スクラップ・アンド・ビルド
ここ、何があったっけ?
通勤の最中。何でもないビルとビルの間。
ぽっかりと何も無い隙間がある。
そんなわけないのに、昨日までここにすっぽりとビルが埋まっていたような錯覚に陥る。
ふと見渡すと、馴染のないビルやマンションが何食わぬ顔でそこら中に蔓延っている。
数年前の様相すら思い出せず、さもありなんと言わんばかりに通勤を急ぐ人で街は流れていく。
まるで心のようだと想う。
青々とした葉が優勢になっていく。
またひとつ季節が過ぎている。
変わったのは街並みかはたまた。
この隙間も、いつか忘れていく。