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【米国株】狼狽売りの防ぎ方
保有している株が下落して、怖くなって売ってしまうことが投資ではよくあります。そういう時ほど自分が売った後に株価が上がるものです。
こういった狼狽売りを防ぐにはどうすればいいのでしょうか?僕の考えでは大切なことは4つあります。
・過大ポジションを避ける
・買い理由を明確にしておく
・銘柄の事業内容を把握しておく
・自分のファーストインプレッションの的中率を把握しておく
順に説明していきます。
【第一】
ポジションを過剰に大きくすることを避ける。
その銘柄が自分の見込み違いで損切りする時、どれほどの損失になるか想定します。一番多い損切りタイミングは悪い決算を出した時だと思います。大型株は-10%、小型株は-20%、-30%はやられます。
やられた時に資産全体でのドローダウンを「この程度の損ならすぐに取り返せるぞ」と思えるくらい(僕は-2%程度)のポジション量にしておく必要があります。
例えばA銘柄に資産の5%を配分していた場合、-30%を食らっても、全体へのインパクトは-1.5%で済みます。しかし20%も配分していると、-6%のインパクトになります。インデックスのパフォーマンスが年平均8%ですので、取り返すのはキツイなと感じます。
欲をかいて過剰なポジション量にしていると失敗した時の資産全体へのインパクトは大きなものになります。その精神的プレッシャーは恐怖を増幅し、狼狽売りしやすい状態に自分を追い込んでしまうのです。
狼狽売りをしないためには、この1銘柄で一発逆転したいという欲を捨てて、心に余裕の持てるポジション量に控えておく必要があります。
それではすごく小さなポジションになってしまい上昇の恩恵も小さくなってしまうとの反論が想像できます。しかし、その反論の背後にある欲が過大なポジションを生み、とてつもない精神的プレッシャーを生み、そして人を狼狽売りに走らせるのです。
そういう人(昔の僕みたいな)は、理想の資産額と今の資産額に開きがあり、それをすぐに埋めたいという衝動に駆られているのかもしれません。しかし、もし今の資産額が+10%、20%増えていたとしたら、同じような無茶な投資をするでしょうか?あともう少しだから堅実に行こうとならないでしょうか?
投資ではいきなり資産を+50%、+100%にすることはとてもとてもとても難しいです。しかし、+10%くらいならグッと可能性は高まります。着実な資産増を繰り返すこと、長打(打点)よりもシングルヒットを多く重ねること(打率)に集中した方が成功する確率は高まると僕は考えます。大谷翔平を目指してはいけないのです。イチローを目指すのです。
そして常に、銀行預金しか知らなかった自分と比較します。上を見れば見るほどキリがなくなり、いずれ危険なトレードに手を出すことになります。ー50%になった資産は+50%では元に戻りません。+100%必要なのです。投資は損を戻すことが非常に非常に難しく、精神的にもキツイです。常にあんな無茶なことをしなければという後悔がつきまとうことになります。投資では過大なリスクをとってはいけないのです。本当は過剰なリスクをとっていると分かっていながらも、いやここまでは許容できるはずだという誤魔化しがあってはいけません。
1銘柄に配分するポジションは失敗しても余裕のある範囲に留めます。
【第二】
銘柄の買い理由を明確にしておく。
どうして自分はその銘柄を買ったのかをハッキリさせておくことは重要です。株価が下がったとしても、買いの理由は崩れていないから売らないという判断ができるからです。買い理由が決算の良さならば悪い決算が出ない限り売りではないのです。良い決算、ビジネスの好調さは心の支えになります。
【第三】
買った銘柄の企業内容を理解しておく。
よくある狼狽売りするシチュエーションが、一見悪材料と思えるニュースが流れて株価が急落するというケースです。大抵はアナリストのダウングレードや、ライバルの登場といったニュースです。
保有銘柄の事業内容を理解しておくことで、このダウングレード理由は売り理由にはならないな、このライバルは脅威ではないなと判断することができます。そして、そういった見せかけの悪材料で下がった株価はいずれ戻ってくることがほとんどです。
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言語学習アプリのデュオリンゴ(DUOL)は23年10月にアルファベット(Googleの親会社)が英会話練習サービスを発表し急落しましたが、その後好決算で株価急騰し、現在は急落時よりも高い位置に株価があります。
偽の悪材料で狼狽売りすることを防ぐために、企業内容はしっかり調べておきます。
【第四】
自分のファーストインプレッションの的中率を把握しておく。
狼狽売りの理由で多いのが株価が下がっているので、ここからもっと下がるかもと思い怖くなって売ってしまう、です。
ここで自分の経験を振り返ります。株価が下がっているチャートを見て恐怖でいっぱいだった時、本当に株価はそこから更に下がっていったかを検証します。つまり、株価だけを見た時の自分のファーストインプレッション、第一印象の正確性を検証するのです。そうすれば、大抵はそこが底だったことがほとんどだと思います。例えば、
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株価が急落しているのは、イスラエルで紛争が起こったためです。この会社はイスラエル企業なのです。ちょうど株価が底の時点で僕がどういう感覚を持っていたかというと、「終わった…もう怖い、売りたい」でした。
頭ではイスラエル紛争はこの企業の事業に与える影響は皆無だと分かっていました。しかし、自分の感覚では恐怖一色だったのです。すると、実は自分の考え方は間違っているのではないか?と、売り逃げたいが故に自分の考えを自分で捻じ曲げようと頭が働き出します。こうなると狼狽売り一歩手前です。なんとか防がねばなりません。
結局、その後、株価は好決算を受けて急反発しました。紛争のことなどどこ吹く風です。決算コールでも紛争の影響は極めて軽微だとコミュニケートされました。頭で考えていたことは正しかったのです。
未熟な投資家である自分の株価だけを見た時のファーストインプレッションは間違っていることが多かった、ということを把握しておくことは狼狽売りを防ぐ助けになると思います。
・過大ポジションを避ける
・買い理由を明確にしておく
・銘柄の事業内容を把握しておく
・自分のファーストインプレッションの的中率を把握しておく
以上の4つの工夫によって僕は狼狽売りを防ぐことができています。