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初めて彼氏ができた話③
告白された日、私の脳みそは情報処理が追いついていなくて、もはやパニック状態だった。
デートの帰り道、慌てて仲の良い女友だちにLINEした。
文面からも、私の慌てふためく様子が伝わったらしい。
"そんなに悩んでいるなら、ふっちゃえばいいじゃん"
恋愛経験値が上の人は、すごいことを言う。
さすがの私も、告白をokした当日にすぐふるのは相手に失礼だと思った。
とりあえず、何事も経験と思って、付き合うことにした。
4月に入り、彼も私もお互い新社会人。
彼から、仕事の休みは平日しかないと言われた。
土日休みの私。
付き合ってすぐ遠恋の危機。
"しばらく会えないね"
なんて彼は笑って言った。
ずいぶんと余裕そうであること。笑
当の私は、"これでしばらく悩まなくてすむ" なんて前向きに考えた。
社会人になり1ヶ月が経とうとしていたある日、彼から連絡が来た。
"会社を辞めた。だからいつでも会えるよ。"
……………!?
私は言葉が出なかった。
私たち就職してまだ1ヶ月じゃ…?
彼いわく、思っていた仕事内容ではなかったらしい。
そして、新たにやりたいことができたそうだ。
"スマホのアプリをつくりたい"
そのためには専門知識が必要なので、専門学校に通う必要があると言う。
あまりにも予想外な展開に、私はついていけなかった。
新しい職場で、まだいろいろと覚えている段階で、まだまだ仕事の全貌はわからないのでは…?
お笑いの学校も長続きしなかったし、継続性に欠ける。
悪い意味で、こいつは"ゆとり"だ。
彼の前職は私と休日が合わず、全然会えそうになかったので、それも一因らしい。
(こいつと長く付き合うことはないだろう。)
パニックだった私の脳みそが、それだけは悟った。
彼は専門学校へ通うといいつつも、まだ通う学校も決めておらず、事実上のニートだった。
(そもそも、専門学校へ行くお金は誰が払ってくれるの?その年で親に頼るの?)
時間があるのか、たびたび連絡が来るようになった。
誘いを断れない私は、休みのたびに、鎌倉だのジブリ美術館だのおしゃれなカフェだのあちこちへ出かけるようになった。
彼に会うたび、ときめかない自分がいたし、相変わらず咀嚼音はうるさく気持ち悪かったし、これっぽっちも好きになる要素なんてなかった。
とどめをさしたのが、彼の物件探しに付き合わされたデート。
"阿佐ヶ谷に住んでみたい"
学校も職場も何も決まっていないのに、なぜか阿佐ヶ谷。
そして私の家からも遠い。
ふたりで行ったので、不動産屋さんからは同棲するのかと思われる始末。(そりゃそうだ)
その日は、とりあえずいくつか物件を見た。
帰り際に、彼は一言。
"けっこう高いねぇ"
(ぷっちーーーーーん!💢)
ひとり暮らし舐めてるのか、こいつ。
都内で安いわけがなかろう。
あまりにも世間知らずというか、常識がないというか…
結局、彼がひとり暮らしをする日は永遠に訪れなかった。
そろそろお試しのお付き合いも終わりだ。
次へ進もう。
そんなことを考える日々が続いた。