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【相場観】現在の相場見通し(24/8/18)

【大局判断】
●株・景気・金利・為替サイクル
株価サイクル 上昇相場(1年10ヶ月経過:安値22/10)
景気サイクル 好景気(4年4ヶ月経過:不況終了20/4)
金利サイクル 横ばい(1年1ヶ月経過/FF5.25%~5.50%)
為替サイクル 不明(ソフトランディングなら円安ドル高、ハードランディングなら円高ドル安)

●景気サイクル 拡大期
米国GDP +2.8%
新規失業保険申請件数 227k
米国雇用統計 非農業部門雇用者数114k失業率4.3% 前月比平均時給+8¢(+0.2%)
米国ISM製造業指数 46.8
米国ISM非製造業指数 51.4
米国小売売上高 +1.0%
米国個人消費支出(PCE/CorePCE)2.5%/2.6%
米国消費者物価指数(CPI/Core CPI) 2.9%/3.2%
米国消費者信頼感指数 100.3
ミシガン大学消費者信頼感指数 67.8
米国住宅着工件数/建設許可件数 1238k/1396k

総評:CPIは遂に2%台まで低下。失業率4.3%は依然として歴史的低水準も上昇トレンド継続。小売は強い数字。全体的に底堅い景気を示唆している。

●企業業績(データ元はFactset)
2024年第2四半期のS&P 500の混合EPS成長率(報告済みの企業の実際の結果と、まだ報告していない企業の推定結果を組み合わせたもの)は10.8%です。これは2021年第4四半期(31.4%)以来の指数で最大の収益成長率となります。

アナリストによる、S&P 500 の2024 年第 3 四半期から 2025 年第 3 四半期までの収益成長率の現在の推定値は、4.9%、5.4%、5.8%、5.8%、6.2% です。

●株価サイクル 業績相場
S&P500 上昇局面
NASDAQ 上昇局面
S&P500はPER21.0倍(5年平均19.4、10年17.9)
平均より高い水準だが政策金利がこれから低下してくること、高いEPS成長が見込まれることから極端な割高とはまだ言えない。

<メインシナリオ>
ソフトランディング?景気後退?

⚫︎金利サイクル的に次に来るのは景気の腰折れ。消費関連株の決算が冴えないこと、クレジットカードの焦付きの上昇トレンドが止まらないこと、FRB議長からのメッセージに利下げが混ざり始めていることから、目先の景況感は不透明感が漂い始める。

⚫︎AIブームを牽引しているのはGAFAMの設備投資である。GAFAMがAIによって業績を伸ばし、株価が堅調であるならば投資家は高水準の設備投資を許容し続けるはず。GAFAMのAIビジネス(AI課金・クラウド部門)が堅調であるか、株価が堅調であるかがブーム継続の大きなカギである。直近GAFAMの株価が下落していること、巨額の設備投資への懸念が広がっていることは注意を要する。一方でTSMCの7月業績は前年同月比44.7%増の2569億台湾ドル(約1兆1600億円)と極めて好調だった。24年6月に比べても23.6%の増収だった。

⚫︎インフレは2.9%まで低下した。粘着質だったサービスインフレも低下した。7月FOMCでは賃金インフレはもはやインフレの主要因ではないことが確認された。

⚫︎FACTSETによるとSP500のEPSはこれから高い成長を見込む。24年は+10.2%(8月時点のアナリスト予想)、25年は+14.4%(6月時点)成長を見込む。24年EPS成長は1%ほど下方修正された。

⚫︎上昇相場は3-15年続く(平均8.9年、平均+468%上昇)が今は1年10ヶ月。未だ若い。

⚫︎不況は大抵10年に1回やってくるが、今は4年4ヶ月。好景気はまだ続いてもおかしくない。

⚫︎2020年3月、2022年10月と立て続けに株は暴落していること、経験則的には-20%を超える大幅調整は10年に1回程度しかこないことを考慮すれば、今すぐ暴落がやってくるオッズは比較的低い。

<点検ポイント>
FRBの動向、長期金利、AIによる生産性向上(AI導入による余剰人員のリストラ・AIによる企業業績UP等)、GAFAMの株価・設備投資、個人消費、CPI推移、雇用統計、米大統領選候補者の支持率、原油価格

<結論>
中立

【一年の見通し】
大統領選サイクル 4年目(2番目/4に強い年)
1月相場成績 プラス
金利動向 秋〜冬から利下げ開始の可能性
業績動向 拡大へ
注目イベント 11月大統領選挙

<見通し>
景気は底堅く、金利は利下げフェーズ、業績は強い。ゆえに一年を通じて相場は高いと予想。1-3月は相場は高かった。これは現職の大統領が勝つ典型的な値動き。この場合、4-5月がスピード調整になる場合が多い。7月に一定の深い下押しがあった。8月からは目立った下押しもなく年末に向けてジリ高と予想。

【8月の見通し】
アノマリー やや強い
注目イベント 決算シーズン ジャクソンホール(8/22-8/24)、Nvidia決算(8/28)
投資スタンス 中立

【来週(8/19-8/23)の見通し】
注目イベント 決算シーズン ジャクソンホール(8/22-8/24)
意見 中立

【現在の投資態度】中立
株式市場は先週の下げから一気にV字回復しました。極端な景気後退懸念は殆ど払拭されたと思われます。一方でCME FEDWATCHを見てみると、投資家は年内4回分の利下げを織り込んでいます。そして来年も段階的に利下げが行われることを織り込んでいます。

https://www.cmegroup.com/ja/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html

過去の利下げ局面では、今のCME FEDWATCHが織り込んでいるような繰り返し利下げが行われるケースでは、株式市場は暴落しました。何回も利下げを行わないといけないほど経済の落ち込みが酷かったためです。

今の米国経済は1週間前に投資家が悲観していたほど悪くはありません。少なくとも経済指標は全体的に強い数字です。FRBのパウエル議長もこれらの数値を見ているはずです。状況証拠からはFRBが通常の2倍(0.50%)の利下げを行ったり、矢継ぎ早に何度も利下げを繰り返すことは考えにくいです。ゆえに9月18日のFOMCまでの何処かで投資家の利下げ期待は裏切られる可能性は高いです。目先、今週末のジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言には注意を払う必要があります。そこで期待しているほど利下げは行われないことがアナウンスされた場合、相場は少しギクシャクするかもしれません。経済が強いゆえに利下げ回数が少なくなるので、ギクシャクは少しだと考えます。逆にドル円は円安に振れると思います。

CPIが2%台まで低下してきたので、9月FOMCでは利下げが行われることはほぼ確実だと思います。現時点では、可能性は小さいと思いますが、0.50%の利下げが行われたり、利下げが幾度となく繰り返されることを否定しなかったりすると、FRBが経済の後手に回っているのではないか?という不安がでて相場は下落基調に入ると思います。その場合、当然ドル安が進み円高が進行すると思います。

ソフトランディングが実現した1995年や2019年のように、今回の利下げは予防的なものだということがコミュニケートされなければなりません。その場合、株式市場は持ち堪えることができ、市場は上昇トレンドを維持すると思います。しかし、この場合、ドル円がどう動くのかは分かりません。1995年は利下げ時にドル円は円高に振れ、利下げフェーズが終わると円安が進行しました。2019年は利下げフェーズ直前に円高に振れて、利下げ期間中は横ばい、利下げフェーズが終わると円安に振れていきました。

基本的にソフトランディングの場合、利下げ回数は限定的に止まり、日米金利差は多少縮小しますが、依然として大きく開いたままになります。ゆえに利下げフェーズが終わり、これ以上金利差は縮まらないとの考えが投資家に広まると再び為替は円安に振れていくと思います。

しかし、第一回目の利下げ直後や、利下げフェーズ中のドル円の値動きは今回どうなるか分かりません。ソフトランディングとなる場合、投資家の期待は利下げ過多に傾いていることとなり、それが修正されることで円安が進むとは思います。しかし、実際に利下げが行われた場合、その直後はこの利下げフェーズにおいて利下げが何回行われ、日米金利差はどの程度縮まるのかハッキリしていない可能性があります。その場合、投資家は過度に円高方向にポジションを傾けるかもしれません。

まとめると、目先ジャクソンホールでは投資家の利下げ期待に水を刺され、相場は少しギクシャクするかもしれません。9月FOMCから利下げフェーズは始まると思います。無事、今回の利下げは予防的なものだということがアナウンスされ、利下げフェーズは数回までの限定的な利下げに留まる様子ならば、相場はしっかりだと思います。経済指標が強いため、これがメインシナリオです。ドル円は利下げ直後、どう動くのかは分かりません。過去のソフトランディング時の初回の利下げ辺りは円高でした。今回の利下げフェーズでは、事前の投資家の利下げ期待が行き過ぎな可能性が高く、それが後退することで円安に振れる可能性もあります。しかし、今の段階ではどうなるか分かりません。

現在の株価市場は予想外にも一気に下落からV字回復してしまいました。S&P500のPERは21倍と高い水準です。この水準から更にトレード的に旨みを感じられる程の上値があるのかは分かりません。一方で、目先の9月FOMCでは円高による為替差損リスクがあります。株はしっかりだとは思っていますが、円高による為替差損で含み益を減らしては意味がありません。ゆえに、これからはある程度のポジションを手仕舞いし円転したいと思います。少なくとも9月FOMCまでは再び様子見モードに入ります。その間は一部の個別株でお茶を濁したいと思います。

<注目セクター>
なし

<現在のPF>株100%/現金0%
[コア]87.6%
VTI 87.6%
[サテライト]12.4%
LLY 8.8%
META 2.1%
PLTR 1.5%

〈ウォッチリスト〉
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