【米国株】パウエルFRB議長、インフレ抑制に自信を示す
昨日パウエルFRB議長がワシントンのエコノミック・クラブでインタビューに応えました。
発言要旨は以下の通りです。
*(トランプ氏銃撃事件について)米国にとり非常に悲しい日
*政治的暴力は米国に存在してはならない。トランプ氏の負傷が深刻でなかったことをありがたく思う
*経済はここ数年、際立って好調
*今年は景気が減速しインフレ面で引き続き進展することが予想されており、現在そうした状況となっている
*労働市場、パンデミック前ほどタイトではない
*第2・四半期のインフレ動向を示す3指標は、インフレ鈍化への確信強める内容
*インフレが鈍化したことを受け、二大責務双方に目を向ける
*労働市場に予想外の脆弱さが確認されれば、われわれは反応することになるだろう
*特定の会合についてシグナルを送るつもりはない
*会合ごとに決定を下す
*データと見通しに基づき決断を下す
*インフレが2%に達するまで利下げを待つなら、それはあまりにも長くすぎる
*当局者が利下げについて確信を得ることが試金石だ。良好なデータが増えれば自信が増す。FRBは最近それを実感している
*財に対する需要に絡む初期のインフレは当初一過性と考えられていた。FRBは経済が正常に戻るスピードを過大評価していた
*過去の金融引き締めサイクルで見られた労働市場の痛みを伴わず、インフレを低下させる道筋があると常に感じていた
*労働市場にスラックが存在するようにはみられない
*「ハードランディング」シナリオ、現時点では最も可能性の高いシナリオではない
*失業率を単一の数字に減らすことはできない。最大雇用は多くの変数の関数である
*中央銀行の独立性は議会の両政党から幅広く強力な支持を得ている
*大統領との会談はまれであり「適時に行う」
*任期は2026年5月まで、留任要請があってもコメントしない
*私はこの仕事をかなり楽しんでいる
*金融政策は厳しくはないが制約的、中立金利はおそらく上昇した
*リスク回避的になりすぎない
*FRBがインフレ鎮静化に自信を持てば行動を起こす時が来る
*ユーロ圏は大幅な低成長期を経験、米国とは状況が異なる
*タイミングに若干の相違あれど、主要中央銀行間の共通性の方がより重要
*記者会見の想定問答の作成にチャットGPTを利用、金融政策には利用せず
*FRBには必要な権限を有しており、連邦準備法は「良好な状態」にある
*政策運営を正しく行うことは極めて重要
*米国の財政赤字の水準を長期的に見て懸念、ただ議会への助言はFRBの責務ではない
*FRBが責務を堅持し、拡大する誘惑を回避することが重要
利下げへ前向きな発言や労働市場へ気を配る発言が増えてきています。
発言を受けてCME FEDWATCHでは年内3回の利下げが優勢になりました。
6月までとは状況が変わってきています。利下げが一回も行われないという可能性は少なくなり、焦点は一回だけの利下げで済むのか、何回も利下げを繰り返すことになるのかだと思います。
何回も利下げ繰り返す事態とは、経済の落ち込みにFRBが後手に回っていることを意味し、その場合株式市場は利下げにも関わらず大きく下落していくケースがほとんどです。繰り返される利下げによって日米金利差も一気に縮小しますので、為替は円高に振れると思います。日本から米国株に投資する投資家にとって、株安と為替差損のダブルパンチを食らう最も回避したい事態です。
まだ、利下げが一回で済むのか、複数回になるのか分かりません。向こう数ヶ月の経済指標やFRBの動向に一層の注意が必要だと思います。
X(旧Twitter)やYoutubeなどでは、「当然これからも株高や円安が続くに決まっている」という意見が大勢を占めていると見受けられます。周りの投資家が慢心し切っている時は、こちらはガードを固くすべきだと考えます。