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昔、あったとされる放射性物質をなめていた仕事「ラジウムガール」
①前書き
皆さん、ラジウムという物質についてご存じでしょうか?
1898年、ラジウムはピエール・キュリー、マリ・キュリー夫妻によって発見され、放射線を放出していることから、ラテン語のラディウス(radius)にちなんでラジウムと命名された元素です。
このラジウムは放射性物質で、放射線を放っている元素です。
この放射線は、人間が浴びると細胞が傷つきとガンになったりする有害な物質なのですが、当時の研究者たちは、まだその事実は理解されていなく
何か強いエネルギーを持っている物質ということまでしかわかっていませんでした。
しかし、その影響力に目を付けたメーカーはこのラジウムは人間にとって有効な成分であると発表し、ラジウムの入った様々なものを作りました。
その一つとして、1900年、アメリカに存在した会社であるリバイゲーター社はこのラジウムを使ったあるものを人々に販売しました。
それは、現在のウォーターサーバーに当たる飲料のタンクです。
このタンクには、ラジウムが含まれており、当時の宣伝として、「ラジウムが入っているため、このタンクに水を入れて飲むと健康にいい」という宣伝文句で売られ、実際にこのタンクは約数十万個売れたとされています。
また、1918年にはこのラジウムを蒸留水に溶かしたラジソールという商品が作られ、糖尿病などに効く万能薬として販売されました。
このように、ラジウムは体にいいということで、水だけでなく
パンやせっけん、座薬、そして歯磨き粉にまでラジウムが使われるようになりました。
また、このラジウムには、自然発光するため、夜光塗料として使えることから、ラジウムが入った時計や化粧品、おもちゃなどに使われるようになってから、人々が買うようになり、同時にラジウム使った商品を販売する仕事がどんどん増えていきました。
こうして、様々な商品にラジウムが使われ、人々の生活が豊かになったかに思えましたが、のちに事件が起き始めました。
②昔、あったとされる放射性物質をなめていた仕事「ラジウムガール」
従業員の一人として、モリー・マッジャという人物がいましたが、
彼女ははじめ、工場でこのラジウムを筆で製品に塗るといった仕事を行っていましたが、この際に、筆の先端を細くするために、ラジウムのついた筆をなめて、先端を細くしていました。
そんな仕事をやっていたのですが、彼女の体にも異変が起き始めました。
仕事をしてから、最初は、歯が一本ずつ腐っていくため、彼女は
虫歯だと思い、歯医者に歯を抜いてもらうと
大量の膿がたまっていることが分かりました。
それでも、お金のために、彼女は働き続けましたが
次第に、歯茎に膿がたまり、その痛みで彼女はついに歩けないほどの激痛に襲われました。
そして、その後、彼女にある異変が起きました。
なんと、彼女はあご全体がはれ、顔がゆがみ始めました。
彼女はすぐに病院に運ばれましたが
口の中が血にあふれ、止血が間に合わず、彼女は24歳でこの世を去ったとされています。
彼女がなぜ死んだのか、医者は特定しようとしましたが
結果的に、この病気を解明できず、梅毒の症状に近かったことから
梅毒での死と、決めつけました。
その後、彼女の死が奇妙だったことから、
彼女の死はこのラジウムが原因ではないかと彼女と一緒に働いていた人たちは思い、彼女たちは会社を訴訟したが、彼女の死はラジウムが原因ではないと2年間否定し続けました。
しかし、2年後、1925年にハリソン・マートランドという
医者によって、体にラジウムを取り込むことは害であると発見し
最終的には会社はラジウムによって彼女が死んだことを認め
従業員たちに賠償金を払いました。
その後、様々な会社がこのラジウムを使うことをやめ、ラジウムを使った産業は衰退していきました。
しかし、働いていた、彼女たちの体はすでにラジウムに侵されており
お金を得たものの彼女たちの命は帰ってきませんでした。
③最後に
いかがでしたでしょうか。
ちなみに、このラジウムガールは実際にアメリカで
映画化もされています。
気になるかたはチェックしてみてください。
以上が、昔、あったとされる放射性物質をなめていた仕事「ラジウムガール」でした。