鼻炎だと思っていたら鼻中隔湾曲症だったので、人生初の入院・全身麻酔・手術をしたら鼻が通りまくってとても快適になったお話
2024年5月末、鼻中隔湾曲症を治すための手術を受けました。
退院して約一週間ほど経った今、鼻の通りが明らかに良くなって非常に快適な日々を過ごしています!
約30年近く悩まされていた問題が解決して本当に嬉しい。
慢性的な鼻づまりはとても苦しいので、同じような悩みを抱えてる人の参考になればと思い、症状や入院生活などについてまとめてみます。
なお症状や必要な手術、入院後の経過などは人によって千差万別なので、気になる方は必ず医師の診断を受けてください。
また、手術や症状についても具体的に書いていきますので、この手のお話が苦手な方はご注意ください。
症状について
幼少期から鼻詰まりがひどく、当時医師の診断を受けた際は『アレルギー性鼻炎』でした。
この時期は鼻呼吸がほとんど出来ない状態で、常に口呼吸。寝起きは口がカピカピだし、睡眠の質も低い状態が続いていました。
しかし後々『猫アレルギー』だったことが分かり、猫を飼っていた実家を出てからは少しだけ鼻が通るように…!
それでも鼻詰まりが完全には落ち着いたわけではないので、改めて耳鼻科に行ったところ
「確かに腫れてるけど…これはちょっと手術が必要かも。大きな病院で見てもらいましょう」と紹介状を頂き、大型病院にて『鼻中隔湾曲症』と診断されました。
鼻中隔湾曲症とは
とっても簡単にいうと「鼻の骨が曲がっていて空気の通り道が狭くなっちゃってるよ」です。
治すには「その曲がってる骨、無くても大丈夫だから取っちゃうね」です。
じゃあ何でその骨あるんや…と最初は思いましたが、プロが言うなら良いのでしょう!(やりすぎると鼻が低くなったりするらしい)
鼻中隔湾曲症というもの自体は成人されてる多くの方に見られるようです。この湾曲の程度が強い、つまり骨がとーっても曲がっていると鼻詰まりの原因になるらしい。
更にぼくは『骨が曲がって出来た隙間に分厚くできた粘膜を切断する』みたいなことも同時にやったりしました。
具体的に何をどこまでやるかは個々人の症状によりけりなのですが、少なくとも曲がった骨を取っちゃうのは共通して行う手術のようです。
入院から手術、退院まで
鼻中隔湾曲症で調べると日帰り退院の手術もありますが、ぼくは絶対に入院での手術をお勧めします。
いや無理だよ日帰り。手術後数日は結構しんどいよ…不安だよ…。
ぼくは入院、全身麻酔、手術のすべてが初体験。一週間にわたる入院生活の経験をしっかりとまとめていこうと思います。
入院一日目(手術前日)
入院は手術前日の10時から。着替えや生活用品を持って病院に向かいます。
受付が終わってから、まずはすぐに身長と体重測定。そこから部屋に案内してもらいます。
部屋は4人共同で、ベッドやクローゼットなどがあってそれぞれカーテンで区切られていました。テレビ&冷蔵庫がありますが利用に1日550円かかるのでぼくは使わず。
あとは充電コンセントと鍵付きの引き出し、そしてテーブルが置いてありました。部屋内にトイレと洗面所も設置されていたので、他の部屋の方と取り合いに…とはならない作りなのはありがたかった。
さて、もろもろ荷物の準備が終わっても10時半。手術は明日のお昼なんだよね…こんな早くから来てどうするのかな……。
と思っていたら、数十分置きに看護師さんや様々な医師がいらっしゃるのです。
過去の麻酔歴や親族の麻酔経験、アレルギー有無や直近の体調、たばこやお酒の摂取量など聞かれたり、麻酔や手術の説明、病院内の施設利用方法や今後のスケジュール説明などを受けました。
そして数時間に一回は必ず看護師さんがいらっしゃって、体温・血圧・酸素濃度のチェックを行います。
あとは午後から行う点滴のために針をブスり。腕に固定してつけたままになります。
そうこうしているうちにあっという間にお昼。病院食のお時間です。
白米、味噌汁、黒豆、小松菜とエノキのおひたし、野菜の炒め煮……
正直言います。全く美味しくない。ぜんぜん美味しくない…。
病院によってご飯の質はピンキリだという噂を聞いてましたが、残念ながらハズレのようです……。
※しかし手術後はこんな悩み、一切関係なくなるのでした。
院内はシャワーがひとつだけあり、それぞれ予約して使う形式。制限時間が10分なので全く落ち着かない。でも浴びれるだけ感謝。
シャワー後は点滴スタート。点滴スタンドと共に歩かなきゃいけなくなり、この瞬間から自分が患者になってるんだなという実感を得ました。
消灯は21時。早い。ただ同室のおじ様3名が19時からいびきをかいて寝ているのでもっと早くお休みの雰囲気に。なのでぼくも早く寝ることに。
ちなみに手術前日の21時以降は、水を飲む以外の飲食が禁止。しかも翌日6時以降は水を飲むことすら禁止です。つらい。
入院二日目(起床~手術まで)
病院の起床時間は6時。本来であれば8時過ぎにご飯が出てきますが、手術当日は一切の飲食禁止。全ての栄養は点滴から取得します。
手術が13時ごろからになったので、それまではとにかく暇。でも思ったよりお腹が好かないしのども乾かない。点滴すごすぎん?
待機時間はNintendo Switchで遊んでました。というのも、看護師さんや医師がちょこちょこ訪れるので、オンライン対戦系のゲームを遊べないんですよね。
そして院内に用意されているフリーWiFiは全く使い物にならず、動画や映画を見ることもできず……。Switchまじ感謝。
そうこうしてるうちに手術の時間。手術着に着替えいざ出陣です。
初めての手術室はドラマや映画でよく見るような光景のまんまで「あぁ、作品でも忠実に再現されるんだなぁ」と思いながらベッドに横たわります。
そこから心電図を付け、これまたドラマでよく聞く心電図の音が。
この音を聞いた瞬間、一気に緊張感が高まりました。いや、どちらかというと恐怖心に近いかもしれない。怖い。これ止まったらタヒぬんよな…いやそんなことは起こりえないんだけども。でもなんだろう。本能的な恐怖ってやつなのかな。
看護師さんからは「緊張してますよねー。大丈夫ですよ、寝てたら終わってますからね。起きたら必ず深呼吸してくださいね。若い子は起きた瞬間驚いて暴れてベッドから落ちちゃうこともあったりするからね」なんて言われました。オレ何歳に見えてるんだろう。35なんだが。まぁビビりちらかしてるけど。
でも『深呼吸』という言葉を深く心に刻み込み、全身麻酔を待ちます。
なお、これまで全身麻酔の経験者に話を聞きまくったところ、みんな口を揃えて「気付いたら意識を失っていた」「知らない間に終わってた」「3秒も意識が持たなかった」なんて言ってました。
なんも感じないまま麻酔が回って終わればいいな…と身構えていると「それでは麻酔いれますねー」と看護師さんから。くる。とうとうくる。
え、なんか全身ビリビリする。は?めっちゃ麻酔されてる感覚分かるんだけど。聞いてた話と違う。気付いたら意識を失う?いやいや、意識とんでく感じめっちゃ分かるんだけど。こわいこわい。なにこれ。あ、何秒持つかカウントしなきゃ。1、2、さん、し、g……
入院二日目(手術後)
「………ん。………さーん。………ますか?………ください」
なんか遠くから声が聞こえる。なんだろ。
「………さーん。……谷川さーん。聞こえますか?……呼吸してください」
あ、これ手術終わった?確か深呼吸だよね。うん、スーハー
「長谷川さーん?あ、起きましたね。ゆっくり深呼吸してくださいね」
うん、声はハッキリ聞こえる。でも目が開かない。いや、ちょっとだけ見えるよになってきた。ボヤ~っと。
「お疲れ様でした。手術は無事終わりましたよ」
だいぶ見えるようになってきた。うん、ここはベッドの上。オレは長谷川優貴。身体は…ちょっと動く。覚醒してきた。
………という感じで目が覚めました。よくゲームなんかである『語りかけられながら目が覚めて、なんとなく声が聞こえる状態からボヤ~っとした視界になって、徐々に覚醒していく』をリアルに体験しました。あれってちゃんと忠実に再現されていたんだ。
術後は吸引マスクを装着して2~3時間ほど待機。この間は全く身動きが取れないので、もしこのタイミングでトイレ我慢できなくなったら尿弁利用とのこと…。でも前日に寝てからこれまで一切水分を取っていないので問題ありませんでした。
鼻は『ズーン』とした鈍痛が続いてる感じ。ただそこまで激しく痛いという感じではありませんでした。
鼻の奥にはガーゼがスッポリと入っているので、空気は一切通りません。なのでここから常に口呼吸です。
鼻の入口には綿球と呼ばれる綿をずっとつめています。5分も経たないうちに血で真っ赤になり取り替える続けることに。また血の混じったタンが喉から出てくるので、口からも血が出続けます。なにこれつらい。
夜ごはんは普通にでてきます。食事制限はないですからね。ただ食べれはするものの一切味はしません。
厳密には『甘い、しょっぱい、酸っぱい』などは感じられるけど、匂いが遮断されているので風味を一切感じることができず、ぼくらが普段楽しんでいる『うま味』はゼロです。なので食事のクオリティは気になりませんでした。どのみち美味しくないのである……。
そしてしばらくしてから頭がボーっとしたり、ズキズキしたり。感覚としては風邪をひいたときのような状態です。脳が鼻かぜを引いたと勘違いしてるんじゃないか…?と思ったり。
ちなみに一番怖かったのは水を飲むとき。鼻が完全にふさがってるのでちょっとでもむせると溺れます。リアルに。幼少期に溺れた経験がフラッシュバックして本気で冷や汗をかきました。水って怖い。
綿球を替えまくり、血を定期的に吐き、水を飲むたびに溺れる恐怖と戦い、鼻の鈍痛と頭痛に耐えながら過ごす日々。え、これ数日続くの…?マジ…?
とにかく寝よう…そう考え消灯時間より早く床につくのでした。
入院三日目
「……寝れない」
そう、寝れないのです。喉がめちゃめちゃ痛くなるから。
鼻かぜになったことある方は分かると思うんですが、口呼吸の状態で寝ると口がカッピカピに乾くんですよ。それはもう信じられないくらいに乾きます。
ってことはもちろん、喉もカッピカピになります。寝てるときは水を飲まなければうがいもしないので、潤いはゼロ。
そんな状態が長時間続けば…喉が腫れます。痛い。イガイガする。咳き込む。そして血の混じった痰を吐く。
え。つらすぎるんですけど。
そこから1時間ほど寝ては起き、また寝ては起き……。短時間睡眠を繰り返して朝を迎えます。眠いけど寝れない。というか寝たくない。そんな状態で一日を過ごすことになりました。
この日も鼻血は止まらないので、綿球を変えまくります。定期的に体温と血圧、酸素濃度を図るのは変わらず。抗生剤の点滴を打ちながらひたすら喉を潤しつつ耐えしのぶ一日になりました。
気分転換しよ…と思ってSwitchで遊んでみるものの、頭がボーっとしたり頭痛がおきたりするのであまり楽しめず。一週間の入院生活でこの日が一番辛かったです。
なお初日に点滴の針を差して6日目に外すまではシャワーには入れません。濡れタオルをもらって身体を拭くことで耐えしのぎます。毎日浴槽に使っていた自分にとっては結構しんどかった。。。
入院四日目~五日目
綿球が血に染まる間隔が開いてきました。1~2時間に一回交換するくらい。痰も少しずつ収まってきます。
ただ喉の痛みは引かないどころかひどくなり、口内環境が悪いので口内炎ができまくります。
ご飯を味わえない&汁気のないものばかりでるようなことがあり食べきれず、栄養不足からか肌荒れも激しくなりました。
この二日間は6時~23時まで一切寝ず、かつ定期的に食堂(というなのちょっとした広場)をグルグル歩いて運動をすることで『疲れと睡魔で嫌でも寝ちゃうよ』作戦を決行。結果として少し寝れるようになりました。
日中は読書とSwitchでやり過ごします。正直頭を使うことはそんなにできなかったので、勉強とか何かを覚えるみたいなことはできませんでした。頭がボーっとするような風邪っぽい感覚は変わりないので。
身体がしんどいよりも心がしんどくなってきたのがこの二日間。ただ待つだけの日々は辛いですね。
家族がお見舞いに来てくれてプリンをくれたのが嬉しかったなぁ。プリンが甘いのとカラメルが苦いのは分かったよ!(やっぱり美味しさは感じられないけど…)
入院六日目
とうとうやってきました。この日は鼻の奥に入れてあるガーゼを取り出す日。朝食後に耳鼻咽喉科へ向かい、すぐさま取ってもらいました。
鼻の奥に入っていたガーゼは厚さ0.2cm、幅2cm、長さ5cmくらいの特大サイズ。これが左右の鼻にそれぞれぶっ刺さってたのか…そりゃ苦しいわけだ…。
取ってからも若干出血はあったけど、気になるほどではなく。軽くなら鼻をかむこともOKに。
鼻呼吸、解禁です。
ス~…
最高。あっぱれ鼻呼吸。ちょっとでも鼻から空気を入れられる幸せ。嬉しすぎる。
昼食も味を楽しむことができました。味噌汁ウメェ。泣ける。
ガーゼを取って数時間したら頭がボーっとすることや頭痛なども収まりました。
ここから完全に回復タイム。最高だぜ!!!
途中で経過を確認しながら、問題なさそうなので予定通り明日退院となりまして…もう心はウキウキです。早く日常に戻りたい。健康的な生活をしたい!!!
寝るときも鼻呼吸ができる。これでやっとちゃんと寝れるぞ…やったぞ…。
入院七日目(退院)
「……思ったより寝れなかった」
まぁ鼻呼吸できるようになったとはいえ、まだちょっと血が出てるような状況だし、喉の痛みが収まったわけじゃないし。それでも今までよりは睡眠の質はよかったと思います。
9時ごろにもう一度耳鼻科の医師に鼻を見てもらい、問題なさそうなので10時ごろに退院。
一週間ぶりの外。空気が美味しい。日差しが気持ちいい。幸せはここにある。最高か。
身体はまだ弱ってるけど、心は完全に復活しました。喉の痛みさえ収まれば日常に戻れる。よかった。ほんとによかった。
退院一週間後
鼻の痛みは完全に落ち着き、血もうっすら出ることがあるかな、くらいでほぼ収まりました。
そして肝心の術後の結果。
鼻の通りは、術前と比べて明らかに良くなりました!!!
感覚値になるんですが、これまでは鼻が通ってる時間が一日の中で3割程度だったんですよ。
それが、まる一日通ってる。常に匂いを感じられる。朝昼晩、飯が旨い。
明らかな改善を感じています。よかった。手術して本当によかった!
手術、おすすめです
入院中は長く感じたけど、実際には一週間程度で終わる入院生活。費用もそこまで高くない(高額療養費制度も適応される)ので、個人的にはとてもおすすめな治療だと感じました。
ただ、noteで他の方の体験談を読んだ感じ、ぼくの術後の症状はかなり軽いほうだったかもしれないので、入院中のしんどさはブレがあるようには思います…。
それでも鼻がしっかり通るようになるのは明らかに快適であり、身体にも良いです。気になる方は是非医師に相談してみてください。
余談 入院中に感じたこと
ここからは鼻中隔湾曲症とは関係なく、入院中に感じたあれこれをまとめてみます。
医療従事者、神
入院中は常に担当の看護師さんがつきます(もちろん複数人かけもってます)
これが日中と夜勤でそれぞれずっと付いていて、何かあればいつでも声をかけられるという環境で過ごせます。
メインの担当はいるものの、そうでない看護師さんもたくさんいらっしゃって、どの看護師さんからもとても気にかけていただきました。
もちろんお仕事である以上当然なのかもしれませんが、治療で心身ともに辛い状況のなか、助けてくれる人が常にいるという安心感は心の支えになりました。
その上で、患者さんとのコミュニケーションも非常に丁寧なんですよ。
入院初日、自分の隣のベッドにいたおじ様に看護師さんがいくつかヒアリングをしてました。
「おたばこは吸われますか」
という、はいorいいえの1秒で答えられる質問に
「いやー実は50年前に辞めたんだよ。当時は海外に居てね。その時は宝石を扱う仕事をしていてなぁ、あの頃は〇〇で××で…」
…と、15分以上もかけて回答するおじ様。
それに対し看護師さんは「へぇ~、そうだったんですね!」「うんうん」と丁寧に相槌を返しながら話を聞いていたんですよ。
更にはおじ様が「あぁ、ごめん。なんかいろいろ話しちゃったね」と言った後も「いえいえ、私もお話が面白くていろいろと聞いちゃいました。貴重なお話ありがとうございます」と返す。
神や。リスペクトですよ。素晴らしいですよ。
医療という専門分野の知識や技術を持ち、日中深夜問わず働き、患者さんとのコミュニケーション能力も備えている。もっと給料上げちゃってください。ほんとに。
血、足りなくならん?
ベッドに転がりながらSNSやらYouTubeやらを見ていたら、こんなキーワードを目にしました。
『2024年の出生数、70万人を割る』
少子高齢化、止まらんよな~なんて思いながら血で真っ赤になった綿球を交換したとき、ふと思ったんですよね。
「鼻の手術しただけでもこんだけ血が出るってことは、ケガとかだと大量に出血するよな。そんな時に必要なのは輸血…でも若い人が減る…高齢者が増える……。これ、将来、血が足らなくなるのでは?」
たまに見かける献血カーなんかでは「血が本当に足りないのでご協力をお願いします」と言ってるのと聞いていましたが、当事者(のような気持ち)になったとたん、これはとてつもなく恐ろしい事態になっているのではと感じまして。
当たり前に受けられている医療が、将来は受けられないかもしれない、と。
これは並々『健康』の価値が高まってくる気がします。
今受けられる治療は受けておき、将来ケガも病気せず元気に生きていけるように準備することが最大の投資かもしれませんね。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございました!