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去年の今頃は、初めての北海道立近代美術館への作品出展の準備の真っ只中でした。
元日に参加を発表した『北海道151年のヴンダーカンマー』。
前年華々しく祝った"150年目の北海道"とは違う、決して楽観的ではない展覧会だったと思います。この展覧会全体がどこまでこの近代北海道の道のりの先の現在を浮き彫りにできたかは、僕自身今でもいろいろと考えることがあります。限られた期間やリソースの中でも、チャレンジングな企画だとさまざまな方に言っていただきました。厳しい見方も目にしました。メッセージが確実に伝わってくれたことの証左です。"あなたにとって北海道とはなんですか?"と自らに問いかけ続けることの連続から見えてくる未来があると教えてもらったこの展覧会の一員として作品を展示できたことは、僕の大きな自信につながりました。願わくば、その会期を全うしたかったのですが。
意を決して飛んだ東京ドームの目の前で贔屓のアーティストのライヴの千秋楽の中止を知り、帰りの空港で念願の舞台での展覧会の中止を知るという事態を皮切りに、歴史の教科書で見るような疫病の蔓延という現実の中で過ごしてきた一年。仕事が幻のように消えていき、"呆然と立ち尽くす"という言葉とはこのことかと実感した日々。新たな名前で出発した事務所の仕事、そして作家としての活動は全くできないという覚悟でした。
ところが、いろいろなご縁があって、パティスリーやホテルのエントランスで長期にわたる展示をさせていただき、「作品を買って帰れる」展覧会に呼んでいただいたり、そして、これもまたさまざまなタイミングが重なって、長年の知己と数年来考えてきた京都での二人展を実現することができました。時期が早くても遅くても滞りない開催は難しかったと思います。いずれも大変な状況の中、足を運び、また気にかけてくださった方々のおかげで、作品を伝えることができました。
全く想像もしなかった2020年という忘れ得ぬ年が終わります。そんな年をなんとか乗り切れました。だからこそ、もがき続ける存在、もがいてもがいてついに乗り切ることができなかった存在へ思いを致すことも、いつも以上に忘れたくはありません。
『~ヴンダーカンマー』が提示したように、バラ色の未来という未来は、もはやないのかもしれません。そもそも、約束された未来とは無縁のこの仕事です。それでも、より良い明日を行先として、過ぎ去る景色との一瞬のすれ違いに目を凝らし大切にしながら、黙々と淡々と、そして、信念の上に形にし声にすることを忘れずに、旅を続けていきたいと思っています。
今年も、仲良くしてくださったあなたへ、気にかけてくださったあなたへ、そして、僕の個人的な旅の記録を受け取ってくださったあなたへ。本当にありがとうございました。
1月1日、ひとつ新しいお知らせがあります。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします。
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