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【米国株】不況の予兆、逆イールドとは

逆イールドとは、通常の債券市場の利回り曲線とは逆の状態を指す金融用語です。具体的には、短期債券の利回りが長期債券の利回りを上回る現象を指します。通常は米2年債利回り米10年債利回りを見ます。

逆イールドは、しばしば景気後退の前兆とされます。景気後退には大幅な株式市場の調整を伴うため、投資家はこの現象に注意を払うべきです。

一般的に、長期債券は短期債券よりも高い利回りを提供します。これは、投資家が長期間資金を拘束することに対する補償と、将来の金利上昇リスクに対する保護のためです。

逆イールドの多くはFRBによる利上げ局面で発生します。FRBが政策金利の引き上げフェーズに入っていくことが見込まれ始めると、短期金利が敏感に反応して上昇し始めます。利上げ局面が続くと、次第に債券投資家は景気のスローダウンを懸念し始め、安全性の高い長期債に資金をシフトし始めます。すると、短期金利は利上げに素直に反応して上昇する一方で、長期金利は低下していきます。その流れの中で逆イールドが発生するのです。

2022-2023年の利上げ局面、紫線が逆イールド発生、オレンジ線は利上げ。

10年債利回りの上昇は利上げが進むにつれて鈍っていき、利上げに素直に反応する2年債利回りに逆転されました。景気後退を懸念する債券投資家の買いが10年債利回りの上昇の重しとなった考えられます。

逆イールドは、銀行に対して特に以下の様な影響を与えます。

  • 収益悪化: 銀行は通常、短期金利で資金を借り、長期金利で貸し出すことで利益を得ています。しかし、逆イールドが発生すると短期金利が長期金利を上回るため、このビジネスモデルが成り立たなくなり、銀行の収益は圧迫されます。

  • 貸し渋り: 収益が悪化した銀行は、リスクの高い企業への融資を控えるようになり、貸し出し基準を引き上げます。結果として、企業は資金調達が難しくなり、設備投資や事業拡大が滞る「貸し渋り」が起こりやすくなります。

逆イールドは、銀行の収益を直撃し、ひいては企業の資金調達を困難にすることで、経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

逆イールドは、FRBによる利下げ局面で解消に向かいます。利下げ局面では政策金利に素直に反応する短期債利回りが急速に低下します。すると、逆転していた10年債利回りとの利回り格差は解消するのです。

なぜ逆イールドは不況の予兆と言われるのか、それは逆イールドの発生→解消は、FRBによる利上げ・利下げの動きに連動して起きることから、相場サイクル論的に逆業績相場(暴落)の手前で起こるからです。

では、逆イールド発生や解消から何ヶ月後にリセッション先立つ株価の大幅調整が起きるのでしょうか。過去の事例を振り返ってみます。

果たして今回も逆イールドの経験則はワークするか?

だいたい逆イールド発生後の半年〜2年後(1年半以上が多い)に株価下落が始まるようです。また、逆イールド解消後、数ヶ月〜半年弱くらいで株価下落が始まるようです。

また、逆イールド発生中は株価は上昇していることが多いです。現に2022年10月〜2024年7月は逆イールド期間でしたが、僅か2年弱でS&P500が+58%という強烈な上昇相場でした。ゆえに逆イールドが発生したからといって株価上昇終わった考えるのは早とちりです。

しかし、逆イールドが発生したことは景気後退までのカウントダウンが始まったことを意味します。他の相場材料を考慮しながら、あと何ヶ月相場を引っ張れるのかという大体の残り時間を考える上で大いに役立つと思います。

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