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【ドル円】日銀が利上げ決定、ドル円の見通し
日銀は、31日まで開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決めました。
これについて植田総裁は会合のあとの記者会見で「物価が上振れるリスクに注意する必要があり、2%の物価目標の持続的・安定的な実現のために利上げの実施が適切だと判断した」と述べました。
植田総裁は円安によって物価の見通しが上振れるリスクが高まった場合は利上げの理由になると述べていましたが、歴史的な円安が続いたことで輸入物価は再び上昇に転じていて日銀は、物価が上振れするリスクには注意する必要があるとしていました。
物価が想定以上に上昇すれば伸び悩みが続く個人消費をさらに押し下げかねないからです。
こうした状況をふまえて日銀は、持続的、安定的に2%の物価目標を実現するには追加の利上げを行う必要があると判断しました。
今後も経済・物価情勢が見通し通りに推移していけば追加利上げしていく方針を示し、政策金利について2006年からの前回の利上げ局面のピークである0.5%が「壁」になるとは「認識していない」と明言しました。
結論としては、日銀は利上げフェーズに入りました。実際には、追加利上げが行われるかどうかはわかりません。これは世界経済の動向も関わってくると考えるからです。不況が来てしまえば、追加利上げはできません。しかし、少なくとも投資家は、日銀は利上げフェーズに入ったという認識を持ったと思います。
つまり、ドル円は上りにくくなるということです。
一方で、日銀よりも為替に大きく影響を与える存在がアメリカです。アメリカの方が日銀よりもダイナミックに金利を動かすため、日米金利差に与える影響が大きいためです。
8/1未明にFOMCが開かれます。投資家は9月から年内3回の利下げを強く織り込んでいます。
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しかし、9月は大統領選挙の投開票直前であり、FRBの政治的中立性を示すため、FRBは何も動けないと思います。投資家は今回のFOMCで利下げに関する何かしらのサインを期待していますが、何も出てこない思います。
そのため、投資家の利下げ期待は裏切られると思います。利下げが延期されることはドル高・円安要素であり、ドル円は上方圧力を受けると思います。
しかし、同時に株は利下げ延期を嫌気して売られると思います。リスクオフによってドル円は円高に振れるかもしれません。どちらの方が影響力が強くなるかは全く分かりません。
8月のジャクソンシンポジウムでは、政策金利決定の枠組みについて議論が行われると思います。前回の枠組みの見直しでは、「インフレ率が目標の2%を超えても、均してみて2%程度収まっているのであれば、利上げは急がない」という方針に変更されました。これが新型コロナ禍以降の経済再開に伴うインフレへの対応の遅れの原因となり、ハイパーインフレを引き起こしてしまいました。
ゆえに今回の見直しでは、よりインフレ抑制に対して厳格な枠組みに修正されると思います。これは早期の利下げ期待に冷や水を浴びせることになると思います。ゆえにドル高・円安要素です。
一方で、CPIは3%まで低下してきており、向こう数ヶ月の間に、さらに低下すれば投資家の利下げ期待は高まります。これは円高要素です。
つまり、向こう数ヶ月は円高・円安に振れる材料が混在としており、それぞれどの程度の影響力を持つかは分からないため、ハッキリとしたトレンドは出にくいと思います。今までのように、するすると円安に進むとは考えにくいと思います。
今年の円安相場は、今までとは異なり、日米金利差とは乖離した動きになっています。これは、低金利通貨を売って高金利通貨を買うことで、両国間の金利差を収益源泉とする投資手法であるキャリートレードが活況となっているためだと考えられます。
つまり、一度流れが逆流すれば脆いということです。
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ゆえに、目先は不透明感が強く、円安が気持ちよく進む可能性は低く、ダウンサイドリスクは高いという状況だと考えます。