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【初心者】「積立は日本株50:米国株50」という意見について

インターネット上では一部の投資インフルエンサーが、積立NISAでは「日本株50:米国株50」という割合が最も良いと主張しています。

過去の株価推移から投資成績を検証したいと思います。

ここではCAGRという指標を用います。

CAGR(Compound Annual Growth Rate、年平均成長率)は、一定期間における投資価値やある指標の年平均成長率を測定する方法です。CAGRは特定期間内での一定の増加(または減少)を示し、対象が毎年同じ率で成長しているかのように計算されます。実際の成長が一定でない場合でも、CAGRはその期間の全体的な成長傾向を理解するのに役立ちます。要するに、ざっくり年率何%で株価が上昇してきたかを表します。

【日本株】
1985年1月6日から2022年1月6日までの日経平均株価のCAGRを計算するには、その期間の開始時点と終了時点の株価が必要です。

  • 1985年1月初頭の日経平均株価は約11,700円前後。

  • 2022年1月初頭の日経平均株価は約28,000円前後。

これらの値を使用してCAGRを計算してみます。1985年から2022年までの日経平均株価のCAGRはおおよそ2.6%前後になります。日経平均株価に投資していると過去37年間で年率+2.6%の儲けが出たということです。

【米国株】
1985年1月6日から2022年1月6日までのS&P 500のCAGRを計算するには、その期間の開始時点と終了時点の指数の値が必要です。

  • 1985年1月の初頭のS&P 500の値はおおよそ165前後。

  • 2022年1月初頭のS&P 500の値は約4,700前後。

これらの値を使用してCAGRを計算してみます。1985年から2022年までのS&P 500のCAGRはおおよそ10.5%前後になります。S&P500に投資していると過去37年間で年率+10.5%の儲けが出たということです。

【日本株50:米国株50】
S&P 500と日経平均株価を50:50の割合で投資した場合のCAGRを求めるには、それぞれのCAGRを計算した後、それらを組み合わせて調整する必要があります。

前述の仮定に基づくと:

  • S&P 500のCAGRは約10.5%。

  • 日経平均株価のCAGRは約2.6%。

この投資ポートフォリオのCAGRは、各投資先のCAGRをその割合に基づいて平均することで近似できます。

この計算を行うと、1985年から2022年までのS&P 500と日経平均株価を50:50の金額で保有した場合のCAGRは、おおよそ6.55%前後になります。この結果は投資の実際の初期配分と再平衡の有無に応じて変動する可能性がありますが、この方法はシンプルな平均計算として使われます。

つまり、過去37年間を振り返ってみると「日本株50:米国株50」のポートフォリオは米国株100%のポートフォリオに大きく投資成績で劣るという結果となりました。

また、値動きの激しさ、ボラティリティという観点ではどうでしょうか?

一般的に、日経平均株価の方がS&P500よりも値動きの幅が大きい傾向にあります。以下に、両指数の値動きの特徴を比較します:

  1. ボラティリティ:

    • 日経平均株価: 通常、年間ボラティリティは20%〜30%程度

    • S&P500: 通常、年間ボラティリティは15%〜20%程度

  2. 日中変動:
    日経平均株価の方が、一日の中での価格変動幅が大きい傾向にあります。

  3. 構成銘柄数:

    • 日経平均株価: 225銘柄

    • S&P500: 約500銘柄
      S&P500の方が銘柄数が多いため、個別銘柄の影響が分散され、全体としての変動が抑えられる傾向があります。

  4. 計算方法:
    日経平均株価は単純平均方式、S&P500は時価総額加重方式を採用しています。日経平均の方が個別銘柄の影響を受けやすい構造です。

  5. 市場規模と流動性:
    S&P500の方が市場規模が大きく、流動性も高いため、相対的に安定しています。

  6. 経済的背景:
    日本経済は輸出依存度が高く、為替変動の影響を受けやすいため、日経平均も変動しやすくなります。

  7. 投資家層:
    S&P500には世界中の機関投資家が投資しており、日経平均と比べて個人投資家の影響が小さいです。

  8. 政策影響:
    日本では金融政策や経済政策の影響を直接受けやすく、日経平均の変動に反映されやすい傾向があります。

  9. 歴史的イベントの影響:
    バブル崩壊後の日本経済の長期停滞など、日経平均はより大きな構造的変化を経験しています。

  10. セクター構成:
    S&P500の方がセクターバランスが取れており、特定セクターの影響を受けにくい構造になっています。

これらの要因により、一般的に日経平均株価の方がS&P500よりも値動きの幅が大きくなる傾向にあります。

ゆえに「日本株50:米国株50」のポートフォリオは米国株100%のポートフォリオと比較して値動きが激しくなります。

結論としては、「日本株50:米国株50」のポートフォリオは米国株100%のポートフォリオと比較して、投資成績が悪く、値動きも激しいため、最良の割合とは言えないと思います。米国株100%の方が優れていると考えます。

どうしても日本株に期待したいのでしたら、全世界株式ファンド(通称:オルカン)に100%積立投資するアイデアがあります。日本株が上昇すれば、自然にファンド内での日本株比率も上昇するからです。

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