プレミアリーグ18-19シーズン6節 チェルシーvsウェストハム 「初めての引き分けで見えたもの」
6節のチェルシーvsウェストハムの試合は0-0のスコアレスドローでした。
水曜日にヨーロッパリーグがあった影響もあってか、チェルシーの選手はボールを受ける動きの回数が激減して、中央を閉めるウェストの守備をほとんど崩せずに試合を終えてしまいました。
ですが、シーズンはまだこれからです。本日出た課題をどのように改善していくかがサッリに問われていくと思います。うまくいかなかった時ほど改善のチャンスがあるものです。
というわけで、本日は
①ウェストハムがトライした、チェルシーの攻撃の止め方
②メンバーを固定するサッリチェルシー、奮起を期待したい「青い選手」
③引き分けから見えた「今後のチェルシーの課題」
です!
①ウェストハムがトライした、チェルシーの攻撃の止め方
前節のレビューで私が書いた「チェルシー対策」の中では
1.後ろのビルドアップ(CB2枚とジョルジーニョ)をマンマークで抑えて出させない
2.ボールを奪った後は、SBの裏のスペースに速く攻める
の2点でした。
結論から言うと、1に関しては別のアプローチで、2に関しては同じようなアプローチでウェストハムは対応していました。
両チームのフォーメーションは、以下の通りです。
ウェストハムのシステムは433でした。
面白かったのは、私の攻略法1とは全く異なり、チェルシーの2CBにもジョルジーニョにもマークをつけなかったことです。
逆にウェストハムが最も厳しく人数とプレッシャーをかけたのは、下図にある黒枠のエリアです。
チェルシーが縦パスを入れて真ん中をこじ開けようとすることを理解していたウェストハムは、中央に人数を集めてスペースを消しました。特にSBのサバレタとマスアクはサイドの守備を捨てて、黒枠のスペースに入った選手を潰す役割を与えられていました。人に強いサバレタとバルブエナのボール奪取は目立っており、ペジェグリーニは選手の特徴を生かした戦術を選択したと思います。
ジルーが落ちたスペースにアザールが裏抜けするパターンも、片方のCBがジルー、もう片方がアザールについていくことで対応していたので、チェルシーは中央での攻撃からチャンスを全く作ることが出来ません。
そして、29,30分には私の攻略法2の「SBの裏のスペースに速く攻める」ことで、ウェストハムの3トップの個人の力も使いながらあわや先制点という場面を作り出すこともできたので、得点さえ出来ればウェストハムは最高の前半だったと思います。
完璧に抑え込まれたチェルシーは、後半はアザールとウィリアンをサイドに張らせてポケット侵入を試みたり、ポジションチェンジしてサバレタの裏を狙ってみたりしました。
しかし、ウェストハムの左右のウィングとSBの1対1の対応が素晴らしくて簡単にクロスを上げさせません。また、チェルシーのサイドの選手が中に切り込んでドリブルしてきたときに、DFラインを一気に上げてポケットのスペースをオフサイドにしてしまう見事な守備を見せました。
セットプレー崩れのモラタの決定機と、最後のウィリアンのボレーシュートを除けば、ウェストハムはほとんどチャンスを作らせてません。ウェストハムは個人の能力が高い選手が多いので、しっかりとチームが規律を持ってプレーすれば、今年のプレミアで危険な存在になるチームではないかと思った試合でした。
②メンバーを固定するサッリチェルシー、奮起を期待したい「青い選手」
サッリは、ナポリ時代からメンバーを固定してシーズンを戦う監督でした。チェルシーの監督に就任してからもメンバーを固定して戦っていますが、この試合は明らかに選手の動きが重かったため、勝ち点3を逃してしまいました。
サッリもメンバーを固定せずとも勝てるのであれば、疲れて動けない選手をわざわざピッチに出すことはしません。ですが、この試合のウィリアンとケーヒルのプレーを見ていると、ターンオーバーで戦うことは厳しいと感じてしまいました。
現在のスタメンの選手を超えていくような控えを生み出すために必要なのは2つ。
1.現状の課題を解決できるタイプの選手を補強する
2.過去に実績がなく、思い切りよくプレー出来て、素直に監督の話を聞いてなんでもチャレンジする若手
これまでの試合で控えの選手のプレーを見る機会がありますが、バークリーを除けば「監督の要求を満たすために出来ないことをやろうとする」ことに徹していました。ですが、そのような姿勢ではチームに変化をもたらすことは出来ません。
もちろん監督の言うことを理解して、プレーで示すことは当たり前に求められていますが、今までのやり方が上手くいかなかったときに必要になってくるのが、いい意味で染まっていない選手であると私は思います。
わがままを突き通すことと、思い切り良く自分の特徴を出していくこと。この差は微々たるものですが、自分のプレーを改善することはトレーニングでやっていき、試合ではチームを勝たせるために全力で自分が出来るプレーを控えのメンバーに求めたいと、この試合を見て思いました。
③引き分けから見えた「今後のチェルシーの課題」
久々に結果が出せなかったチェルシーですが、やり方を変えられるチャンスは結果が出なかったときぐらいなので、今回はポジティブに「今後修正すべき課題」をリストアップしていきます。
課題は以下3点です。
1.斜めの動き等でDFラインの背後を取る動きの回数が少ない
2.「身体に触れさせずに間で受ける」意識が低い
3.守備で前に人数をかけたときにDF-MF間が空いてしまう
1.に関しては、ボーンマス戦ではウィリアンが何回か斜めの動きで裏抜けをしていて、相手の守備の狙いを外す働きをしていましたが、ここ数試合はサッリにDF-MF間でプレーすることを求められているのか、背後を取る動きの回数が少なくなりました。中央が停滞しているときこそ、斜めに走ってマークを外してDFラインの背後を取ることで、中央で受けられるスペースが出来ます。シャドーの選手にはも裏への動き出しの回数を増やすことを求めたいです。
2.は、「ボールを安全に回すため」ではなく、「相手を意図的に動かすため」に必要であると感じています。今のチェルシーは、自分たちのアクションを変えることでパスコースを作ってボールを回していますが、ウェストハムのようにしっかり人についてくる守備には対応されてしまいます。チーム全体でボールを動かすことでスペースを意図的に作るためにも、もっと相手の選手間のスペースでボールを受ける受け方が出来ると守備の形を動かせると思います。
3.ですが、前と中盤の選手はボールを失った後の切り替えが染みついてきて、失った後も即ボールを奪い返すシーンが目立つようになりました。しかし、DFラインの選手がラインを上げられているかというと、そうではありません。ジョルジーニョが前のスペースを消すためにポジションを上げるときにDFラインが連動しないので、そのスペースがぽっかり空きます。
今まで戦った相手は、最初のプレッシャーを剥がせないので大きなピンチにはなっていませんが、今のチェルシーの守備は最初のプレッシャーを外されれば即カウンターを許す設計になっています。DFラインの選手が前に出て攻撃を防ぐ意識をトレーニングからつけていく必要があります。
次節は強豪リバプールとの試合になります。チェルシーの守備の課題が浮き彫りになる試合になると思うので、来週はそこに注目したいと思います。
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