偶然、連絡先を交換したひと④
例の告白から一週間以内に、また別な人からも告白され、さらに初彼に電話をかけてぼろぼろ泣きながらお別れを告げる、という怒涛の日々が続いた。
20ウン年間、告白なんて一度もされたことがなかったというのに、人生で一度のモテキとはこういうことか。
“偶然、連絡先を交換したひと”と、晴れて彼氏となり、初ディズニーデートの日を指折り数える毎日だった。
とうとうディズニーデート当日。
異性と、それも彼氏とディズニーに行くなんて、人生で初めて!
念願の夢が叶った私は、相当うかれていた。
(これで、私もリア充の仲間入り!)
最強のアイテムを手に入れて、無敵になった気分だった。
ディズニーの駐車場は混むからということで、電車で行った。
パークに着くと、早速、絶叫系に乗った。
2人ともビッグサンダーマウンテンが好きで気が合った。
とにかくテンションMAXで、せっかく並んでいたスペースマウンテンの列が、システム不良で打ち切られてしまっても、そんなのへっちゃらだった。
私はアトラクションだけでなく、キャラクターも好きで、ミッキーたちに手を振ったり、パレードも見たりする。
しかし、彼はあまりパレードには興味がなさそうで、キャラクターに手を振るのも恥ずかしがっていたのは残念だった。
混んでいたが、そこそこアトラクションには乗れた。
"女友だちと来た方が効率良く回れるな"、なんてこっそり思ってしまった。
けれども、本日のメインは、"デート❤︎"なので、効率を求めることはない。雰囲気を楽しもうと思った。我ながら大人になったものである。
アトラクションに並んでいる時間は、お互いのことを知るのにちょうど良かった。
家族のことや住まい、好きなことなど話した。
しかし、お昼も過ぎると、だんだんと話すネタもなくなり、お互い無言の時間が増えてきた。
それと同時に、彼が明らかに疲れている様子が見られてきた。
大柄な彼は、ディズニーのかわいらしい食事では物足りなかったこともあるのかもしれない。
彼は、普段、車での移動が多く、あまり歩かないこともあり、暑さでバテてしまったのかもしれない。
閉園までいる気満々だった私は、"早く帰ろう"という素振りを見せてきた彼に、とてもがっかりしてしまった。
(にわかディズニーファン?
ディズニーが好きだと言えば女子からモテると思った?)
なんて心の中ではこっそりそんなことを考えていた。
結局、さっと夕食を済ませると、閉園を待たずして、すぐにパークを後にした。
ディズニー好きな私は、いつもなら開園から閉園までいるのは当たり前で、こんな早くに帰宅することは、生まれて初めてであった。
めちゃくちゃ楽しみにしていたディズニーデートだったが、なんとなく後味が微妙になってしまった。
こうして、人生初の彼氏とのディズニーデートは幕を閉じた。