【初心者】FIREについての私見
FIREとは資本所得といった不労所得によってのみ生活の支出を賄うことで、早期に(定年前に)仕事を辞めることを指します。株式投資に注目が集まる昨今、FIREという考え方にも同時に注目が集まっています。
僕の考え方を述べます。まず僕がこれならFIREできるなと考える条件を述べた上で、FIREそのものに対する認識を述べます。
まずFIREの絶対条件として僕は「余裕感」があると思います。FIREしたはいいもの、常にお金に対する不安や、お金を気にしてやりたいことや欲しいものを我慢することが続き、ぜんぜん充実感を感じられないのは失敗だと思います。どういう状況であれば、そういった不満を感じることなく、これなら大丈夫そうだなと感じられるか、自分なりの条件をまとめておくことは必須だと考えます。
生活の支出を極端に切り詰めるならば、一年の大半を物価の安い東南アジアで過ごし(当然自炊)、日本にいる時も激安スーパーで自炊です。これを実践している人を僕は知っています。しかし、殆どの人は耐えられないと思います。僕も無理です。我慢している感覚を持たない生活で年間どれだけ支出するのかを計算して、それを不労所得で余裕で賄える目処がついていないといけません。年間に少しでも取り崩しがあれば、これは年数が経つほどお金に関する不安感が増していくと考えるからです。FIRE第一でこれだけ切り詰めればFIREできるという計算はいずれ破綻すると思いますし、我慢し続ける生活は全然充実していないと思います。
FIREの必要資金について考えていきます。FIREの前提として、資産の大半を株式投資に突っ込むことを想定しますが、暴落時も余裕感を維持できるように数年間の生活資金を別枠でキャッシュで確保しておく必要があると考えます。最低3年分ですね。また米国株では年平均8%のリターンが期待できるとされていますが、保守的に見積もって、年間想定利回りをFIRE界の標準である4%とします。
まとめるとFIREに必要な資金は、(余裕感を維持できる年間生活費)÷0.04+(年間生活費)×3です。余裕感を維持できる年間生活費が400万であるならば、FIREに必要な資金は1億1200万円です。
最後にFIREに対する僕の認識を述べます。そもそもFIREを実現するためには多額の元手が必要であり、高収入な人でもかなり切り詰めないと早期に何千万もの資金を用意することは非現実的だと思います。そもそもFIREのために我慢に我慢を重ねる生活を10何年も続けるのは果たして充実した生活と言えるのだろうかと思います。
そして仮にFIREできたとしましょう。余裕のある生活ができているとしましょう。多分、数週間で飽きるのではないかと思います。FIREすると必然的に自由な時間が増えます。一方で他者との関わりも減ります。ここがFIREで解決しないといけない問題だと感じます。
僕は充実した生活を過ごせているという実感を得るのは自身の欲望を叶えられていることが条件だと考えています。そして人間の欲望で一番欲しているもの、それは他者を通じて自分には価値があると実感したいという欲だと思います。自分が何かしらの貢献をすることで他者から評価してもらえる、褒めてもらえる、そのことで自分には価値があるのだと実感できる、その実感を欲する欲望です。健康であって、お金の心配もなくて、嫌なことは一切しなくても良くても、それがなければ味気のない生活になってしまうと思います。
この欲は自分一人では満たすことはできません。自分で自分はすごいのだと思っても、結局自分がそう思っているだけだ、となるからです。FIREはこの問題を解決する手段を持っていないと失敗するだろうなと思います。
FIREをステータスのように誇る人がいますが、その背景には他者からの承認への飢えがあると思います。FIREによって他者との関わりが減り、更に切り詰めた生活で不満が溜まり、そしてFIREできている自分はすごいんだぞと思おうとも、結局自分で言っているだけ、、、。不満だらけだということは容易に想像できます。彼らが充実感ある生活を手に入れる方法はFIREではないのです。
ここでFIREを目指す動機に立ち返る必要があると思います。なぜFIREしたいのか?仕事が辛くて、そこから解放されたいから。それは果たしてFIREしか解決策がないのかどうか真剣に検討する必要があると思います。FIREには解決すべき大きな問題が二つあります。余裕感を維持するための資金を確保しなければならないこと、他者との関わりが減ることによって他者を通じて自分には価値があると実感したい欲を満たしにくくなることです。この二つが解決できるならばFIREは充実した生活を送ることができる良い手段となると思います。同時に、FIREを実現させるためには我慢に我慢を重ねないといけない、そういう遠すぎるものならば、今一度自分の欲することに立ち返って、自分の欲しいもの、欲しい状況を手に入れるための方策はFIRE以外にないのか?再考するのが良いと思います。FIREは充実した生活を送るための一方策に過ぎません。FIREに拘るあまりに、FIREみたいな極端な方策以外でも問題は解決できたのに、視野狭窄になって他の可能性に気付けないことを僕は恐れます。
僕の場合、どこまで切り詰めてもFIREに必要な金額には到達しないだろうなと思うので、そもそもFIREを目指せるレベルに到達している段階ですごいなと思います。その段階に至っているならば、FIREしか解決策がないのか?自分の欲するものは何なのか?真剣に問いながら代替案を練る方が良いのではと個人的に思います。