渇望が満たされることはない、満たせば満たすほどもっと欲しくなる
「渇望が満たされることはない」
これは世間ではあまり理解されていないことなのかなと思います。
理解していても体感できてないとあまりわからないかもしれません。
渇望とは簡単にいうと心から望むことを満たしたいという気持ちのことです。
食欲、睡眠欲、性欲、愛情、承認、名誉、金銭などなどいろんな渇望があります。
一般的には、満たせば満足できて幸せになると思われています。
それが不足や不満、満たされない思いを無くす方法だと。
しかし、満たせば満たすほどさらに満たしたいという思いが出てくるのが人間の心です。
一回やれば、一回手に入れれば、あともう少しというようにやれば満たされる、手に入れれば満たされるという気持ちなのかもしれませんが、その満たされた感覚は長くは続きません。
やがて失われて、さらに求めるようになり、苦しむことになります。
満たしても不足してさらに求める
自分が欲しいと思ってたモノ、やりたいと思っていたことなどすべてに当てはまります。
一度満たされたからといってその状態は続かず、むしろ前よりも満たされるために多くを欲しいと思うようになります。
以前と同じでは物足りない、さらに多くもっとないと満足できないと思うようになります。
同じものを多く手に入れたり、たくさんやってもあまり満足できないようになると、別のもので満たすようになります。
これは脳の仕組みです。
ドーパミンという物質があり、これが脳内でもっと求めろという信号を出してます。
このドーパミンは人間が生きるうえで必要であろうものを求めるようになる仕組みです。
食べ物、性行為、ゲーム、薬物、楽しい行為などでドーパミンが分泌されます。
このドーパミン、実は多く分泌されると調整が行われます。
まず、ある物質や行為でたくさんのドーパミンを分泌するとドーパミンは自然に分泌する量を抑えます。
さらに、ドーパミンには受容体というものがあり、受容体にドーパミンが結合することで脳が感じることができます。
ところが、たくさんのドーパミンを分泌すると受容体が破壊されます。
たくさんのドーパミンが分泌されるとそれに対応して受容体の数を減らして結合できるドーパミンを制限するのです。
つまり、ドーパミンをたくさん分泌する行為や物質を取ることで過剰にドーパミンが増えると、
①自然に分泌するドーパミンを減らす
②ドーパミン受容体が減る
ことになります。
こうやって脳内のドーパミンの調整をします。
これが渇望が満たされない原因の一つだと思っています。
自然に分泌されるドーパミンが減り、受容体が減って結合できる数が減れば、満たされるためにより多くのドーパミンが必要になります。
私が読んだ本では、「運動」によりドーパミンの分泌ができ、ドーパミンの受容体が増えると書いてありました。
楽しいことや気持ちいいことは苦しみを生む?
楽しいことや気持ちいいことをしたり、物質を摂取することでドーパミンは分泌されます。
しかし、ドーパミンをたくさん分泌すると以前に比べて分泌が減り、さらに受容体が減るので、以前と同じ気持ちよさを感じるためにより多くの分泌が必要になります。
以前ならそこまで渇望がなかったのに今は以前よりも欲しくてたまらないという気持ちになるのはこれが原因ではないかと考えています。
薬物を使えば使うほど耐性が増えるのと同じく、楽しいことや気持ちいいことも耐性がつき、さらに多く、新しいものを求めるようになるのです。
さらに楽しいもの、気持ちいいもの、物質を求めることは過剰になると物足りなさを感じさせて、苦しい思いをすることにつながります。
「足るを知る」という言葉がありますが、足るを知るは一時的でしかないのでしょう。
自然なものでほどほどに楽しむことで、不足感や不満を感じにくくすることができると思いますが、今の時代ではそういった生き方は難しく感じますね。
過度にドーパミンを分泌する、楽しいことや気持ちいいことには気をつけた方がらいいと考えてます。