共交通をサービスしていくのか」であり、それを主導するのは、民間企業ではなく、まちの在り方を考える自治体が主体的に動くべきものだと思っています。
それは、下に添付するトラムの時刻表を見たら分かるものです。
ダイヤは、月曜日~木曜日、金曜日、土日ダイヤの3種類に分かれています。
金曜日、土曜日、日曜日はほぼ終夜運転となっており、月~木曜日についても最終列車は0:30~1:00となっており、日本みたいに大都市であっても0:00には終電が出てしまうような環境ではないことが分かります。
これは、独立採算制ではなく、自治体が公共交通行政に確り携わっているからこそ行えるものなのです。
フライブルク市は、環境首都と言われるほど、環境に対する意識が高い都市であるので、自動車が無くても生活ができる環境を整備するという目的もありますが、治安対策の部分が大きいようです。
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これを行えるのは、上下水道、公共交通、電気などのまちを運営していく上で必要なインフラを自治体が運営するシュタットベルケ(町の事業公社)という仕組みがドイツにあるからです。
日本の場合は、九州電力や東京電力といった電力会社。上下水道は自治体(最近は、海外資本の水メジャー:ヴェオリア等が進出しつつありますが)。公共交通は、JRや私鉄、地元資本のバス会社などが担う形になっており、それぞれが収益を上げる必要性があります。
上下水道や公共交通は不採算になるため、例えば、運転手の賃金を安く抑えて赤字額を減らさないといけない。それでも不足する部分は、税金を投入しなければならなり、上下水道と公共交通機関の運営費用を捻出するため、より多くの税金を投入しなければならないし、バス運転手のなり手は不足し、黒字路線でも減便をして利便性が低下するという悪循環に嵌る仕組みとなっています。
そのため、公共交通機関は、景気の後退や感染症が流行するなどして利用者が大幅に減少するような出来事があるとコストを削減するため、減便や路線廃止に走らざるおえなくなり、住民は公共交通の利便性が下がり、その地域に住み続けるメリットよりもデメリットが大きくなり、公共交通機関のサービスレベルの高い大都市圏へ住民が転出してしまうという悪循環に嵌ってしまうわけです。これは県庁所在地レベルの中核市でも同様のことが言えるのが日本の現実です。
一方で、ドイツのシュタットベルケは、全て自治体の内部組織であるので、収益が出る電気部門で上げた収益で、不採算になりやすい上下水道や公共交通セクターの赤字を埋め、それでも不足する部分には税金を投入しますが、日本の仕組みに比べれば、必要になる税金が少なくなるため、教育や福祉により多くの税金を投入することができ、住民サービスの向上にもつながるという好循環を作っています。
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日本でも東日本大震災で福島第一原子力発電所が事故を起こし、再生可能エネルギー(水力、バイオマス、太陽光、風力、地熱など)が注目されていますが、フライブルク市はできる限り、地産地消のエネルギーで電気や暖房を供給しており、それでも不足する部分については、環境負荷の小さい天然ガスを使用し、発電・熱供給を行っています。
日本(特に宮崎県内)では、ちょうどエコツアーに参加した直後にバイオマス発電用の木材を確保するための盗伐が問題になりましたが、フライブルクで使用するバイオマス発電は、黒い森(シュヴァルツヴァルト)の一般の人が立ち入ることができるところでのみ、伐採したものができるようになっています。
フライブルク市が環境に対する意識が高い理由として大きく3つのことがあげられます。
1.国境が存在する(フランスとスイスと国境を接している)
2.原発の誘致問題
3.黒い森(シュヴァルツヴァルト)の酸性雨による立ち枯れ問題
日本は、2番目の原発誘致問題は、頻繁に問題になりますが、島国である日本は、1番目の国境に対する意識が低いですし、3番目の酸性雨の立ち枯れはあまり聞いたことがありませんが、九州(特に福岡や長崎)は、中国から汚染された黄砂が流れてきますので、意外と身近な問題になりつつあります。
再び、ホテルに戻ってきて、夕食を頂くため、まちのビール屋さんへ足を運ぶことになりました。
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地場のドイツビール。
当時、ようやくビールの美味しさがようやく分かってきた頃でしたが、5年前ということもありあまり味については覚えていません。
ビールのグラスが細長く腕が2回当たってビールをこぼして周りに迷惑を掛けてしまったこと覚えています。
現地時刻19:00とはいえ、日本時間3:00過ぎということもあり、眠くて眠くてたまらず、途中で中座して、自室に戻り寝てしまいました。
長くなりましたので、次回の更新に続きます。
お楽しみに!